目次

国内大学が提供するオンラインMBA一覧

はじめに

MBA(経営学修士)は、経営戦略やリーダーシップ、ファイナンスなど、ビジネスの中核を体系的に学べる資格として、多くの社会人から注目されています。従来は通学制が主流でしたが、働きながら学びたい人や、地方・海外在住で通学が難しい人の増加に伴い、日本国内の大学でもオンラインMBAの提供が広がってきました。

オンラインMBAの最大の魅力は、時間と場所に縛られず学べる柔軟性です。自宅や出張先からでも授業に参加でき、キャリアを中断せずに学位取得を目指せます。さらに、大学によっては国際認証を持つプログラムや、グローバルネットワークを活かした実践的なカリキュラムを展開しているところもあります。

本記事では、国内大学が提供するオンラインMBAプログラムを一覧形式で紹介し、それぞれの学習スタイルや特徴を整理します。これからMBA取得を検討している方にとって、最適な選択肢を見つける参考になるでしょう。


早稲田大学大学院 経営管理研究科(WBS)

早稲田大学ビジネススクール(WBS)は、日本を代表するMBAプログラムのひとつとして高い評価を受けています。近年はオンライン受講環境も整備され、国内外の社会人が柔軟に学べる体制を構築しています。

  • 学習形式:オンラインライブ授業+オンデマンド配信
     リアルタイムでの双方向ディスカッションと、後日視聴可能な録画配信を組み合わせ、働きながらでも学びやすい仕組み。

  • カリキュラムの特徴:経営戦略、マーケティング、ファイナンスなどに加え、グローバル経営やリーダーシップ教育にも力を入れている。

  • 修了期間:標準2年(科目履修の組み合わせにより柔軟に調整可能)

  • 対象者:フルタイム勤務を続けながらMBAを取得したい社会人、海外駐在員など

WBSのオンラインMBAは、単なる講義配信ではなく「対話とケーススタディ」を重視している点が特徴です。国内外で活躍する同窓ネットワークも強みで、キャリア形成や転職活動に直結しやすい点も評価されています。


慶應義塾大学大学院 経営管理研究科(KBS)

慶應ビジネススクール(KBS)は、日本で最も歴史のあるMBAプログラムの一つであり、ケースメソッドによる実践的な教育で知られています。基本的には対面授業を重視していますが、近年は一部科目でオンライン受講が可能となり、社会人にとって柔軟性が高まっています。

  • 学習形式:対面授業を中心としつつ、一部科目でオンライン受講可能(ハイブリッド形式)

  • カリキュラムの特徴:ケーススタディを基盤とし、戦略、組織、人材マネジメント、アントレプレナーシップなど幅広い領域をカバー

  • 修了期間:2年(全日制と比較して社会人向けの柔軟な履修も可能)

  • 対象者:日本企業で管理職を目指す社会人、経営者志向の人材、対面での濃密なネットワーク形成を重視する人

KBSの強みは「少人数教育」と「ケースディスカッション」にあります。完全オンラインMBAではありませんが、ハイブリッド化が進むことで地方や海外在住者も一定の範囲で参加できるようになり、今後の展開にも注目が集まっています。


グロービス経営大学院(MBA)

グロービス経営大学院は、日本で最もオンラインMBAに特化した体制を整えている大学院のひとつです。社会人を対象にした柔軟な学習環境が特徴で、国内外の幅広いビジネスパーソンが受講しています。

  • 学習形式:完全オンライン(ライブ型授業+オンデマンド配信)
     リアルタイムでのディスカッションに参加できるほか、録画配信を利用して自分のペースで学習可能。

  • カリキュラムの特徴:経営戦略、マーケティング、ファイナンスに加え、リーダーシップ開発や起業家教育にも注力。

  • 修了期間:最短2年(長期履修制度あり)

  • 対象者:働きながらMBAを取得したい社会人、起業を志す人、地方や海外在住で通学が難しい人

グロービスの最大の強みは、日本最大級の社会人MBAコミュニティと、実務に直結したカリキュラムです。オンラインであっても双方向性が重視されており、議論やネットワーク形成を通じて学びを深められます。実践志向の経営スキルを効率的に習得したい人にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。


名古屋商科大学ビジネススクール(NUCB)

名古屋商科大学ビジネススクール(NUCB)は、日本で数少ない「国際認証(AACSB、EQUIS、AMBAのトリプルクラウン)」を取得しているビジネススクールです。世界的に通用するMBAを日本国内で取得できる点が大きな特徴で、オンラインMBAプログラムも展開しています。

  • 学習形式:オンラインMBA(ライブ配信+オンデマンド)

  • カリキュラムの特徴:ケースメソッドを全面採用し、ハーバード・ビジネス・スクールと同様のスタイルでディスカッションを重視。国際色豊かな教員・学生構成で、英語開講科目も多い。

  • 修了期間:2年(柔軟な履修計画も可能)

  • 対象者:国際認証MBAを取得したい社会人、グローバルにキャリア展開を目指す人、海外勤務予定者

NUCBは「完全オンラインであっても、世界基準のMBA教育を提供する」ことを掲げており、オンライン授業でもケースディスカッションが活発に行われます。日本にいながら世界とつながる学習環境を得たい人にとって、非常に魅力的な選択肢となっています。


