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どの国を選ぶべきか? 看護師留学の国選びポイント
はじめに
看護師として海外で学ぶ「看護師留学」は、語学力の向上だけでなく、最新の医療知識を身につけ、国際的に通用するキャリアを築く大きなステップです。しかし、最初に直面する大きな課題が「どの国を選ぶべきか」という問題です。国ごとに学費や生活費、看護師資格の扱い、就労ビザの条件、さらには生活環境まで大きく異なります。目的を明確にしないまま留学先を決めると、学びたいことや将来のキャリアと合わずに後悔してしまうケースもあります。
この記事では、看護師留学の国選びで押さえておくべき重要なポイントを整理し、自分に合った留学先を見極めるためのヒントを紹介していきます。
1. 語学環境
看護師留学の最大の目的の一つは、実践的な語学力の習得です。どの国に留学するかで、英語を学ぶ環境や習得スピードは大きく変わります。
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英語圏の国(アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドなど) 
 英語が公用語であるため、医療現場でも日常生活でも常に英語を使う環境が整っています。長期的に現地就職を目指す場合には大きなメリットがあります。
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フィリピンなどの英語学習特化型の国 
 日本から近く、費用を抑えつつ学べるのが魅力。特にフィリピンではマンツーマンレッスンが主流で、短期間でスピーキング力を強化するのに適しています。将来的に英語圏の国で看護師資格を取りたい人の「準備留学」として利用されるケースも多いです。
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目的に応じた選び方 - 
「まずは英語を基礎から強化したい」 → フィリピン 
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「現地で看護師として働くことを視野に入れている」 → アメリカ・カナダ・オーストラリアなど 
 
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語学は留学全体の成果に直結するため、自分がどの程度の英語力を伸ばしたいのかを明確にすることが大切です。
2. 学費・生活費
看護師留学を考える上で、費用面は最も現実的で大きなポイントです。学費と生活費のバランスは国ごとに大きく異なります。
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アメリカ・イギリス 
 学費は世界的に高額で、生活費も都市部では非常に高い水準です。高収入のキャリアにつながる可能性はあるものの、初期投資としては負担が大きいのが特徴です。
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カナダ・オーストラリア・ニュージーランド 
 アメリカやイギリスに比べると学費はやや抑えられ、生活費も都市や地域によって調整が可能。費用とキャリアのバランスが取りやすい国々といえます。
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フィリピン 
 学費・生活費ともに格段に安く、短期集中で語学を伸ばしたい人や費用を抑えたい人に最適です。日本から近いため航空券代も比較的安く、滞在費用をトータルで抑えることができます。
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選び方のポイント - 
「将来の収入に見合う投資をしたい」 → アメリカ・イギリス 
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「コストとキャリアをバランスよく」 → カナダ・オーストラリア 
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「まずは低コストで語学力を上げたい」 → フィリピン 
 
