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OET対策でよくある失敗:IELTS式の勉強を続けてしまう問題
はじめに
OET対策を始めたのに、なかなかスコアが伸びない。
毎日英語を勉強している。
単語も覚えている。
問題演習もこなしている。
それなのに結果が出ない。
その原因の多くは、勉強量不足ではありません。
実は、多くの医療従事者が無意識のうちに「IELTS式の勉強」を続けてしまっています。
IELTSで使われるアカデミック英語の学習法を、そのままOETに当てはめてしまう。
エッセイ対策の延長で紹介状を書く。
面接対策の延長でロールプレイを練習する。
しかし、OETはIELTSとはまったく別の試験です。
OETは「英語が上手かどうか」を測る試験ではありません。
医療現場で、安全かつ適切にコミュニケーションできるかを評価する試験です。
この違いを理解しないまま対策を続けると、
努力しているのにスコアが伸びないという状況に陥ります。
この記事では、OET対策でよくある「IELTS式の勉強を続けてしまう問題」について解説し、
何をどう変えるべきなのかを具体的に整理していきます。
もし今、思うようにスコアが上がらないと感じているなら、
その原因は“英語力不足”ではないかもしれません。
OETとIELTSは何が違うのか
まず最初に整理しておきたいのは、OETとIELTSは「英語試験」という共通点はあっても、目的も評価基準もまったく異なるという点です。
IELTSは、大学進学や移住を目的としたアカデミック英語試験です。
環境問題、教育、テクノロジー、社会問題など、幅広いテーマについて論理的に意見を述べる力が求められます。
一方、OETは医療従事者のための職業英語試験です。
舞台は常に医療現場です。
評価されるのは、
・患者に分かりやすく説明できるか
・適切に共感を示せるか
・必要な医療情報を正確に伝えられるか
・専門職同士で安全に情報共有できるか
といった、実務に直結するコミュニケーション能力です。
ここが最大の違いです。
IELTSでは「論理性」「語彙の幅」「抽象的思考力」が重視されます。
OETでは「適切さ」「明確さ」「安全性」「情報選択」が重視されます。
つまり、同じ“英語力”でも、使い方が違うのです。
たとえばライティング。
IELTSでは、自分の意見を展開し、議論を深めることが評価されます。
しかしOETでは、紹介状を書く際に「余計なことを書かない」ことが重要です。
IELTSでは書きすぎは大きな減点にはなりませんが、
OETでは不要な情報は明確に減点対象になります。
スピーキングも同様です。
IELTSは面接形式で、自分の考えを説明する試験。
OETはロールプレイで、患者対応を再現する試験。
IELTSでは流暢さが重視されますが、
OETでは「患者が理解できるかどうか」が最優先です。
この違いを理解せずに、IELTS式の勉強を続けてしまうと、
努力の方向がズレたままになってしまいます。
まず必要なのは、
「OETは別物である」と明確に認識することです。
ここから対策の方向性が変わります。
なぜIELTS式の勉強を続けると伸びないのか
では、なぜIELTS式の勉強を続けていると、OETのスコアは伸びにくいのでしょうか。
理由はシンプルです。
評価されない能力を一生懸命伸ばしている可能性が高いからです。
たとえばライティング。
IELTS対策では、
・複雑な構文を使う
・高度な語彙を入れる
・意見を論理的に展開する
・バランスの取れた議論を書く
といった訓練を繰り返します。
しかしOETライティングでは、評価の中心はそこではありません。
重要なのは、
・紹介先の医師が必要とする情報が入っているか
・不要な情報を省けているか
・ケースノートを正しく理解しているか
・情報の優先順位が適切か
です。
どれだけ難しい単語を使っても、
情報選択を間違えればスコアは上がりません。
スピーキングも同じです。
IELTSでは、
「長く話せるか」「語彙が豊富か」「論理的に説明できるか」
が重視されます。
一方OETでは、
・患者の不安に共感できているか
・専門用語を分かりやすく言い換えているか
・安心感を与えられているか
・適切な質問ができているか
が評価されます。
IELTS式の「難しい表現を使おう」「できるだけ流暢に話そう」という意識は、OETでは優先順位が低いのです。
さらに大きな問題は、学習効率です。
IELTS式の勉強を続けると、
アカデミック単語や抽象的トピックの練習に時間を使います。
しかしOETに必要なのは、
・症状の説明
・検査の説明
・治療方針の説明
・フォローアップの指示
といった医療現場特有の英語です。
