目次
カナダでの看護師留学:メリット・必要条件・キャリア展望ガイド
はじめに
海外で看護師として働いてみたい、国際的な資格を手にしてキャリアを広げたい――そんな夢を持つ方にとって、カナダは注目すべき留学先のひとつです。
カナダは医療制度が整い、看護師の需要も高く、世界中から多くの医療従事者が集まる国です。さらに、英語力を磨きながら専門性を高められる環境が整っているため、留学を通じて得られる経験は将来のキャリアに大きな強みとなります。
一方で、資格の認定手続きや英語力の証明など、事前に準備しておくべきステップも数多くあります。
このガイドでは、カナダで看護師として学び、働くために必要な条件や流れ、留学のメリットや費用感、将来のキャリア展望までをわかりやすく解説します。
カナダで看護師留学をするメリット
1. 看護師の需要が高い
カナダは高齢化が進んでおり、慢性的に看護師不足が続いています。医療現場では常に人材が求められているため、海外から来る看護師にもチャンスがあります。
2. 国際的に通用するキャリア
カナダでの学習や就労経験は、英語圏をはじめとする多くの国で高く評価されます。将来的にカナダ以外の国で働きたい場合も、大きなアドバンテージになります。
3. 高水準の給与と労働環境
カナダの看護師の平均年収は7万〜9万カナダドルほど。安定した収入に加え、労働環境や福利厚生も整っているため、安心して働けるのも魅力です。
4. 移民・永住権のチャンス
看護師はカナダの移民政策上で優遇される職種のひとつです。資格を取得し、一定の就労経験を積めば、永住権取得への道が開ける可能性があります。
5. 多文化環境で学び・働ける
カナダは移民国家であり、患者さんや同僚も多様なバックグラウンドを持っています。グローバルな医療現場を経験できることは、日本では得られにくい貴重な学びとなります。
カナダで看護師になるための条件
カナダで看護師として働くためには、日本の資格をそのまま使うことはできません。国際的に資格を認定してもらうプロセスと、一定の英語力を証明することが必要になります。ここでは、基本的な条件を整理します。
1. 学歴・資格の認定
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日本の看護師資格を持っている場合でも、まずは NNAS(National Nursing Assessment Service) に申請し、学歴・職歴・免許がカナダ基準に合っているかを評価してもらう必要があります。 
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NNASの評価結果に基づき、各州の看護師規制機関に登録申請を行います(例:オンタリオ州はCNO、ブリティッシュコロンビア州はBCCNMなど)。 
2. 英語力の証明
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IELTS Academic:各セクション7.0以上が目安。 
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または、看護師専用の英語試験 CELBAN(Canadian English Language Benchmark Assessment for Nurses)も利用可能。 
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英語力の証明は、NNAS登録や州規制機関の申請に必須。 
3. 追加学習(ブリッジングプログラム)
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日本の資格とカナダの基準に差がある場合、大学やカレッジで「ブリッジングプログラム」を受講する必要があります。 
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期間は数ヶ月〜1年程度で、カナダの医療システムや臨床スキルを学ぶことが中心です。 
4. 国家試験 NCLEX-RN
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最終的にカナダの看護師国家試験 NCLEX-RN に合格することで、Registered Nurse(正看護師)として働ける資格を得られます。 
カナダでの看護師留学のステップ
カナダで看護師として学び、働くまでにはいくつかのステップがあります。順序立てて進めることで、スムーズに目標へ近づくことができます。
1. 英語力の準備
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IELTS Academic(7.0以上)または CELBAN に向けた学習を始める。 
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多くの人がまず語学学校で医療英語やアカデミック英語を強化。 
2. NNASへの申請
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日本の看護師資格や学歴・職歴を NNAS(National Nursing Assessment Service) に提出し、カナダ基準での評価を受ける。 
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評価レポートが完成するまで数ヶ月かかるため、早めの手続きが重要。 
3. 州ごとの規制機関への登録
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NNASの結果をもとに、希望する州の看護師規制機関に申請。 - 
例:オンタリオ州 → CNO(College of Nurses of Ontario) 
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ブリティッシュコロンビア州 → BCCNM(British Columbia College of Nurses and Midwives) 
 