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留学費用は数ヶ月〜数年単位の大きな投資になるため、学費だけでなく家賃・生活費・交通費まで含めたトータル予算で考えることが重要です。
3. 国家資格・免許の扱い
看護師留学を検討する際に見落としがちなのが、日本の看護師資格が留学先でどのように扱われるかという点です。国によって認定手続きや試験制度が異なり、将来的に現地で働けるかどうかに直結します。
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アメリカ・カナダ 
 日本の看護師資格はそのままでは通用せず、**NCLEX-RN(国家試験)**に合格する必要があります。英語力だけでなく、専門知識を英語で理解・表現できる力も求められるため、ハードルは高めですが、合格すれば高待遇の就労機会があります。
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イギリス 
 NMC(Nursing and Midwifery Council)への登録が必須です。英語試験(IELTSやOET)で一定のスコアが必要となり、さらにOSCEと呼ばれる実技試験を受ける必要があります。
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オーストラリア・ニュージーランド 
 現地の看護協会への申請が必要で、資格審査やブリッジングコースを経てから認定を受ける流れとなります。条件を満たせば就労ビザや永住権にもつながりやすいのが魅力です。
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フィリピン 
 日本の資格を直接活かして看護師として働くのは難しいですが、語学習得や資格試験準備のための基盤作りとしての留学先として利用されるケースが一般的です。
将来的に「どの国で看護師として働きたいか」によって、留学先は大きく変わります。資格認定制度を事前に確認し、学習内容を逆算して選ぶことが成功の鍵です。
4. キャリアの展望
看護師留学は「学ぶ」だけでなく、その後のキャリアパスをどう描けるかが重要です。国ごとの医療制度や労働環境によって、得られる経験や将来の選択肢は大きく異なります。
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アメリカ・カナダ 
 給与水準が高く、専門分野ごとのキャリアパスが明確に整っています。大学院進学や専門看護師資格など、ステップアップの制度が豊富。努力次第で大きな収入アップやリーダー職への昇進も可能です。
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イギリス 
 公的医療機関NHSを中心に安定した職場環境があり、臨床経験を積みながら国際的に認知されるキャリアを築けます。ただし給与面ではアメリカほど高くはなく、安定性を重視する人に向いています。
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オーストラリア・ニュージーランド 
 ワークライフバランスが重視され、長時間労働を避けつつ経験を積めるのが魅力。海外からの看護師受け入れにも積極的で、キャリアを積みながら永住権を目指す人も多いです。
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フィリピン 
 現地で看護師としてのキャリアを築くのは難しいものの、英語力強化や国際的な環境で学ぶ経験は、次のステップ(アメリカやオーストラリアでの資格取得)につながる「準備段階」として活用できます。
留学後のキャリアを「日本で活かすのか」「海外で働き続けるのか」によって、選ぶ国や学び方が変わります。キャリアゴールを先に描くことが、最適な国選びの指針になります。
5. 生活環境・文化
留学は勉強だけでなく、日常生活の快適さや文化的な相性も大切な要素です。どんな環境で学ぶかによって、モチベーションや適応のしやすさが大きく変わります。
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アメリカ・カナダ 
 多文化社会で海外からの留学生が多く、異文化への適応がしやすい環境です。都会では利便性が高い一方、生活費が高いのが課題。カナダは治安が良く、自然との距離も近いのが魅力です。
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イギリス 
 歴史や伝統を重視する文化が根付いており、独自の医療システムを経験できる点が魅力です。気候はやや曇りがちで寒冷ですが、ヨーロッパ旅行を楽しめる立地の良さもあります。
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オーストラリア・ニュージーランド 
 自然が豊かで気候も穏やか。留学生や移民にフレンドリーで、安心して生活できる国として人気です。ワークライフバランスを大切にする文化が根強く、余暇も充実させたい人に適しています。
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フィリピン 
 温暖な気候で、日本から近くフライト時間も短いので渡航しやすいのがメリット。物価も安く、リゾート地での生活も楽しめます。ただしインフラ面で不便を感じる場面もあるため、柔軟な対応力が必要です。
長期間生活するからこそ、気候・治安・文化的価値観・ライフスタイルも含めて自分に合った国を選ぶことが大切です。
6. 就労ビザ・永住権の可能性
看護師留学を「学び」で終わらせず、現地での就労や長期滞在につなげたい人にとって、ビザや永住権の条件は重要なチェックポイントです。
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アメリカ 
 看護師需要は高いものの、就労ビザ(H-1Bなど)の取得は競争が激しく難易度も高め。資格試験(NCLEX-RN)に合格しても、スポンサーとなる病院を見つける必要があります。
