セブ島観光ガイド: カミギン島(Camiguin Island)
1. カミギン島とは
カミギン島(Camiguin Island)は、フィリピン南部・ミンダナオ島の北に位置する、面積約240平方キロメートルの小さな火山島です。
その美しい自然景観と静かな雰囲気から「フィリピン最後の秘境」とも呼ばれ、観光地としての知名度はセブ島やボラカイ島ほど高くないものの、訪れた人を魅了する独特の魅力を持っています。
島は火山活動によって形成され、現在も**ヒボックヒボック山(Mt. Hibok-Hibok)**など複数の火山がそびえています。そのため温泉、滝、肥沃な土地が豊富で、熱帯の緑と火山地形が融合した景色が特徴です。
人口は約9万人と少なく、観光地化が進みすぎていないため、混雑とは無縁。都会の喧騒から離れ、のんびりと過ごしたい旅行者や自然を満喫したいバックパッカーに特に人気があります。
また、カミギン島は**「7つの火山と7つの海岸」**とも言われるほど観光スポットが凝縮されており、ビーチリゾートとエコツーリズムの両方を楽しめる貴重な島です。ホワイトアイランドの真っ白な砂州や、火山噴火で沈んだ歴史的遺跡など、1日では回りきれない見どころが点在しています。
2. セブ島からカミギン島への行き方
カミギン島はフィリピン南部にあるため、セブ島からの移動には飛行機または船+陸路を組み合わせた方法があります。滞在日数や予算、移動の快適さによって最適なルートを選びましょう。
(1) 飛行機利用(最速・最も便利)
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航空会社:セブ・パシフィック航空(Cebu Pacific Air)が直行便を運航。
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所要時間:マクタン・セブ国際空港(CEB)からカミギン空港(CGM)まで約1時間。
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運航頻度:週数便のみ。曜日限定運航のため事前確認必須。
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メリット:最短で移動でき、到着後すぐ観光可能。
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デメリット:便数が少なく、天候による欠航の可能性あり。
(2) 船+陸路(費用を抑える場合)
飛行機より時間はかかりますが、景色や途中の観光も楽しめます。
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セブ市内 → カガヤン・デ・オロ(Cagayan de Oro)
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船:セブ港から夜行フェリー(約9〜10時間)。
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船会社例:Trans-Asia Shipping Lines, 2GO Travel。
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カガヤン・デ・オロ港 → バリンゴアン港(Balingoan Port)
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バスまたはバンで約2時間。
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バリンゴアン港 → カミギン島(ベンジャミン港)
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フェリーで約1時間。
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所要時間合計:半日〜1日
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メリット:航空券より安く、途中のミンダナオ北部観光も可能。
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デメリット:移動時間が長く、体力が必要。
(3) ボホール島経由
セブ島からボホール島(タグビラランまたはジャグナ港)へ高速船で移動し、そこからカミギン島行きのフェリーに乗るルートもあります。観光を組み合わせたい場合におすすめ。
旅行者へのアドバイス
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飛行機利用なら早期予約が鉄則(特にハイシーズン)。
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船移動は**波が穏やかな乾季(11〜5月)**が快適。
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移動日当日は時間に余裕を持ち、欠航や遅延に備えること。
3. カミギン島の人気観光スポット
小さな島ながら、カミギン島には自然・歴史・アクティビティが楽しめる多彩な観光地がぎゅっと詰まっています。ここでは初めて訪れる旅行者にもおすすめのスポットを、写真映えやアクセスのしやすさも考慮して紹介します。
3-1. ホワイトアイランド(White Island)
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島の北沖約2kmに浮かぶ真っ白な砂州だけの無人島。
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透明度抜群の海に囲まれ、背後にはヒボックヒボック山を望む絶景。
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干潮時は砂州が広がり、360度のパノラマビューが楽しめる。
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カタルマン(Catarman)地区からボートで約10分。
3-2. カティバワン滝(Katibawasan Falls)
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高さ約70mから落ちる豪快な滝で、周囲は熱帯植物に覆われています。
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滝つぼは水が冷たく、暑い日のクールダウンに最適。
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入場料はわずか50ペソほどで、地元の人にも人気。
3-3. サンケン・セメタリー(Sunken Cemetery)
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1871年の火山噴火で海中に沈んだ墓地跡。
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海上にそびえる巨大な十字架がシンボル。
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シュノーケリングで沈没遺跡を間近に見ることが可能。
3-4. アルデント温泉(Ardent Hot Spring)
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ヒボックヒボック山の麓から湧き出る天然温泉。
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夜も営業しており、アクティビティ後のリラックスに最適。
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水温は36〜40℃で心地よい暖かさ。
3-5. ストー・ニーニョ冷泉(Sto. Niño Cold Spring)
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冷たい湧き水が満ちる天然プール。
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透明感が高く、真夏でもひんやりとした水温。
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ファミリー層に人気の避暑スポット。
3-6. ジャイアント・クラム・サンクチュアリ(Giant Clam Sanctuary)
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世界最大級のシャコガイが生息する海域を保護する施設。
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ガイド付きツアーでシュノーケリングしながら間近で観察可能。
3-7. ザ・ウォークウェイ&オールドボルケーノ(The Walkway to the Old Volcano)
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キリスト受難劇をモチーフにした14のステーションを辿る登山道。
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頂上からは島全体と沖合のホワイトアイランドを望む絶景が広がる。
4. カミギン島で楽しめるアクティビティ
カミギン島は自然の宝庫であり、観光スポット巡りに加えてアクティビティも豊富です。ビーチリゾートのような派手さはありませんが、その分ローカル感や手つかずの自然を味わえる体験が魅力です。
4-1. シュノーケリング
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ホワイトアイランドやサンケン・セメタリー周辺は透明度が高く、色とりどりの熱帯魚やサンゴ礁を間近で観察できます。
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機材は現地でレンタル可能(1セット100〜150ペソ程度)。
