目次
看護師がOETでBを取るための目安と学習量
はじめに
看護師として海外で働く、または海外の看護師登録を目指す際に、多くの人が直面するのが OET(Occupational English Test)でBスコアを取得することです。
OETは「医療従事者向け英語試験」として設計されており、一般英語試験であるIELTSやTOEICとは評価基準も試験内容も大きく異なります。そのため、
「英語はそこそこできるのにOETでは点が取れない」
「IELTSでは7.0を取ったのにOETでC+だった」
といった声も少なくありません。
一方で、OETは決してネイティブレベルの英語力を求める試験ではありません。
医療現場で安全に、正確に、適切なコミュニケーションが取れるか——それが評価の本質です。
この記事では、看護師がOETでBスコアを取るために、
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どの程度の英語力が必要なのか
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IELTSと比べて難しいのか、取りやすいのか
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各技能(Listening / Reading / Writing / Speaking)で求められる到達ライン
-
現実的に必要な学習量と期間
を、試験対策の視点から具体的に解説します。
これからOET受験を検討している方、
すでに受験経験があり「あと一歩でBに届かなかった」方にとって、
無駄な遠回りをせず、最短距離でBを狙うための指針となる内容を目指しています。
OETとは?看護師にとっての特徴
OET(Occupational English Test)は、医師・看護師・理学療法士などの医療従事者専用に設計された英語試験です。
一般英語力を測るIELTSやTOEFLとは異なり、実際の医療現場で使われる英語を、適切に使えるかどうかが評価されます。
看護師向けOET(OET for Nurses)は、特に以下の点に強い特徴があります。
医療現場を想定した試験内容
OETでは、すべての試験パートが医療シーンを前提に作られています。
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Listening:診察・問診・引き継ぎの会話
-
Reading:病院内文書、ガイドライン、患者情報
-
Writing:紹介状・退院サマリー・引き継ぎレター
-
Speaking:患者とのロールプレイ
つまり、「日常英会話ができるか」ではなく、
看護師として適切に対応できる英語かが問われます。
看護師は「Nurse専用評価基準」で採点される
OETの大きな特徴として、職種ごとに評価基準が分かれている点があります。
-
医師は医師の基準
-
看護師は看護師の基準
たとえばWritingやSpeakingでは、
「医師なら許容される表現」でも
「看護師としては不適切」と判断されることがあります。
これは厳しさではなく、
実際の役割・責任範囲に即した現実的な評価です。
IELTSより実務寄り、でも戦略性が強い
OETは一見すると難しそうに感じられますが、
評価軸がはっきりしているため、対策がしやすい試験でもあります。
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難解な語彙やアカデミック表現は不要
-
医療英語の「型」を覚えれば得点が安定する
-
WritingとSpeakingはテンプレート化が可能
逆に言えば、
OETのルールを知らないまま受けると点が出にくい試験です。
看護師にとってOETが選ばれる理由
現在、OETは以下のような国・機関で看護師登録要件として採用されています。
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イギリス
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オーストラリア
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ニュージーランド
-
シンガポール
-
中東諸国(UAEなど)
特に近年は、
「IELTSよりもOETの方が実務に近い」
という理由から、看護師のOET受験者が増えています。
OETは「英語試験」ではなく「職能試験」
OETは単なる語学テストではありません。
英語を使って、安全に看護業務ができるかどうかを確認する職能試験です。
そのため、
-
文法が多少完璧でなくても
-
ネイティブのように話せなくても
必要な情報を、適切に、相手に合わせて伝えられるかが最も重要になります。
OETのBスコアとは?なぜ看護師にBが求められるのか
OETでは、すべての技能(Listening / Reading / Writing / Speaking)が
A・B・C+・C・D・E の6段階で評価されます。
この中で、看護師として海外就労・登録を目指す場合、
**ほぼすべての国・機関で求められる最低基準が「Bスコア」**です。
Bスコアの公式な位置づけ
OETにおけるBスコアは、次のように定義されています。
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医療現場で
-
安全かつ効果的に
-
英語でコミュニケーションが取れるレベル
これは「優秀」という意味ではなく、
「現場で問題なく働ける」ことを示す基準です。
看護師という職種の特性上、
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患者の状態を正確に理解する
-
指示を誤解しない
-
必要な情報を適切に引き継ぐ
こうした点が特に重視されます。
なぜC+ではダメなのか?
