看護師留学ガイド2025:海外で働く・学ぶための完全ロードマップ
はじめに
近年、日本の看護師の間で「留学」という選択肢が注目を集めています。
「もっと英語を使えるようになりたい」
「海外で看護師として働きたい」
「国際的な医療の現場を経験したい」
こうした思いから、語学留学や専門的な看護プログラムへの参加を検討する人が増えています。
看護師が留学する目的は人によってさまざまです。
- 
英語力の向上:国際学会や外国人患者対応に備えるため 
- 
資格の取得:アメリカやオーストラリアなどで現地の看護師免許を目指すため 
- 
キャリアアップ:海外の医療現場で経験を積み、帰国後の転職や昇進につなげるため 
- 
ライフスタイルの実現:国際的な働き方や移住を視野に入れるため 
しかし、実際に「看護師留学」といっても、選択肢は非常に幅広く、国やプログラムによって内容も大きく異なります。さらに、費用、必要な英語力、現地での就労条件など、事前に理解しておくべきことが数多くあります。
本ガイドでは、看護師が留学を考える際に知っておきたい基礎知識から、国別の特徴、準備の流れ、費用の目安、そして留学後のキャリアまでを総合的に解説します。これから留学を目指す方にとって「最初の一歩」となる情報源を目指しました。
まずは、自分にとって「どんな留学が最適なのか」をイメージしながら読み進めてみてください。
✍️ 看護師留学のメリットとデメリット
✅ 看護師留学のメリット
- 
英語力の向上 
 海外で生活しながら学ぶことで、医療英語だけでなく日常会話も自然に身につきます。国際学会や外国人患者への対応に自信がつき、グローバルな看護師としての価値が高まります。
- 
国際的な医療現場の経験 
 アメリカやオーストラリアなど先進国の病院で臨床経験を積むことは、日本では得られない学びにつながります。医療システムや看護の役割の違いを理解できるのは大きな強みです。
- 
キャリアアップと転職のチャンス 
 帰国後に「海外経験あり」となることで、国際病院、外資系医療機関、大学病院などでの転職に有利になります。また海外永住や長期的なキャリア設計にもつながります。
- 
視野の拡大と自己成長 
 多国籍の仲間と学ぶことで価値観が広がり、看護師としてだけでなく人間としても成長できます。
⚠️ 看護師留学のデメリット
- 
費用が高い 
 語学留学でも数十万円〜、看護プログラムや資格取得を目指す場合は数百万円単位の費用が必要です。学費だけでなく生活費、試験料、ビザ申請費も考慮しなければなりません。
- 
英語力の壁 
 多くの国でIELTSやTOEFLなどのスコアが必要です。現地で授業や臨床を受けるためには高い英語力が求められるため、渡航前からしっかり準備が必要です。
- 
資格の互換性がない場合が多い 
 日本の看護師免許がそのまま海外で通用することはほとんどありません。追加の試験(例:アメリカのNCLEX)や研修を受ける必要があります。
- 
生活面での不安 
 文化や習慣の違い、ビザや就労条件の制約など、日本と同じ感覚では通用しない部分も多く、適応力が求められます。
まとめ
看護師留学は、キャリアアップや国際的な経験を得る大きなチャンスですが、その分、費用・英語力・資格の壁などを乗り越える必要があります。大切なのは「自分の目的に合った留学スタイルを選ぶこと」です。
✍️ 看護師留学の種類
看護師の留学にはいくつかのスタイルがあり、目的やキャリアプランによって最適な選択肢が変わります。ここでは代表的な3つのパターンを紹介します。
1. 語学留学(短期・長期)
- 
目的:英語力の向上、医療英語の習得 
- 
対象国:フィリピン、カナダ、オーストラリア、アメリカなど 
- 
特徴: - 
看護師として働く前に、まずは英語力を高めるための留学。 
- 
特にフィリピンはマンツーマン授業が多く、医療英語コースを持つ語学学校もあるため人気。 
- 
数週間〜1年程度の短期滞在が多い。 
 
- 
✅ こんな人におすすめ
「英語で患者と会話できるようになりたい」
「海外の看護師資格取得を目指す前に基礎英語を固めたい」
2. 看護系プログラム・資格取得型留学
- 
目的:海外の看護師資格取得、大学・専門プログラムでの学位取得 
- 
対象国:アメリカ(NCLEX受験)、オーストラリア、カナダ、イギリスなど 
- 
特徴: - 
各国の看護師免許を取得するための留学。 
- 
大学や専門学校に進学し、現地のカリキュラムを修了する必要がある。 
- 
IELTSなどの高い英語力が必須。 
- 
数年単位での学習と数百万円規模の費用がかかることも多い。 
 
- 
✅ こんな人におすすめ
「本気で海外で看護師として働きたい」
「長期的に海外移住・永住を視野に入れている」
3. 就労型・ワーホリ留学
- 