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波が穏やかな乾季(11〜5月)がベストシーズン。
4-2. ダイビング
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小規模ながらダイビングショップがあり、ビギナーから上級者まで楽しめます。
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マクロ生物の宝庫として知られ、ウミウシや小型エビ・カニの撮影にも最適。
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1ダイブ1,500〜2,000ペソ程度(器材込み)。
4-3. トレッキング
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ヒボックヒボック山は標高1,332mの活火山で、登山道からは温泉や溶岩地形、カルデラ湖が見られます。
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所要時間は片道約3〜4時間、本格的な山登りの装備推奨。
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ガイド同行が義務付けられており、料金は約1,200ペソ。
4-4. 島一周サイクリング・バイクツーリング
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島の周囲は約60kmで、1日あれば自転車やバイクで一周可能。
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バイクレンタルは1日500ペソ前後、自転車は300ペソ程度。
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海岸線を走るルートは景色が素晴らしく、途中でビーチや滝に立ち寄れる。
4-5. 温泉・冷泉巡り
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Ardent Hot Spring(温泉)とSto. Niño Cold Spring(冷泉)を組み合わせれば、まるで温冷交代浴のような体験に。
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地元の人との交流も楽しめます。
4-6. ローカルマーケット探索
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マンブハイ市場(Mambajao Public Market)では新鮮な魚介類、南国フルーツ、地元のお菓子を購入可能。
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お土産にドライマンゴーやピーナッツ菓子も人気。
5. 宿泊情報
カミギン島は小さな島ですが、観光スタイルや予算に合わせて選べる宿泊施設が揃っています。高級リゾートからゲストハウス、バックパッカー向けのドミトリーまで幅広く、ロケーションによって雰囲気も異なります。ここではエリア別におすすめを紹介します。
5-1. ホワイトアイランド周辺(Paras Beach Resortエリア)
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特徴:ホワイトアイランド行きボート乗り場に近く、ビーチ沿いの景色を満喫できる。
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おすすめ宿
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Paras Beach Resort
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中価格帯リゾート。プール、レストラン完備。
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ホワイトアイランドの眺望あり。
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Camiguin Volcan Beach Eco Retreat & Dive Resort
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エコ志向のビーチリゾート。ダイビング拠点にも最適。
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5-2. マンバハオ(Mambajao)中心部
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特徴:レストランや市場、交通拠点に近く便利。島内観光の起点におすすめ。
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おすすめ宿
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GV Hotel Camiguin
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シンプルでリーズナブル、清潔なビジネスホテル。
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SomeWhere Else Boutique Resort
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小規模で落ち着いたブティックタイプ、カップル向け。
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5-3. バジェン(Bug-ong)〜ヤン(Yumbing)エリア
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特徴:静かな海辺でのんびり過ごしたい方向け。シュノーケリングスポットも近い。
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おすすめ宿
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Nypa Style Resort Camiguin
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コテージ型でプライバシー重視。南国ムード満点。
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Bahay Bakasyunan sa Camiguin (BBC)
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プール付きでファミリーにもおすすめ。
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5-4. バジェット派向け(全島に点在)
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料金目安:1泊500〜800ペソ前後
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宿の探し方:現地到着後に探すと値引き交渉できる場合あり。
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例:
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Homestayタイプ(ローカルの家の一部を貸す)
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小規模ゲストハウス(ドミトリー形式)
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宿泊選びのポイント
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アクティビティ重視なら ホワイトアイランド近くやヤン(Yumbing)。
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食事や買い物重視なら マンバハオ中心部。
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静かな滞在希望なら 島の東海岸エリア。
6. 食事・レストラン
カミギン島は観光地としては素朴ですが、海に囲まれた環境から新鮮な魚介類やローカル食材を使った料理が豊富です。高級リゾート内のレストランから、気軽に入れるローカル食堂(カレンデリア)、海辺の隠れ家的カフェまで、幅広い食事スタイルを楽しめます。
6-1. 海鮮料理
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J&A Fishpen Lagoon and Restaurant
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海上に浮かぶ養殖場を改装したレストラン。
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自分で選んだ魚やエビ、カニをその場で調理してくれるスタイルが人気。
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湖面越しに沈む夕日を眺めながら食事ができる絶景スポット。
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Laguna Bistro
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新鮮なグリルフィッシュやシーフードパスタが評判。