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4. ブリッジングプログラムの受講(必要な場合)
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資格や学歴に差があると判断された場合、数ヶ月〜1年程度の「ブリッジングプログラム」を受講。 
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カナダの医療システム、臨床実習、現地の看護倫理などを学ぶ。 
5. 国家試験 NCLEX-RN の受験
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全ての条件をクリアした後、カナダの看護師国家試験 NCLEX-RN を受験。 
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合格すれば Registered Nurse(正看護師)として正式に働く資格を得られる。 
6. 就労・永住権申請
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看護師としてのキャリアをスタート。 
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カナダの移民政策では医療従事者は優遇されるため、一定の就労経験を積むことで永住権申請も可能に。 
人気の留学プラン
カナダで看護師を目指す道は一つではありません。英語力をつける段階から、本格的に資格取得を目指すものまで、目的に応じて多様なプランがあります。ここでは代表的な留学パターンを紹介します。
1. 語学学校+医療英語プログラム
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英語力を集中的に伸ばしたい人におすすめ。 
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IELTSやCELBAN対策に加え、医療現場で使う専門用語やコミュニケーションスキルを習得できる。 
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留学初期の準備段階として人気。 
2. 大学・カレッジの看護学部に進学
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正規の看護学プログラムに入学し、国際的に通用する学位(Bachelor of Nursingなど)を取得。 
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期間は通常4年。 
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卒業後はNCLEX-RN受験資格を得られ、そのままカナダで就職も可能。 
3. ブリッジングプログラム
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日本で看護師資格を持つ人が最も利用するケース。 
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数ヶ月〜1年程度で、カナダ基準に合わせた補講や実習を受ける。 
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修了後はNCLEX-RNの受験資格を得られる。 
4. 短期研修・インターンシップ
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夏休みや数週間のプログラムで、医療英語やカナダの医療現場を体験。 
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「まずはカナダの医療を覗いてみたい」という人に適している。 
費用の目安
カナダでの看護師留学にかかる費用は、選ぶプログラムや都市によって大きく異なります。ここでは一般的な目安を紹介します。
1. 学費
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語学学校:月 1,200〜1,600 CAD 
 → 医療英語やIELTS対策を含むコースもあり。
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カレッジ・大学:年間 15,000〜25,000 CAD 
 → 看護学部(Bachelor of Nursing)やディプロマ課程。
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ブリッジングプログラム:5,000〜15,000 CAD 
 → 期間や州によって変動あり。短期集中型から1年程度のものまで。
2. 生活費
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住居費:月 600〜1,200 CAD(シェアハウスや学生寮など) 
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食費・日用品:月 300〜500 CAD 
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交通費・通信費:月 100〜200 CAD 
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合計目安:月 1,000〜1,500 CAD 
3. その他の費用
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試験料:IELTS(約 300 CAD)、CELBAN(約 400 CAD)、NCLEX-RN(約 360 USD) 
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ビザ申請費:約 150〜250 CAD 
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医療保険:月 50〜100 CAD 
トロントやバンクーバーなど大都市は生活費が高め、地方都市はやや安い傾向があります。
就職・キャリア展望
カナダで看護師資格を取得すると、就職の選択肢は幅広く、安定したキャリアを築けます。さらに、医療従事者は移民政策で優遇されやすいため、長期的にカナダに定住するチャンスも広がります。
1. 病院・クリニック
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一般病棟、集中治療室、手術室、小児科、産科など、幅広い部署で活躍可能。 
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都市部は最新医療を扱う大病院、地方では地域密着型の医療機関が多い。 
2. 介護施設・長期ケア
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高齢化が進むカナダでは、老人ホームや介護施設での看護師需要が非常に高い。 
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安定して働ける職場が多く、移民を目指す人にも人気。 
3. 公衆衛生・地域医療
