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スノーボードアルペン 植野琴選手 3D ACADEMY留学前インタビュー

スノーボードアルペン 植野琴選手 3D ACADEMY留学前インタビュー

いずれは海外を拠点に活動しなければ強くなれない。
そのためにはもっと語学力が必要なんです。

植野 琴/Koto Ueno (スノーボード・アルペン競技)

東京都出身。1994年生まれの大学4年生。
4歳からスキーを、6歳からスノーボードを始める。
6歳でSAJジュニア1級・SIAジュニアゴールドメダル取得。
9歳でスキーSAJ1級・SIAゴールドメダル取得。JSBAスノーボード1級取得。
2010-2012 JSBA全日本選手権 DU ジュニア 優勝(3連覇)。
トップアスリートAOで日本体育大学合格。2015インターカレッジ SL 優勝、旭川ワールドカップ初出場。
2013-2015JOCオリンピック強化指定選手。目標は、2018・2022・2026年オリンピック出場。
今後は指導者としての勉強もし、大学卒業後は競技を続けながらプロとしてもスノーボードの楽しさを広めることを目指している。

3D ACADEMYは、「Global Athlete Project(グローバル・アスリート・プロジェクト)」と共同で、世界に挑戦するアスリートを語学面からサポートする「フィリピン留学」プロジェクトを開発し、Global Athlete Projectのサポート選手に提供していく。今回初めてそのプロジェクトに参加するスノーボードアルペン競技の植野 琴選手に、留学への思い、世界で戦うための語学力の必要性などについて話を伺った。

海外チームと一緒にトレーニングするために、自ら英語で交渉します

年間の約半分は、海外遠征や海外のレースを転戦する生活をされているのですね。

はい。ナショナルチームで行く場合もありますし、自分がどうしても出たいレースがあれば、一人で海外のチームに入れさせていただいて、一緒に練習したり、レースを回ったりしています。

そういった交渉は自分でするのですか。

一人で行く場合はすべて自分で手配します。今回は直前にけがをしてしまい参加できなかったのですが、昨シーズンも2月に一人でカナダのケベック州のチームに入れてもらう予定でした。

まずはカナダのスキー協会に問い合わせて、そこからそのチームのコーチを紹介していただき、直接交渉しました。英語のメールで交渉したのですが、あちらからのメールを理解するのが大変で苦労しました。

でも、今回の件でカナダナショナルチームのヘッドコーチに当たる方とつながりを持つことができたので、今後に活かせる良いチャレンジだったと思っています。

「クローゼットを使わせてほしい」と英語で伝えるのに三日かかった過去も……

とても行動力のある植野選手ですが、これまで語学で困ったエピソードはありますか。

数え切れないほどたくさんあります!
例えば、3年前。カナダに遠征中、シェアハウスでカナダの選手と一緒に暮らすことになったのですが、部屋のクローゼットの中がすべてその選手のもので占領されていて……。私にも使わせてほしいと伝えるのに三日かかりました(笑)。

他にも同じくカナダで別のシェアハウスに滞在していた際、部屋で食事をとろうと思い、冷蔵庫を開けるとほとんど何もない! 困り果てて、部屋に戻ってきた選手に「買い物に連れて行ってほしい」と頼んだら、笑顔で「OK!」と言ってくれたのに、なぜか何日も連れて行ってもらえなかったんです。結局、私の英語が伝わっておらず、数日間は卵と玉ねぎだけを食べて過ごした……なんてこともありました(笑)。

レースなどでは、語学で苦労することはありますか。

海外のレースはルーズなことも多いので、スタート時間が1時間遅れるなんてこともよくあります。そうなると終了時間を合わせるために、ルールまで突然変更されたりします。
何度も経験したので、今は会場のアナウンスが何となく理解できたり、わからなければ自分で聞きに行ったりするようになりましたが、もっと語学力がないと、その状況下では精神的にコントロールが難しく、ベストパフォーマンスも出せません。

数年後には、年間通して海外で生活しながらトレーニングしたい

今回の留学では、実践英語(ESL)コースを4週間受講されますね。

一日7時間の英語の授業、これだけ英語漬けの生活は初めてなので、不安もありますが、今からとても楽しみです。現地でもフィジカルトレーニングはやりつつ、授業がオフの日は、いろんなところに出かけてみたいと思っています。各国の友達もたくさんできたらうれしいです。

これからさらに競技力を上げるためには、外国人選手と切磋琢磨する環境に身を置くしかありません。近い将来は年間を通して海外で生活しながらトレーニングし、レースを転戦したいと思っているので、そのためにも今回の留学を有意義なものにしたいです。

今、語学力で足りないと感じているのはどんなところですか。

最近は積極的に英語を話すことで、日常会話は少しずつレベルアップしてきていると思います。先日もリフトで一緒になった外国人選手に英語で話しかけて、「スノーボードあるあるネタ」で爆笑してもらえたことはとてもうれしかったです。
でも、例えば、海外でけがをして病院で治療を受けるとき、けがをした時の状況や、けがの状態を英語で伝えることにとても苦労しました。
もっとどんな場面でも対応できるよう、コミュニケーション力を高めなくてはいけないと実感しています。

経験がものをいう競技だから、このけがもプラスにとらえて強くなりたい

スノーボードアルペン競技の魅力と、来シーズンの目標を教えてください。

スノーボードアルペンは、経験を積んでこそ勝てる競技です。お互いが全力で戦うというよりは、相手と駆け引きをし、コースを読んで、自分自身が冷静になって滑ることが必要です。レースはスピード感があり、誰が見ても勝ち負けが一目瞭然なので、観ている方もわかりやすくて面白いと思います!

今はまだ昨シーズンのけがが完治していない状態ですが、一からじっくり身体をつくりなおす期間だと前向きにとらえてリハビリ中です。来シーズンは、国内でワールドカップとアジア大会が開催される予定なので、そこを目指して焦らず頑張っていきたいと思います。

〈取材後記〉

「正直、つらいことのほうが多いんですよ」ポツリと植野選手が話してくれました。例えば高校の修学旅行も卒業式も出席できず、勉強面でも遠征やレースに行くのを認めてもらえるよう努力してきたそう。この若さで様々なことを犠牲にしても「オリンピックに出場する」という目標のために、前向きに、他人に言われてではなく自発的にチャレンジをし続けているその芯の強さに驚きました。
30歳前後でピークを迎える選手が多いというスノーボードアルペン競技。今の競技力についても冷静に見つめ、足りないものを一つ一つ確実に積み上げていっている植野選手の未来はとても明るい、そう思いました。

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