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カジュアルながら味は本格的。
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6-2. ローカルフード
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CheckPoint Food Palace
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バーベキューやフィリピン家庭料理が手頃な価格で楽しめる。
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夜は地元の人で賑わい、ビール片手にローカルな雰囲気を満喫可能。
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屋台・カレンデリア(各地)
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チキン・ポークBBQ、パンシット(焼きそば)、ローカルスープ料理など。
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1食100ペソ以下で食べられる庶民派グルメ。
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6-3. 西洋料理・カフェ
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La Dolce Vita
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イタリア人オーナーが営む本格イタリアン。
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ピザやパスタはもちろん、ジェラートも人気。
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Guerrera Rice Paddy Villas & Restaurant
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稲田を眺めながらアジア各国の創作料理を楽しめる。
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カミギン島でも屈指のおしゃれスポット。
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6-4. 食事のポイント
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観光地価格の店はやや高め(1食300〜500ペソ)ですが、ローカル食堂なら安く済ませられます。
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海沿いのレストランは日没前に行くと、美しい夕景が見られます。
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高級リゾート宿泊者はホテル内レストランも便利ですが、島外食もぜひ体験を。
7. ベストシーズン
カミギン島は一年を通して温暖な熱帯気候ですが、季節によって天候や海のコンディションが変わります。旅行目的に合わせて訪問時期を選ぶと、より快適に滞在できます。
7-1. 乾季(11月〜5月)
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特徴:晴天が多く湿度が低め。海も穏やかで透明度が高い。
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メリット:シュノーケリングやダイビング、ホワイトアイランド訪問に最適。
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デメリット:観光シーズンのためホテル料金がやや高め。
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おすすめ月:2月〜4月(海が最もクリアで雨が少ない時期)
7-2. 雨季(6月〜10月)
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特徴:スコールや台風の影響を受ける時期。海が荒れる日もある。
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メリット:観光客が少なく静かに過ごせる。宿泊費が下がる傾向。
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デメリット:アクティビティが天候に左右されやすい。
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おすすめ月:6月〜7月(緑が美しく、混雑が少ない)
7-3. イベント・フェスティバル
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ランサネス・フェスティバル(Lanzones Festival)
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10月中旬開催。島の特産フルーツ「ランサネス」の収穫を祝う祭り。
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パレードやダンス、屋台グルメが楽しめる。
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ホーリーウィーク(Holy Week)
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キリスト教行事で、ウォークウェイ(The Walkway)では大規模な宗教行事が行われる。
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まとめ
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海遊びメインなら乾季がおすすめ。
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静かな滞在や料金重視なら雨季が狙い目。
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フェスティバル目的なら開催時期をチェックして計画を立てる。
8. 旅行のヒント
カミギン島は手つかずの自然とローカルな雰囲気が魅力ですが、都会的な利便性は限られています。初めて訪れる旅行者が快適に過ごすための実用アドバイスをまとめます。
8-1. 現金とATM
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島内のATMはマンバハオ(Mambajao)中心部に数台のみ。機械の故障や現金切れもあるため、事前にセブ島やカガヤン・デ・オロで必要額を引き出しておくのが安全。
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多くの小規模宿や食堂は現金のみ対応。
8-2. 交通手段
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トライシクル(三輪タクシー):短距離移動に便利。料金は交渉制(1〜3kmで20〜50ペソ程度)。
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バイクレンタル:1日500ペソ前後で島一周可能。免許と基本的な運転経験が必要。
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自転車レンタル:1日300ペソ程度。のんびり派におすすめ。
8-3. 通信環境
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GlobeやSmartの携帯電波は主要エリアで利用可。ただし山間部や一部ビーチでは不安定。
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宿泊施設のWi-Fiは速度が遅め。長期滞在やリモートワーク目的ならポケットWi-FiやローカルSIM購入がおすすめ。
8-4. 持ち物
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日焼け止め、帽子、サングラス(紫外線が強い)
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防水バッグ(突然のスコールやマリンアクティビティ用)
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薄手の長袖(虫よけと日差し対策)
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現金(特に小額紙幣)
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シュノーケルマスク(レンタルも可だが自分の方が衛生的)
8-5. 治安
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カミギン島はフィリピンでも比較的治安が良い地域。夜間も主要エリアは安全ですが、暗い道の一人歩きは避けるのが無難。
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海水浴やトレッキングでは自己責任で安全管理を。
8-6. その他の注意点
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島内では環境保護の意識が高く、ゴミの持ち帰りを求められることが多い。
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一部の観光地では入場料が必要(20〜100ペソ程度)。