目的:働きながら英語を学ぶ、医療現場での実務経験 
- 
対象国:オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、カナダなど 
- 
特徴: - 
ワーキングホリデービザや就労ビザを利用して、アルバイトや看護助手などで働きながら英語を学ぶスタイル。 
- 
現地の正看護師資格がなくても「ケアワーカー」「アシスタントナース」として働ける場合がある。 
- 
留学費用を抑えつつ実務経験を積めるのが魅力。 
 
- 
✅ こんな人におすすめ
「費用を抑えて実務経験もしたい」
「とりあえず海外で生活しながら看護の現場に触れてみたい」
まとめ
看護師留学には「語学留学」「資格取得型」「就労型」の3つの大きなスタイルがあります。まずは自分の目的(英語力UP/資格取得/海外就労)を明確にし、それに合ったルートを選ぶことが成功のカギです。
フィリピン・セブ島での看護師留学
✅ 特徴
- 
語学留学の定番地 
 セブ島は日本人に最も人気のある英語留学先のひとつです。マンツーマン授業が中心の語学学校が多く、短期間でも効率的に英語力を伸ばせます。看護師や医療従事者向けの「医療英語コース」を開講している学校もあります。
- 
費用が安い 
 欧米と比べて授業料・生活費が大幅に安く、1ヶ月あたり15〜25万円程度で留学が可能。寮や食事も含まれている学校が多く、予算を抑えながら学べるのが大きな魅力です。
- 
日本から近い&行きやすい 
 日本から直行便で4〜5時間。時差も1時間しかないため、短期留学や有給休暇を使った渡航も現実的です。
✅ メリット
- 
医療英語に特化したコースがある 
 看護師や薬剤師など、医療従事者向けに「医療英語」「看護英会話」を学べるプログラムが選べます。海外の病院で働く準備や、外国人患者への対応に役立ちます。
- 
マンツーマン授業でスピーキング力強化 
 グループ授業が中心の欧米と異なり、セブ島ではマンツーマンで話す時間が長いので、短期間でも実践的な会話力が身につきます。
- 
短期から長期まで柔軟に選べる 
 1週間の超短期から1年の長期まで自由に期間を設定できるため、仕事を続けながら行く人も多いです。
⚠️ デメリット・注意点
- 
看護師資格は取得できない 
 フィリピンで看護師資格を新たに取るのは現実的ではなく、あくまで「語学留学」が中心。海外での就職を目指す場合は、その後にオーストラリアやアメリカなどで資格取得を目指す流れが一般的です。
- 
治安や生活環境の違い 
 セブ島は観光地でもありますが、一部エリアではスリや治安面に注意が必要です。学校寮に滞在するケースが多いため比較的安全ですが、生活習慣の違いへの適応力が必要です。
✅ 看護師におすすめの活用方法
- 
ステップアップの最初の一歩 
 「海外で看護師として働く前に、まずは英語力を身につける」ための準備として最適。
- 
短期研修・休職中のスキルアップ 
 1〜3ヶ月の語学留学で医療英語を学び、帰国後に国際病院や外国人患者の多い病院での勤務に活かせる。
- 
海外資格取得へのブリッジ 
 セブ島で英語力をつけたあと、アメリカのNCLEXやオーストラリアの資格プログラムを目指す人も多い。
まとめ
フィリピン・セブ島での看護師留学は、「英語学習+医療英語」 に特化した実践的なステップアップの場です。資格取得や本格的な就職には直結しませんが、費用を抑えながら短期間で英語力を強化できるため、「海外で働くための第一歩」として非常におすすめです。
オーストラリアでの看護師留学
✅ 特徴
- 
オーストラリアは 看護師が不足している国のひとつ であり、海外からの人材を積極的に受け入れています。 
- 
日本の看護師が現地で資格を取得すれば、正看護師(Registered Nurse: RN)として働く道が開けます。 
- 
語学学校、大学、専門コース、さらに現地病院での実務を組み合わせた留学スタイルが一般的です。 
✅ メリット
- 
資格取得後に就職・永住につながる 
 オーストラリアで正看護師資格を取得すると、現地での就職の可能性が広がり、さらには永住権申請につながるケースもあります。
- 
医療英語と臨床経験を同時に積める 
 学習過程で臨床実習が含まれているため、医療現場で実際に英語を使いながら経験を積むことができます。
- 
多文化社会での看護経験 
 移民の多い国なので、多国籍の患者と接することが多く、グローバルな医療現場を体験できます。
⚠️ デメリット・注意点
- 
高い英語力が必要 
 IELTS Academic 7.0以上、またはOET(Occupational English Test)合格が求められる場合が多く、渡航前からしっかり準備が必要です。
- 
費用が高額 
 語学学校+看護プログラム+生活費を合わせると、年間で300万〜500万円程度かかることもあります。