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イギリス 
 NMC登録と一定の英語力を証明できれば、就労ビザ(Health and Care Worker visa)を取得可能。看護師不足のため需要はありますが、ビザの更新・永住権取得までには時間がかかります。
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カナダ 
 移民受け入れに積極的で、看護師は永住権申請に有利な職種のひとつ。州ごとに制度が異なりますが、資格取得後は永住への道が比較的開けやすいのが特徴です。
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オーストラリア・ニュージーランド 
 海外看護師を積極的に受け入れており、資格審査やブリッジングコースを経て現地登録できれば、就労ビザから永住権へとつなげやすい国です。生活の安定性を求める人に人気。
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フィリピン 
 現地での長期就労は難しいですが、語学留学後に他国へ進むステップ留学として利用するのが一般的です。
留学後に「日本に戻る」のか「海外で働く」のかで選ぶ国は変わります。特に永住を視野に入れるなら、オーストラリアやカナダのように制度が整った国を選ぶと実現しやすいでしょう。
関連記事(主要6カ国の看護師留学ガイド)
まとめ
看護師留学の国選びは、語学環境・費用・資格制度・キャリアの展望・生活環境・ビザ制度といった複数の要素を総合的に考えることが重要です。
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短期で英語を集中学習したいなら → フィリピン 
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コストとキャリアのバランスを取りたいなら → カナダやオーストラリア 
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高収入や専門キャリアアップを目指すなら → アメリカ 
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安定性や国際的な経験を重視するなら → イギリス 
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ワークライフバランスと永住権の可能性を求めるなら → オーストラリア・ニュージーランド 
大切なのは、**「自分が留学を通じて何を実現したいか」**という目的を明確にし、それに合った国を選ぶことです。学んだ知識や経験を将来どこで活かしたいのかを逆算して決めれば、後悔のない留学先選びができるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 看護師留学ではどの国が一番人気ですか?
目的によって異なります。高収入や専門キャリアアップならアメリカ、コストと将来性のバランスならカナダやオーストラリア、短期で英語力を伸ばす準備留学ならフィリピンが人気です。
Q2. まず英語力を上げたい場合、どの国が向いていますか?
マンツーマン中心で短期集中できるフィリピンが有力です。英語基礎を固めてから英語圏(アメリカ・カナダ・オーストラリア・イギリス・ニュージーランド)へ進む二段階プランが定番です。
Q3. 学費と生活費の総額が抑えやすい国は?
フィリピンは総額を抑えやすいです。英語圏では都市選び次第でカナダやオーストラリアが調整しやすい傾向があります。
Q4. 現地で看護師として働くには何が必要ですか?
各国の認定手続きが必要です。アメリカ・カナダはNCLEX-RN、イギリスはNMC登録とOSCE、オーストラリア・ニュージーランドは審査とブリッジング等が一般的です。
Q5. 永住や長期就労を視野に入れるならどの国?
制度面ではカナダやオーストラリアが比較的ルートを描きやすいです。詳細は州や職種要件によって異なります。
Q6. 高収入を狙うならどの国が良いですか?
アメリカが候補です。ただしビザや試験、スポンサー確保などのハードルが高めです。
Q7. 生活環境や文化的な相性はどう判断すべき?
気候・治安・物価・ワークライフバランス・多文化環境への適応のしやすさを総合評価します。長く住む前提なら特に重視しましょう。
Q8. 学費が高い国でも行く価値はありますか?
投資対効果次第です。卒後の収入・キャリアパス・就労機会が大きければ回収可能性があります。目的と期間で判断しましょう。
Q9. 国選びの優先順位はどう決める?
①目的(英語・資格・就職・永住)→②必要条件(試験・語学スコア・資金)→③生活環境→④タイムラインの順に落とし込むのが実務的です。
Q10. 試験対策はどこで行うのが効率的?
英語基礎~中級はフィリピンなどで短期集中、専門試験対策は受験予定国のカリキュラムや臨床環境で仕上げる二段階が効率的です。
Q11. 都市の選び方で気をつける点は?
家賃と通学時間、病院実習先へのアクセス、安全性、公共交通、アルバイト可否(法律順守)などを確認しましょう。
Q12. 期間はどのくらいが目安?
英語準備は4~12週間、資格取得・就労ルートは1年超もあり得ます。目標スコアや審査期間により大きく変動します。
Q13. 渡航前に準備しておくべきことは?
資金計画、語学スコアの事前底上げ、必要書類の公証・翻訳、予防接種、保険加入、居住先・通学動線の確保などです。
Q14. 各国の詳細ガイドはありますか?
はい、以下をご参照ください:
アメリカでの看護師留学 /
イギリスでの看護師留学 /
カナダでの看護師留学 /
オーストラリアでの看護師留学 /
ニュージーランドでの看護師留学 /
フィリピンでの看護師留学
Q15. 最終的に国を決める決め手は?
「留学を通じて何を実現したいか」を明確化し、ビザ条件・資格要件・費用・生活環境を目的に照らして優先順位づけすることです。

 
		 
		 
			 
			 
			 
			 
			