法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科

法政大学のイノベーション・マネジメント研究科は、社会人が働きながら経営を学べる実践的なMBAプログラムを展開しています。オンライン学習と短期スクーリングを組み合わせたハイブリッド型で、地方在住者や多忙なビジネスパーソンにも対応しています。

  • 学習形式:eラーニング(オンライン講義)+集中スクーリング(年数回)

  • カリキュラムの特徴:イノベーションや新規事業開発に強みを持ち、戦略、組織、人材、ITマネジメントまで幅広く学べる。

  • 修了期間:標準2年

  • 対象者:新規事業や起業に関心のある社会人、地方・海外在住で通学が難しい人

法政大学の特徴は、「実務直結型MBA」 として、実際のビジネス課題をテーマにしたケースやプロジェクトを扱う点です。スクーリングを通じて仲間とのネットワーク形成も可能で、オンライン学習の柔軟性と対面交流の両方を取り入れたい人に適しています。


京都大学経営管理大学院

京都大学経営管理大学院は、理論と実践を融合させたカリキュラムで知られるビジネススクールです。完全オンラインMBAではありませんが、一部の講義をオンラインで提供しており、働きながらでも柔軟に学習できる環境が整備されています。

  • 学習形式:対面授業を基本としつつ、一部オンライン講義を導入(ハイブリッド形式)

  • カリキュラムの特徴:経営戦略、ファイナンス、組織マネジメントに加え、京都大学ならではの「学際的アプローチ」を重視。研究的色彩と実務的応用の両面を学べる。

  • 修了期間:標準2年

  • 対象者:関西圏を拠点とする社会人、研究志向や理論を重視する学習を求める人

京大MBAの強みは、学際性と理論的な深みです。理工系や公共政策など他分野と連携した授業も多く、経営を幅広い文脈でとらえたい社会人にとって魅力的な選択肢です。オンライン導入により、通学が難しい受講者にも門戸が広がっています。


立命館大学大学院 経営管理研究科

立命館大学大学院のMBAプログラムは、社会人が学びやすい夜間・週末中心のスケジュールに加え、ICTを活用したオンライン受講環境を整備しています。完全オンラインではありませんが、ハイブリッド型の柔軟な履修が可能です。

  • 学習形式:対面授業+オンライン配信(ハイブリッド形式)

  • カリキュラムの特徴:戦略・組織・会計・マーケティングなど経営の基本領域を網羅しつつ、企業実務に直結したケース学習を重視。

  • 修了期間:標準2年

  • 対象者:フルタイムで働く社会人、関西圏を拠点にするビジネスパーソン

立命館MBAは、**「実務に即した経営教育」**を掲げており、授業は現役経営者や実務家教員によるケーススタディが多く取り入れられています。オンライン導入により、通学が難しい社会人でも参加しやすく、幅広いバックグラウンドの学生と交流できる点が魅力です。


その他の大学・専門職大学院

国内の主要大学以外でも、オンライン授業や遠隔受講を取り入れたMBAプログラムが徐々に拡大しています。完全オンラインではないものの、柔軟な履修スタイルを選べる大学が増えているのが特徴です。

  • 明治大学大学院 グローバル・ビジネス研究科
    一部科目でオンライン受講を導入。働きながら通学できる社会人向けカリキュラムが中心。

  • 一橋大学大学院 経営管理研究科(HUB)
    基本は対面授業だが、遠隔受講やオンライン配信を一部導入。企業派遣の社会人学生が多い。

  • 神戸大学大学院 経営学研究科
    関西の名門ビジネススクール。オンライン科目を徐々に拡大し、ハイブリッド型で履修可能。

  • 九州大学ビジネススクール(QBS)
    九州を拠点にしたMBA教育機関。オンライン授業を活用して、地方や海外からの受講生にも対応。

これらの大学は、まだ完全オンラインMBAではありませんが、ハイブリッド型(通学+オンライン)の選択肢を広げる方向で進化しています。特にコロナ禍以降はICT環境の整備が進み、今後さらにオンライン対応が拡大していくと見込まれます。


まとめ

国内大学でもオンラインMBAの選択肢は年々広がっており、働きながらでも経営学を体系的に学べる環境が整いつつあります。

  • 完全オンライン型:グロービス経営大学院、名古屋商科大学ビジネススクール(NUCB)など、場所を問わず学習可能。

  • ハイブリッド型:早稲田、慶應、法政、立命館、京都大学など、一部オンライン授業を組み合わせて柔軟に受講可能。

  • 拡大中の大学:明治、一橋、神戸、九州大学など、今後さらにオンライン対応が進む見込み。

選択する際は、以下の観点を意識すると自分に合ったプログラムを見つけやすくなります。

  1. 完全オンラインか、スクーリング併用か

  2. 国際認証(AACSB・EQUISなど)の有無

  3. 授業スタイル(ケースメソッド、講義型、ディスカッション型)

  4. ネットワーク形成の機会

オンラインMBAは、時間や場所に縛られずキャリアを伸ばせる有効な手段です。今後も各大学のプログラムは進化していくことが予想されるため、自分のキャリアゴールに合った最適な選択を検討するとよいでしょう。


FAQ:国内大学が提供するオンラインMBA一覧

オンラインMBAとは?通学制MBAとの違いは?