- 
資格互換の手続きが複雑 
 日本の看護師資格だけでは働けず、AHPRA(オーストラリア保健規制庁)への申請やブリッジングコースを経る必要があります。
✅ 看護師におすすめの活用方法
- 
短期(語学留学+医療英語コース) 
 まずは3〜6ヶ月の語学学校で英語力を磨き、医療英語を実践的に学ぶ。
- 
長期(大学・専門コース+資格取得) 
 本格的に現地で看護師資格を取り、就職・移住を目指す。
- 
ワーホリを利用した就労+学習 
 ワーキングホリデービザで渡航し、看護助手やケアワーカーとして働きながら資格準備を進める。
まとめ
オーストラリアでの看護師留学は、「資格取得→現地就職→永住」 というキャリアの可能性がある点で大きな魅力があります。費用や英語力のハードルは高いですが、本気で海外で看護師として働きたい人にとっては、最も現実的な選択肢のひとつです。
アメリカでの看護師留学
✅ 特徴
- 
アメリカは慢性的な看護師不足が続いており、海外の看護師を積極的に受け入れています。 
- 
日本の看護師が現地で働くためには、NCLEX-RN(全米看護師資格試験) に合格する必要があります。 
- 
語学留学+大学編入/ブリッジプログラムという流れが一般的です。 
✅ メリット
- 
世界最高水準の医療現場で働ける 
 大学病院や先進医療施設での臨床経験を積めるのは大きな強み。帰国後のキャリアでも高い評価を受けます。
- 
高収入・安定した需要 
 アメリカの看護師は平均年収が高く、日本の倍以上になるケースも珍しくありません。特に専門分野を持つとさらに高待遇が期待できます。
- 
キャリアアップの選択肢が豊富 
 NP(ナースプラクティショナー)や教育者、研究者など、看護師からのキャリア展開が幅広く可能です。
⚠️ デメリット・注意点
- 
高い英語力が必須 
 IELTS Academic 7.0以上、TOEFL iBT 90点以上が求められることが多く、渡航前からしっかり準備する必要があります。
- 
資格取得までの道のりが長い 
 NCLEX合格に加え、州ごとのライセンス取得手続きが必要。2〜4年単位での留学になることもあります。
- 
費用が非常に高額 
 大学や専門プログラムの学費+生活費で年間400〜600万円ほど。奨学金やローンの検討も必要です。
✅ 看護師におすすめの活用方法
- 
短期(語学留学+医療英語研修) 
 まずは1年以内で英語力を強化し、医療英語に慣れる。
- 
長期(大学編入/ブリッジプログラム+NCLEX受験) 
 本格的に看護師資格を取得して現地で就職を目指す。
- 
帰国後のキャリアアップ 
 アメリカでの経験を活かして、国際病院や外資系クリニックでの転職を狙う。
まとめ
アメリカでの看護師留学は、「高収入・先進医療・幅広いキャリア展開」 という大きなメリットがありますが、その分、「英語力・費用・手続きの複雑さ」 というハードルも高いです。本気で海外看護師として長期的なキャリアを築きたい人に向いています。
カナダでの看護師留学
✅ 特徴
- 
カナダは移民国家であり、医療現場でも外国人看護師の需要が高い国です。 
- 
日本の看護師が働くためには、NCAS(National Nursing Assessment Service) を経て、各州の規制機関で資格認定を受ける必要があります。 
- 
看護系プログラム(大学や専門学校)に進学し、学位を取得するルートも一般的です。 
✅ メリット
- 
移民・永住の可能性が高い 
 看護師はカナダの永住権申請に有利な職業のひとつで、資格を取得すれば移住につながるケースが多いです。
- 
働きやすい環境 
 ワークライフバランスを重視する文化があり、勤務時間やシフトも比較的柔軟。働きながら家族や私生活を大切にできる環境が整っています。
- 
学位取得の選択肢が豊富 
 カレッジや大学で看護プログラムを学び、学士号・修士号を取得することが可能。研究や教育者へのキャリアパスも開けます。
⚠️ デメリット・注意点
- 
英語力(または仏語力)が必須 
 IELTS Academic 6.5〜7.0以上が一般的。ケベック州など一部ではフランス語力も求められる場合があります。
- 
手続きが複雑で時間がかかる 
 NCASでの資格評価→各州のナース規制機関への申請→試験という流れが必要。数年単位の準備が必要になることもあります。
- 
費用は比較的高額 
 学費・生活費で年間300〜500万円ほど。アメリカよりは安い場合もありますが、長期滞在になると負担は大きくなります。
✅ 看護師におすすめの活用方法
- 
語学留学+カレッジ進学 
 まずは英語力を伸ばし、その後現地の看護プログラムに進学する。
- 
ブリッジングプログラム経由で資格取得 