つまり、努力しているのに、試験の得点に直結しない部分を強化している可能性があるのです。
その結果、
「英語は以前よりできる気がするのに、OETスコアは変わらない」
という状態になります。
これは能力不足ではなく、方向性のミスマッチです。
OETで伸びない人の多くは、英語力そのものが足りないわけではありません。
ただ、評価軸に合ったトレーニングができていないだけなのです。
ここに気づけるかどうかが、大きな分岐点になります。
OET対策に切り替えるために何を変えるべきか
では、IELTS式の勉強から抜け出すには、具体的に何を変えるべきなのでしょうか。
ポイントは、「英語を上手にする」意識から、「医療現場で安全に伝える」意識へ切り替えることです。
まずライティングです。
OETライティングでは、最も重要なのは情報選択です。
ケースノートに書かれている情報をすべて文章にする必要はありません。むしろ、それをしてしまうと評価は下がります。
考えるべきなのは、
この紹介状を受け取る医師は、何を知る必要があるのか。
この視点です。
患者の既往歴、現在の症状、治療内容、紹介理由。
それらの中で、目的に関係のない情報は思い切って削る勇気が必要です。
IELTSのように「書けるだけ書く」姿勢ではなく、「必要なことだけを書く」姿勢に変えることが重要です。
次にスピーキングです。
OETスピーキングでは、流暢さよりも適切さが重視されます。
難しい医学用語をそのまま使うよりも、
患者が理解できる言葉に言い換えることの方が高く評価されます。
たとえば、
“hypertension” と言うだけで終わるのではなく、
“high blood pressure” と説明し、さらに簡単な言葉で補足する。
この「相手目線」が、OETでは非常に重要です。
また、共感表現も欠かせません。
“I understand this can be worrying.”
“Many patients feel the same way.”
こうした一言があるかどうかで、評価は大きく変わります。
IELTSではほとんど意識しない部分ですが、OETでは評価基準の中心にあります。
さらに、学習素材も見直す必要があります。
アカデミック単語帳よりも、
・医療英語フレーズ集
・症状説明の言い換え練習
・実際のOETケースノート分析
に時間を使う方が、はるかに効率的です。
勉強時間を増やすよりも、
勉強内容をOET仕様に変える。
これが最短ルートです。
OET対策は、英語力の総合強化ではありません。
医療コミュニケーション能力の最適化です。
この視点に切り替わった瞬間から、練習の質が変わり、スコアも変わり始めます。
今すぐできる方向転換の具体ステップ
ここまで読んで、「確かにIELTS式の勉強をしていたかもしれない」と感じた方もいるかもしれません。
では、明日から何を変えればいいのでしょうか。
大きな方向転換は必要ありません。
まずは、日々の学習の“焦点”を変えることから始めます。
1. 問題演習のやり方を変える
これまでOETの問題を解くとき、
「どんな表現を使えば高得点になるか」
「どれだけ難しい語彙を入れられるか」
を意識していなかったでしょうか。
これからは、
「評価基準のどこを満たしているか」
「情報は適切に取捨選択できているか」
を見るようにします。
特にライティングでは、書き終わった後に、
・この情報は本当に必要だったか
・紹介理由に直接関係しているか
・削れる文はないか
を必ず確認します。
“足す練習”ではなく、“削る練習”をすることが重要です。
2. 医療英語の言い換え練習をする
スピーキング対策では、難しい医学用語を覚えることよりも、
それを患者向けにどう言い換えるかを練習します。
たとえば、
“benign” をどう説明するか。
“inflammation” をどう言い換えるか。
専門家として正確に、しかし患者が理解できる形で説明する。
このトレーニングは、IELTSではほとんど行いませんが、OETでは非常に重要です。
3. ロールプレイを「会話」として練習する
IELTSの面接対策のように、一方的に話す練習は不要です。
OETでは、やり取りが評価されます。
・質問
・確認
・共感
・説明
・再確認
この流れを意識して、会話を組み立てる練習をします。
「長く話す」ことよりも、「適切に返す」ことを意識してください。
4. 評価基準を常に横に置く
最も効果的なのは、評価基準を常に意識することです。
OETは主観的な試験ではありません。
評価項目は明確に示されています。
ライティングもスピーキングも、
何が評価されるかが決まっています。
そこに合わせて練習するだけで、努力の方向性が一気に整います。
方向転換は、特別な才能を必要としません。
必要なのは、
「IELTSと同じではない」と認めること。