オンラインMBAは講義・ディスカッション・課題提出・試験をオンラインで完結できる学位プログラムです。通学制との主な違いは、学習場所の自由度と時間設計の柔軟性ですが、ケース討議やグループワークなど学修成果の要件は同等に設計されます。

国内大学が提供するオンラインMBAは完全オンラインですか?スクーリングはありますか?

大学により異なります。グロービスやNUCBは完全オンライン中心、早稲田・法政・立命館・京大などはハイブリッドで一部スクーリング(対面集中)を設ける場合があります。

入学要件は?GMAT/GREや英語試験は必要?

多くの国内MBAでは学士相当の学位と職務経験を重視します。GMAT/GREは必須でないケースが増えていますが、英語開講科目や英語MBAでは英語力証明(TOEFL/IELTS 等)を求められることがあります。

標準修了年数と学習ペースは?働きながらでも可能?

標準は2年が中心です。オンラインは夜間・週末・オンデマンド活用で働きながらの履修が前提設計。長期履修や休学制度を用意する大学もあります。

授業スタイルは?ケースメソッドやグループワークは実施されますか?

ケースメソッド、ライブ討議、ブレイクアウトでのグループワーク、実務課題プロジェクトなどをオンラインでも実施します。録画視聴のみでなく双方向性を重視する設計が主流です。

学費の目安と追加費用は?

国内オンラインMBAの学費は総額で概ね200〜500万円程度が目安(大学により幅あり)。他に教材費、スクーリングの交通・宿泊費、オンライン受験の監督費用等がかかる場合があります。

国際認証(AACSB/EQUIS/AMBA)は重要?

認証は教育品質の国際的指標で、海外評価や転職市場での汎用性向上に寄与します。必須ではありませんが、比較の重要基準になります。

オンラインでもネットワーキングや同窓会の価値は得られる?

ライブ授業、チーム課題、学生コミュニティ、キャリアイベント、対面スクーリング等を通じてネットワーク形成が可能です。卒業後の校友会・OB/OGネットワークも活用できます。

キャリア支援(転職・起業支援)はオンラインでも利用できる?

キャリア面談、求人情報、キャリアセミナー、起業メンタリングなどをオンライン提供する大学が増えています。校友や在学生の紹介制度が整備されている場合もあります。

修士論文(または実務プロジェクト)は必須?

大学により修士論文・研究プロジェクト・実践型のCapstoneなど要件が異なります。オンラインでも指導教員の面談や進捗管理はオンラインツールで行われます。

海外在住でも受講・修了できますか?時差対応は?

海外在住でも受講可能なプログラムが多く、録画視聴や複数時間帯クラスで時差配慮を行う場合があります。試験はオンライン監督(リモートプロクタリング)を用いることがあります。

入試の選考プロセスは?オンラインで完結しますか?

出願(書類・エッセイ・推薦状・職務経歴)→筆記(大学による)→オンライン面接が一般的です。多くは出願から合否連絡までオンラインで完結します。

必要なIT環境・機材は?

安定した高速回線、カメラ・マイク付きPC、最新ブラウザ、学習管理システム(LMS)対応環境が必要。静音環境とヘッドセットの準備が推奨されます。

単位互換・科目等履修からの編入は可能?

一部大学で科目等履修生の単位認定や他大学との単位互換制度があります。上限単位や成績要件が定められているため事前確認が必要です。

ダブルディグリーや英語科目の併用はできる?

大学・専攻により、海外提携校とのダブルディグリーや英語開講科目の履修が可能な場合があります。募集枠や要件が限定されることが多いです。

EMBA(エグゼクティブMBA)との違いは?

EMBAは管理職・経営層向けで週末集中・短期滞在が多く、学費も高め。MBAは幅広い職務層を対象に基礎〜応用を体系的に学ぶ設計が一般的です。

学位の社会的評価や昇進・転職への効果は?

大学のブランド、認証、学修成果、実務での成果発揮、ネットワーク活用が評価の鍵です。オンラインか通学かより、何を学びどう活かしたかが重視されます。

プログラム選びのチェックリストは?

①完全オンライン/ハイブリッド ②授業スタイルと双方向性 ③国際認証の有無 ④学費と総学修コスト ⑤修了要件(論文/Capstone) ⑥時差・働き方適合性 ⑦キャリア支援と校友ネットワーク ⑧教員陣と授業品質 ⑨英語/日本語比率 ⑩入試要件と出願スケジュール。

出願タイムラインの目安は?

理想は入学1年前から情報収集→6〜9か月前に出願準備(エッセイ・推薦)→3〜5か月前に出願・面接→合格後に履修登録・資金計画・仕事調整を進めます。

よくある失敗と回避策は?

情報不足・過密スケジュール・学習環境未整備が代表例。体験授業参加、週次学習ルーティンの確立、家族・職場の合意形成、IT環境の事前テストで回避できます。

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