 日本の資格を一部活かしつつ、追加学習で現地の資格を目指す。
- 
長期的な移住を視野に入れた留学 
 看護師を「移住に直結するキャリア」として選ぶケースが多い。
まとめ
カナダでの看護師留学は、「資格取得→就職→永住」 というルートが比較的現実的な国です。費用や手続きのハードルはありますが、働きやすい医療環境と移住の可能性を重視する人にとって理想的な選択肢といえます。
イギリスでの看護師留学
✅ 特徴
- 
イギリスで看護師として働くには、NMC(Nursing and Midwifery Council)登録 が必須です。 
- 
日本の看護師資格を持っていても、そのままでは働けず、英語試験+OSCE(臨床スキル試験) をクリアする必要があります。 
- 
NHS(国民保健サービス)を中心に、海外看護師の採用が進んでおり、実務経験があれば現地就職の道も開けます。 
✅ メリット
- 
世界的に評価されるNMC登録資格 
 イギリスで登録された看護師資格は、他の英語圏や中東諸国でも評価されやすく、国際的なキャリアに役立ちます。
- 
医療現場の経験を積みやすい 
 NHSは慢性的に看護師不足であり、海外看護師を積極的に採用しているため、チャンスが比較的多いです。
- 
ヨーロッパへのアクセス 
 イギリスで生活すれば、ヨーロッパ各国への旅行や研修にも参加しやすく、視野を広げやすい環境です。
⚠️ デメリット・注意点
- 
英語力のハードルが高い 
 IELTS Academic 7.0(各スキル6.5以上)またはOET(看護分野B以上)が必要。
- 
資格取得までのプロセスが複雑 
 NMCへの申請、英語試験合格、CBT(コンピュータ試験)、OSCE(実技試験)と複数のステップを踏む必要があります。
- 
生活費が高い 
 ロンドンを中心に物価が高く、留学費用+生活費で負担が大きくなります。
✅ 看護師におすすめの活用方法
- 
語学留学からのステップアップ 
 まず語学学校で英語力を強化し、その後にNMC登録を目指す。
- 
NHSでの就職をゴールに設定 
 NMC登録+IELTS/OETをクリアして現地病院へ就職。
- 
国際キャリアの足掛かり 
 イギリスでの資格・経験を活かして、他国へのキャリア展開につなげる。
まとめ
イギリスでの看護師留学は、「国際的に通用する資格」「NHSでの実務経験」 が得られる点で魅力的です。英語力や手続きの難しさ、生活費の高さといったハードルはありますが、国際キャリアを目指す人には価値のある選択肢といえます。
ニュージーランドでの看護師留学
✅ 特徴
- 
ニュージーランドで看護師として働くには、NCNZ(Nursing Council of New Zealand)への登録 が必要です。 
- 
日本の看護師資格を持っている場合でも、直接働くことはできず、英語試験(IELTS/OET)+能力審査+CAP(Competence Assessment Program) を経る必要があります。 
- 
移民政策が比較的柔軟で、看護師は移住希望者にとって有利な職種のひとつです。 
✅ メリット
- 
移住につながりやすい 
 看護師は「スキル不足職種(Skilled Shortage List)」に含まれることが多く、資格を取れば永住権申請が有利になります。
- 
働きやすい職場環境 
 ワークライフバランスを重視する文化で、残業が少なく、職場でもフラットな人間関係が築かれやすい傾向があります。
- 
自然豊かな生活環境 
 留学・就労を通じて、美しい自然と落ち着いた生活環境を楽しめるのも大きな魅力です。
⚠️ デメリット・注意点
- 
英語力のハードル 
 IELTS Academic 7.0以上またはOET合格が必要。特にスピーキングとリスニングの実力が重視されます。
- 
CAPコースの受講が必須 
 日本の資格保持者も、現地で「Competence Assessment Program(数ヶ月)」を修了する必要があります。
- 
費用と期間の負担 
 語学準備+CAP受講+生活費を合わせると、トータルで200〜400万円以上の費用と1年以上の期間が必要になるケースがあります。
✅ 看護師におすすめの活用方法
- 
語学留学+CAPコース 
 まず語学学校で英語力を磨き、その後CAPを受講して現地資格を取得。
- 
長期的な移住を見据えた留学 
 永住権を目指すキャリア設計の中で、看護師資格を活かす。
- 
オーストラリアとの比較検討 
 同じオセアニア圏なので、オーストラリアと条件を比べて自分に合うルートを選ぶのもおすすめ。
まとめ
ニュージーランドでの看護師留学は、「資格取得→就職→移住」 という流れを描きやすい国です。英語力やCAP受講などのハードルはありますが、ワークライフバランスと自然豊かな生活環境を求める人にとって魅力的な選択肢です。