そして、
「OETのための練習」を選び直すこと。
もし今、伸び悩んでいるなら、
それは英語力の限界ではありません。
やり方を変えれば、スコアは動きます。
その第一歩が、IELTS式の学習から卒業することです。
まとめ:努力の方向を変えれば結果は変わる
OET対策で伸び悩む最大の原因は、英語力そのものではありません。
多くの場合、問題は「勉強の方向性」です。
IELTS式の勉強は決して無駄ではありません。
語彙力や文法力、基礎的な英語力を伸ばす上では大きな意味があります。
しかし、OETで求められているのはそれだけではありません。
・必要な情報を選ぶ力
・患者に分かりやすく説明する力
・共感を示しながら会話を進める力
・専門職として安全に情報を共有する力
これらは、IELTSの延長線上では十分に鍛えられない能力です。
だからこそ、
「英語をもっと勉強しなければ」と考える前に、
「今の勉強はOETに合っているか」と問い直す必要があります。
努力を増やすのではなく、
努力の向きを変える。
それだけで、学習効率は大きく変わります。
もし今、思うようにスコアが伸びていないなら、
それはあなたの能力不足ではありません。
単に、試験の目的に合わせた練習になっていないだけかもしれません。
OETはアカデミック英語試験ではありません。
医療現場での実践的コミュニケーション能力を測る試験です。
この視点に切り替えたとき、
対策はより具体的になり、練習の質も変わります。
そしてその変化が、スコアの変化につながります。
まずは、IELTS式の学習から一歩離れること。
そこから、OETに本当に必要な対策が始まります。
FAQ:OET対策でIELTS式の勉強を続けてしまう問題
Q1. IELTSで高スコアを持っています。それでもOET対策は別に必要ですか?
はい、必要です。
IELTSで高スコアを持っていることは大きな強みです。語彙力や文法力、読解力の基礎があるため、OET対策も有利に進められます。
しかし、OETは医療現場でのコミュニケーション能力を測る試験です。
評価基準やタスク形式がIELTSとは大きく異なるため、試験形式に合わせたトレーニングは不可欠です。
特にライティング(紹介状)とスピーキング(ロールプレイ)は、IELTSとは別物と考えたほうが安全です。
Q2. IELTSの勉強は完全にやめたほうがいいですか?
完全にやめる必要はありませんが、優先順位を下げるべきです。
基礎英語力が不足している場合は、文法や語彙の強化は引き続き重要です。ただし、アカデミックエッセイの練習や抽象的テーマのスピーキング対策に多くの時間を使う必要はありません。
OETを受験するのであれば、学習時間の大半はOET専用対策に充てるべきです。
Q3. OETライティングで一番IELTSと違う点は何ですか?
最大の違いは「情報選択」です。
IELTSでは、自分の意見を展開し、論理的に議論を構築することが求められます。一方、OETライティングでは、ケースノートから必要な情報だけを選び、紹介先にとって有益な内容に整理することが最重要です。
すべての情報を書くことは評価されません。
むしろ、不要な情報を書きすぎると減点対象になります。
Q4. OETスピーキングでは難しい医療用語を多く使ったほうがいいですか?
必ずしもそうではありません。
OETスピーキングでは、患者が理解できる説明ができるかどうかが重視されます。専門用語を正確に使えることは重要ですが、それを分かりやすく言い換えられるかどうかのほうが評価につながります。
専門性よりも、「相手に伝わるか」が基準になります。
Q5. 英語力がまだ不安です。それでもOET対策に切り替えて大丈夫でしょうか?
大丈夫です。
OET対策は、英語力が完璧になってから始めるものではありません。むしろ、OET形式に沿った練習を早めに始めるほうが効率的です。
実践的なケースノート分析やロールプレイ練習を通して、必要な英語力を同時に伸ばしていくことができます。
Q6. IELTS式の勉強をしているかどうか、自分で判断する方法はありますか?
次のような状態なら、IELTS式の勉強をしている可能性があります。
・難しい単語を増やすことを最優先にしている
・エッセイ練習に多くの時間を使っている
・スピーキングで長く話すことを重視している
・ケースノート分析をほとんどしていない
もし当てはまる項目が多い場合は、学習の方向を見直すタイミングかもしれません。
Q7. OET対策で最も優先すべきことは何ですか?
評価基準を理解することです。
OETは、何を評価するかが明確に示されています。
その基準に沿って練習するだけで、無駄な努力が大幅に減ります。
英語力を闇雲に伸ばすのではなく、
評価される能力を的確に鍛える。
これが、最短ルートです。