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学校やコミュニティセンターでの健康教育、ワクチン接種プログラムなどにも看護師は欠かせない。 
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多文化社会の中で、移民や先住民コミュニティに関わる仕事も。 
4. キャリアアップの道
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ナースプラクティショナー(NP):診療行為が可能で、より高度な医療を担当。 
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看護教育者:大学やカレッジで看護学生を指導。 
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研究職:医療研究機関で新しい看護理論や実践方法を探求。 
5. 永住権へのステップ
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看護師はカナダの移民制度(Express Entryなど)で優遇される職種。 
- 
一定の就労経験を積めば、永住権申請への道が開け、安定して暮らす基盤を築ける。 
まとめ
カナダでの看護師留学は、語学力の向上と専門性の習得を同時に実現できる貴重な機会です。
日本で取得した看護師資格をそのまま使うことはできませんが、NNASの申請や英語試験、ブリッジングプログラム、そしてNCLEX-RNといったステップを一つずつクリアしていけば、カナダでの就労や永住権取得への道が開けます。
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看護師不足が続くカナダでは、需要が高く就職のチャンスも豊富。 
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高水準の給与や整った労働環境、多文化な現場は大きな魅力。 
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将来的には、ナースプラクティショナーや教育者など、さらに専門性を高めたキャリアパスも選択可能。 
海外で看護師として働くのは決して簡単ではありませんが、挑戦する価値は大きいと言えるでしょう。
まずは英語力の準備から始め、しっかりと計画を立てて進めることが成功のカギです。
カナダでの看護師留学:FAQ
Q1. 日本の看護師でもカナダで働けますか?
可能です。ただし日本の免許はそのままでは使えません。NNASでの学歴・免許評価、州規制機関への申請、必要に応じたブリッジング受講、そしてNCLEX-RN合格が必要です。
Q2. まず何から始めればいいですか?
- 英語力の準備(IELTS Academic または CELBAN)
- NNASにアカウント作成・書類準備
- 希望州の規制機関(例:CNO, BCCNM)を確認
- 必要ならブリッジングやカレッジ/大学を選定
Q3. 必要な英語スコアは?IELTSとCELBANのどちらが良い?
目安としてIELTS Academic 7.0(各セクション要件あり)またはCELBANが一般的です。
医療現場の実用性重視ならCELBAN、学術用途や学校出願が絡むならIELTSを選ぶケースが多いです。
Q4. NNASとは?どのくらい時間がかかりますか?
NNAS(National Nursing Assessment Service)は海外看護師の学歴・免許を評価する機関です。
書類収集や審査で数か月かかるのが一般的なため、早めの着手が重要です。
Q5. ブリッジングプログラムは必須ですか?期間は?
評価結果と州の要件次第です。必要な場合は数か月〜1年程度で、カナダの医療制度、臨床技能、倫理、コミュニケーションなどを補完します。
Q6. NCLEX-RNに合格すればすぐ働けますか?
合格後、州の登録(ライセンス発行)を完了すればRegistered Nurse(RN)として就業可能です。雇用条件や必要書類は雇用先や州によって異なります。
Q7. 州による違い(CNO・BCCNMなど)は何ですか?
英語要件、追加学習の指示、手続きの流れが異なります。
例:オンタリオ州はCNO、ブリティッシュコロンビア州はBCCNMが所管です。希望の居住地・就業地から逆算して選ぶのが実用的です。
Q8. 学費・生活費はいくらかかりますか?
- 語学学校:月 1,200〜1,600 CAD
- カレッジ・大学:年 15,000〜25,000 CAD
- ブリッジング:5,000〜15,000 CAD
- 生活費(住居・食費等):月 1,000〜1,500 CAD(都市で差)
実額は学校・都市・為替で変動します。
Q9. 留学中に働けますか?
通常、フルタイム留学生は学期中に週一定時間までの就労が認められることがあります(職種・条件・政策変更に注意)。
学校内の仕事や医療と関連する一般職で経験を積む例があります。
Q10. 卒業後の就労ビザや永住権は?
条件を満たすプログラム修了後は就労許可(例:PGWP)の対象になり得ます。
就労経験を積むことで永住権(例:Express Entry 等)に進む道が開ける場合があります。制度は更新されるため最新情報の確認が不可欠です。
Q11. RNとLPNの違いは?どちらを目指すべき?
RNは責任範囲が広く給与も高め、LPNはより実務的で養成期間が短い傾向です。
将来像(専門領域・収入・期間)と現在の英語力・費用を踏まえて選択します。
Q12. 年齢制限はありますか?
入学や申請に明確な年齢上限は設けられていないことが多いですが、ビザ・奨学金・雇用条件などで影響する場合があります。要件を個別に確認してください。
Q13. 配偶者や家族を同伴できますか?
プログラムやビザの種類によっては配偶者の就労許可や子どもの就学が可能なケースがあります。各条件は変更され得るため、最新の公的情報を確認してください。
Q14. 病院での実習(臨地実習)はありますか?
大学・カレッジの看護課程やブリッジングでは臨地実習が組み込まれるのが一般的です。実習先・時間数・保険・予防接種要件は学校と州により異なります。
Q15. 出願のタイムラインと締切は?
- 出願の12〜18か月前:英語準備・学校調査
- 10〜12か月前:出願書類・推薦状・目的文
- 6〜9か月前:合否・入学手続き・ビザ申請
- 1〜3か月前:住居・保険・渡航準備
看護系は人気で枠が限られるため早期出願がおすすめです。
Q16. 奨学金や資金調達の方法はありますか?
- 学校独自の入学奨学金・成績奨学金
- 日本国内の民間・地方自治体の給付/貸与
- 学内アルバイト・コープ/有給実習(該当プログラムのみ)
条件・対象者・締切は機関ごとに異なります。
Q17. 都市選び(トロント・バンクーバー・地方)で迷ったら?
大都市:学校・病院の選択肢が豊富、生活費は高め。
地方:生活費が抑えやすくコミュニティ密着、求人や臨床機会が地域特性に依存。
学習環境・費用・将来の就業地を総合評価しましょう。
Q18. 失敗を避けるチェックリストは?
- NNASの必要書類と提出元(学校/免許庁)を早期確認
- 英語試験は各セクション要件まで満たす計画を
- 希望州の規制機関の最新要件を事前に精読
- 費用(学費・生活費・試験料・保険)を総額で見積もる
- 実習・予防接種・背景調査など健康/法的要件を確認
- 政策変更に備え、公式情報の定期チェックを習慣化
不確実な点は学校・規制機関・政府の公式情報で必ず二重確認しましょう。

 
		 
		 
			 
			 
			 
			 
			