看護師留学 主要6カ国 比較表
| 国 | 主な目的 | 必要な英語力 | 費用の目安 | 資格取得の難易度 | メリット | デメリット | 
|---|---|---|---|---|---|---|
| フィリピン(セブ島) | 語学留学、医療英語習得 | IELTS不要(基礎英語力でOK) | 月15〜25万円 | 資格取得は不可 | 費用が安い、マンツーマン授業、短期可 | 看護師資格に直結しない、治安や生活環境に注意 | 
| オーストラリア | 看護師資格取得、就職、永住 | IELTS 7.0 / OET B以上 | 年300〜500万円 | 高め(AHPRA+ブリッジングコース必要) | 永住権に有利、医療現場で経験、需要が大きい | 英語力・費用のハードルが高い | 
| アメリカ | NCLEX取得、就職、キャリアアップ | IELTS 7.0 / TOEFL 90点以上 | 年400〜600万円 | 非常に高い(NCLEX+州ライセンス) | 高収入、最先端医療、キャリア選択肢が豊富 | 費用が高額、資格取得まで長期 | 
| カナダ | 看護師資格取得、移住 | IELTS 6.5〜7.0 / OET | 年300〜500万円 | 高め(NCAS+州ライセンス) | 永住に有利、働きやすい職場文化 | 手続き複雑、費用も高め | 
| イギリス | NMC登録、NHS就職 | IELTS 7.0 / OET B以上 | 年300〜500万円 | 高め(CBT+OSCE必要) | 国際的に通用する資格、NHSで経験 | 生活費が高い、英語力必須 | 
| ニュージーランド | CAP受講→資格取得、移住 | IELTS 7.0 / OET B以上 | 年200〜400万円 | 中程度(CAP必須) | 永住に有利、働きやすい環境、自然豊か | 英語力必須、費用と時間の負担 | 
比較のポイント
- 
短期・費用を抑えて学びたい → フィリピン(セブ島) 
- 
海外で資格を取り、長期就職・移住したい → オーストラリア / カナダ / ニュージーランド 
- 
高収入・先進医療でキャリアを積みたい → アメリカ 
- 
国際的に通用する資格+ヨーロッパ経験 → イギリス 
どの国を選ぶべきか? 看護師留学の国選びポイント
看護師留学といっても、国によって目的や条件が大きく異なります。大切なのは、「自分の目的」×「条件」 を整理してから留学先を決めることです。
1. 英語力と準備期間で選ぶ
- 
英語力にまだ自信がない → フィリピン(セブ島) 
 マンツーマン授業で短期間でも英語力を鍛えやすい。海外資格取得を目指す前の「準備段階」として最適。
- 
すでにIELTS 6.5以上ある → オーストラリア / カナダ / ニュージーランド 
 資格取得やブリッジングプログラムへの挑戦が現実的に。
- 
IELTS 7.0以上、さらに本気で挑戦 → アメリカ / イギリス 
 高い英語力を武器に、難関の資格試験や実技試験に挑める。
2. 将来のキャリアで選ぶ
- 
日本に帰国してキャリアアップしたい 
 → アメリカ(先進医療の経験) / イギリス(国際的に通用する資格)
- 
海外移住・永住を視野に入れている 
 → オーストラリア / カナダ / ニュージーランド(移住制度に有利)
- 
まずは短期でスキルアップだけ 
 → フィリピン(セブ島)
3. 費用と生活環境で選ぶ
- 
費用をできるだけ抑えたい 
 → フィリピン(語学留学なら最安)、ニュージーランド(比較的費用は抑えめ)
- 
生活のしやすさを重視 
 → カナダ(治安・教育水準が高い)、ニュージーランド(自然豊かで働きやすい)
- 
国際都市で経験を積みたい 
 → アメリカ(大都市の病院)、イギリス(NHSでの勤務)
4. 期間で選ぶ
- 
1週間〜3ヶ月:語学+医療英語研修 → フィリピン 
- 
半年〜2年:語学+資格準備/ブリッジング → オーストラリア / カナダ / ニュージーランド 
- 
2〜4年以上:大学進学+資格取得 → アメリカ / イギリス 
まとめ
- 
「英語力を伸ばしたい」ならフィリピン 
- 
「永住も視野に資格を取りたい」ならオーストラリア・カナダ・ニュージーランド 
- 
「世界トップレベルの医療を経験したい」ならアメリカ 
- 
「国際資格でヨーロッパでも活躍したい」ならイギリス 
自分の「将来像」をイメージして、そこから逆算して国を選ぶのが成功への近道です。
看護師留学の流れ(準備〜渡航〜資格取得まで)
看護師留学は「思い立ったらすぐ行ける」ものではなく、しっかりとした準備が必要です。ここでは一般的な流れをステップごとに整理します。
1. 情報収集と目標設定
- 
留学の目的を明確にする(語学?資格?就職?) 
- 
行きたい国やプログラムの条件を比較する 
- 
必要な英語力や費用、期間を把握して計画を立てる 
2. 英語力の準備
- 
語学試験のスコアを確認(IELTS, TOEFL, OETなど) 
- 
目標スコア: - 
フィリピン語学留学 → 不要〜IELTS 4.0程度 
- 
オーストラリア / カナダ / NZ / イギリス → IELTS 6.5〜7.0以上 
- 
アメリカ → IELTS 7.0 / TOEFL 90点以上 
 
- 
- 
まずは国内で基礎を固め、必要なら短期の語学留学で実力を高める 
3. 出願・手続き
- 
語学学校、大学、専門コースへ出願 
- 
必要書類の準備(成績証明書、看護師免許、推薦状など) 
- 
ビザ申請(学生ビザ、ワーホリビザ、就労ビザなど) 
4. 渡航・現地での学習
- 
語学学校で英語学習 
- 
看護系プログラムやブリッジングコースで専門知識・技術を習得 
- 
臨床実習やアルバイトで実践経験を積む 
5. 資格試験の受験
- 
アメリカ:NCLEX-RN 
- 
オーストラリア:AHPRA登録+ブリッジング修了 
- 
カナダ:NCAS+州試験 
- 
イギリス:NMC登録+CBT+OSCE 
- 
ニュージーランド:CAP修了 
6. 就職・キャリア形成
- 
現地の病院や施設に就職 
- 
永住権や移民申請を検討 
- 
帰国して国際病院や外資系クリニックでキャリアアップ 
まとめ
看護師留学は、「目標設定 → 英語力準備 → 出願 → 渡航 → 学習・実習 → 資格試験 → 就職」 という長いプロセスです。特に資格取得型は数年単位の計画が必要なので、早めの準備が成功のカギです。
看護師留学にかかる費用(国別シミュレーション)
看護師留学の費用は、国・留学の種類(語学/資格取得/就労型)・滞在期間 によって大きく変わります。ここでは主要6カ国の目安をシミュレーション形式でまとめます。
フィリピン(セブ島)
- 
語学留学(1ヶ月):15〜25万円 - 
授業料・寮・食費込みの場合が多い 
 
- 
- 
半年の場合:80〜120万円 
 ✅ 欧米に比べて圧倒的に安く、短期留学や準備段階に最適。
オーストラリア
- 
語学学校(半年):100〜150万円 
- 
看護ブリッジングコース+生活費(1年):300〜400万円 
- 
大学で学士号取得(3年):900〜1200万円 
 ✅ 資格取得や移住を視野に入れると高額だが、リターンも大きい。
アメリカ
- 
語学学校(1年):200〜300万円 
- 
看護学部編入・NCLEX準備(2〜4年):800〜1500万円 
 ✅ 最も費用が高額。奨学金制度を利用する人も多い。
カナダ
- 
語学学校(半年):80〜130万円 
- 
カレッジ進学+生活費(1年):300〜400万円 
- 
ブリッジングプログラム(1年):250〜350万円 
 ✅ 学費はアメリカより安いが、生活費は高め。
イギリス
- 
語学学校(半年):120〜180万円 
- 
NMC登録+OSCE準備(1年):250〜400万円 
 ✅ ロンドンは物価が高く、生活費がかさむ点に注意。
ニュージーランド
- 
語学学校(半年):80〜120万円 
- 
CAPコース+生活費(1年):200〜400万円 
 ✅ オーストラリアよりはやや費用が抑えられるが、英語試験準備も含めると合計は大きい。
まとめ(国別の費用感)
- 
最安:フィリピン(短期留学なら20万円前後) 
- 
中間:ニュージーランド・カナダ(資格取得まで200〜400万円) 
- 
高額:オーストラリア・イギリス(300〜500万円以上) 
- 
最も高額:アメリカ(数百万〜1000万円超も) 
看護師留学に必要な英語力
看護師留学では、国やプログラムによって求められる英語力が異なります。特に資格取得や現地就労を目指す場合、IELTS・TOEFL・OET などの公式スコアが必要です。
1. IELTS(Academic)
- 
看護師留学で最も一般的に求められる試験 
- 
4技能(リスニング・リーディング・ライティング・スピーキング)を測定 
- 
目安スコア - 
語学留学(フィリピン):不要〜4.0程度 
- 
オーストラリア/カナダ/ニュージーランド:6.5〜7.0以上 
- 
イギリス(NMC登録):7.0以上(各スキル6.5以上) 
- 
アメリカ(大学進学):7.0以上 
 
- 
2. TOEFL iBT
- 
主にアメリカ留学で求められる試験 
- 
目安スコア - 
アメリカの大学編入・NCLEX受験準備:90点以上 
- 
大学院レベル:100点以上 
 
- 
3. OET(Occupational English Test)
- 
医療従事者専用の英語試験 
- 
医療現場で使う英語に特化しており、看護師・医師・薬剤師などが受験対象 
- 
評価:A〜E(看護師はB以上が基準) 
- 
採用国:オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなどで公式認定 
4. 現実的な準備の目安
- 
英語力ゼロ〜初級:まずはフィリピン語学留学で基礎を固める 
- 
中級(IELTS 5.0前後):半年〜1年で6.5を目指し、ブリッジングプログラムへ 
- 
上級(IELTS 6.5以上):資格試験(NCLEX/NMC/CAP)に直結するプログラムを受講可能 
まとめ
- 
語学留学だけならスコア不要〜中級レベルで十分 
- 
資格取得や就労を目指す場合は IELTS 6.5〜7.0 / TOEFL 90点 / OET B以上 が必須 
- 
英語試験は渡航直前ではなく、1〜2年かけて準備するのが現実的 
看護師留学に利用できる奨学金・補助制度
看護師留学は数十万〜数百万円と高額になるため、奨学金や補助制度を上手に活用することが成功のポイントです。ここでは代表的な制度を紹介します。
1. 日本国内の奨学金制度
● 日本学生支援機構(JASSO)
- 
海外留学支援制度(短期・長期)を提供 
- 
支援内容:月額6〜10万円程度の給付型/貸与型あり 
- 
対象:大学在籍中に海外の教育機関で学ぶ場合 
 看護大学生・看護系大学院生におすすめ
● 自治体や病院の奨学金
- 
一部の自治体や医療機関では「留学・研修支援」として奨学金制度を設けているケースあり 
- 
例:帰国後に一定期間その病院で勤務することを条件に、留学費用を補助 
2. 海外の奨学金制度
● 各国政府の奨学金
- 
フルブライト奨学金(アメリカ) 
 大学院留学などで学費・生活費を支援
- 
Chevening奨学金(イギリス) 
 修士課程留学を対象とした全額支援型
- 
オーストラリア Awards 
 医療・看護分野を含む専門人材育成を目的とした奨学金
● 大学独自の奨学金
- 
海外大学の看護学部や大学院で、成績優秀者に対して学費の一部免除があるケースも 
3. 民間団体・企業の支援
- 
国際交流財団や医療関連財団が「看護師の国際研修」を対象とした助成金を提供している場合あり 
- 
民間の留学エージェントが提携校に限り学費割引を行うケースもある 
4. 奨学金活用のポイント
- 
返済義務があるかないかを確認(給付型 or 貸与型) 
- 
応募時期が早い(出発の1年以上前に締め切りの場合も) 
- 
条件付き(帰国後に特定病院で勤務など) のものもあるため要注意 
まとめ
- 
学生なら JASSO+大学提携の奨学金 
- 
社会人看護師なら 病院独自の制度や民間助成金 
- 
本格的に学位取得なら 各国政府や大学の奨学金 
を狙うのがおすすめです。費用が理由で諦めるのではなく、複数の資金源を組み合わせることが重要です。
帰国後のキャリア:看護師留学を日本でどう活かせるか?
看護師留学を経験したあと、日本に戻ってキャリアを続ける人も多くいます。海外で得た英語力や臨床経験は、日本国内でも大きな強みになります。
1. 国際病院・外資系クリニックでの勤務
- 
東京・大阪など大都市には、外国人患者を多く受け入れる国際病院や外資系医療機関があります。 
- 
英語で患者対応ができる看護師は重宝され、給与や待遇も良いケースが多いです。 
2. 医療ツーリズム・訪日外国人医療への対応
- 
訪日外国人患者は年々増加しており、医療通訳を兼ねた看護師の需要が高まっています。 
- 
英語+医療スキルを活かせば、病院の国際医療センターや観光医療の分野で活躍可能。 
3. 看護教育・研修分野での活躍
- 
海外の医療システムや教育スタイルを学んだ経験を活かし、看護大学や専門学校で教育に携わる道もあります。 
- 
臨床現場だけでなく「教える立場」としてキャリアを築けるのも魅力。 
4. 外資系企業・国際機関でのキャリア
- 
製薬会社、医療機器メーカー、国際NGO、JICAなどでは「医療知識+英語力」を持つ人材を求めています。 
- 
研究や開発、国際協力の分野でキャリアチェンジをする人もいます。 
5. 日本の看護現場での昇進・評価
- 
外国人患者への対応力を買われ、国際部門の責任者に抜擢されるケースも。 
- 
留学経験は履歴書や面接で強いアピール材料になり、転職市場で有利に働きます。 
まとめ
- 
留学後は 「英語力+国際経験」 を強みとして、病院・教育・企業・国際機関など幅広いキャリアが開けます。 
- 
「資格がそのまま通用しない」としても、日本での需要は確実に存在します。 
❓ 看護師留学のよくある質問(FAQ)
Q1. 日本の看護師資格は海外でそのまま使えますか?
A. ほとんどの国ではそのまま使えません。追加の試験(NCLEX、OET、OSCEなど)やブリッジングプログラムを経て、現地の看護師資格を取得する必要があります。
Q2. 英語力がゼロでも留学できますか?
A. 可能です。フィリピン・セブ島などでは初級者から参加できる語学学校があります。ただし、資格取得や就労を目指す場合は IELTS 6.5〜7.0 / TOEFL 90点 / OET B以上 のスコアが必要です。
Q3. 看護師留学の費用はどのくらいかかりますか?
A. 国と目的によります。
- 
フィリピン語学留学:月15〜25万円程度 
- 
オーストラリア/カナダ/ニュージーランド:年間200〜400万円 
- 
アメリカ/イギリス:年間300〜600万円以上 
Q4. 年齢制限はありますか?
A. 大学や専門コースには基本的に年齢制限はありません。ただし ワーキングホリデービザ(オーストラリア・NZ・カナダなど)は30歳前後まで が多いです。
Q5. 留学後に必ず海外で就職できますか?
A. 英語力・資格・ビザ条件をクリアすれば可能ですが、国や地域の需要にも左右されます。特にアメリカやイギリスは競争率が高いため、しっかりと準備が必要です。
Q6. 留学後に日本に戻った場合、経験は評価されますか?
A. はい。国際病院、外資系クリニック、教育機関、製薬会社などで高く評価されます。英語力+国際経験は大きな強みです。
Q7. 家族連れでの看護師留学は可能ですか?
A. 可能です。オーストラリア・カナダ・ニュージーランドでは配偶者ビザや子供の就学サポート制度が整っています。ただし費用は大幅に増加します。
まとめ
FAQを確認すると、看護師留学は「英語力」「費用」「資格の互換性」が主なハードルであることが分かります。早めに情報収集を行い、計画的に準備することが成功のカギです。
まとめ:看護師留学はキャリアと人生を広げる大きな一歩
看護師留学は、決して簡単な道ではありません。
英語力の壁、費用の負担、資格取得までの長いプロセス…越えなければならない課題は多くあります。
しかしその一方で、留学によって得られるものは非常に大きいです。
- 
英語で自信を持って患者と向き合える力 
- 
国際的な医療現場での経験 
- 
海外就職や永住につながるキャリアの可能性 
- 
帰国後も活かせる「グローバルに通用する看護師」としての価値 
短期の語学留学から始める人もいれば、長期で資格取得を目指す人もいます。大切なのは、「自分の目的」から逆算して、国やプログラムを選ぶこと です。
「海外で看護師として働いてみたい」
「英語を武器にキャリアアップしたい」
「国際的な舞台で挑戦してみたい」
そう思ったときが、準備を始めるタイミングです。
看護師留学は、あなたのキャリアと人生に新しい可能性をもたらす大きな一歩になるでしょう。
✅ 次のステップ
- 
まずは自分の目的を整理する(語学?資格?就職?) 
- 
行きたい国の条件や費用をリスト化する 
- 
英語力を伸ばす計画を立てる(必要なら短期留学から) 
一歩踏み出せば、必ず道は開けます。