「C+ならかなり英語できるのでは?」と思う人も多いですが、
多くの看護師登録機関では C+は不合格扱い です。
理由は明確で、
-
情報の取り違え
-
曖昧な表現
-
不十分な説明
が、患者安全に直結するリスクになるからです。
OETでは、
「英語力が高いか」よりも
「ミスなく業務を遂行できるか」 が問われています。
各技能で「B」が意味するもの
Listening / Reading
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すべてを完璧に理解する必要はない
-
必要な情報を正確に把握できればOK
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多少の聞き逃し・読み飛ばしは許容範囲
Writing
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目的に合った文書が書けているか
-
不要な情報を書いていないか
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読み手(医師・他部署)が理解しやすい構成か
→ 内容がズレると、英語が正しくても減点される
Speaking
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患者と自然なやり取りができるか
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一方的にならず、確認・共感ができているか
-
専門用語を使いすぎていないか
Bは「高すぎる基準」ではない
実際のところ、Bスコアは
-
ネイティブレベル
-
流暢で高度な英語表現
を求めるものではありません。
必要なのは、
-
基本的な文法の正確さ
-
医療現場でよく使う表現
-
OET特有の書き方・話し方への理解
つまり、
正しい対策をすれば、十分に現実的な目標です。
看護師にとってBスコアが持つ意味
Bを取れるかどうかは、
-
海外で働けるか
-
登録申請に進めるか
-
キャリアの選択肢が広がるか
を左右する、明確な分岐点です。
だからこそ、
「何となく勉強する」ではなく
Bを取るための戦略的な学習が重要になります。
OET BはIELTSだとどのレベル?看護師目線で比較
OETを検討している看護師の多くが、最初に気になるのが
「OETのBは、IELTSだとどのくらいのレベルなのか?」という点です。
結論から言うと、一般的な目安は次の通りです。
-
OET B ≒ IELTS 7.0 前後
ただし、この比較は「単純な難易度」ではなく、
試験の性質の違いを理解した上で考える必要があります。
IELTSとOETは、そもそも測っているものが違う
| 項目 | IELTS | OET |
|---|---|---|
| 試験目的 | 一般英語力 | 医療現場での英語 |
| 話題 | 学術・日常 | 医療・看護 |
| Writing | エッセイ | 医療文書 |
| Speaking | 日常会話 | 患者対応 |
| 評価軸 | 英語の完成度 | 実務での適切さ |
IELTSは「英語として正しいか」を広く評価しますが、
OETは「看護師として適切か」をピンポイントで評価します。
IELTS 7.0でもOETで落ちる理由
実際によくあるケースです。
-
IELTS Reading / Listening は高得点
-
でも OET Writing が C+
-
Speaking で減点されて Bに届かない
原因は英語力不足ではなく、以下のようなズレです。
-
Writingで情報を書きすぎる
-
読み手(医師・部署)を意識していない
-
Speakingで説明が専門的すぎる
-
患者への共感・確認が不足している
OETでは、正しい英語=高得点ではありません。
IELTS 6.5前後でもBに届く人の特徴
逆に、IELTS 6.5程度でもOET Bを取る人はいます。
その人たちの共通点は、
-
OET Writingの「型」を理解している
-
Speakingで患者対応の流れが身についている
-
自分の英語を「減点されない形」に修正できている
つまり、
英語力の絶対値より、OETへの適応力が重要です。
看護師にとっては、OETの方が有利なケースも多い
看護師の場合、
-
医療現場の経験がある
-
患者対応の流れが分かっている
こうした背景は、OETではそのまま強みになります。
IELTSでは評価されにくい
-
共感
-
説明力
-
引き継ぎの視点
が、OETではしっかり得点対象になります。
比較の結論:どちらが取りやすいか?
-
一般英語が得意 → IELTSの方が安定
-
医療現場経験がある → OETの方が戦いやすい
特に看護師の場合、
「IELTS 7.0に何度も挑戦する」より
OET Bを戦略的に狙う方が近道になるケースは多いです。
看護師がOETでBを取るための英語力の目安(技能別)
OETでBスコアを取るために必要なのは、「完璧な英語」ではありません。
各技能ごとに“Bとして求められているライン”を超えているかが評価されます。
ここでは、Listening / Reading / Writing / Speaking それぞれについて、
看護師がBを取るための現実的な目安を解説します。
Listening:完璧理解は不要、要点把握ができればOK
Listeningでは、診察・問診・病棟での会話などが出題されます。
Bレベルの目安は以下の通りです。
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会話の流れを大きく取り違えない
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症状・指示・経過などの重要情報を聞き取れる
-
細かい表現を聞き逃しても致命傷にならない
アクセント(イギリス・オーストラリア)に慣れていないと最初は戸惑いますが、
対策次第で最も点が安定しやすい技能です。
Reading:スピードと取捨選択がカギ
Readingでは、医療関連の文書やガイドラインが出題されます。
Bレベルの目安:
-
すべてを精読しなくてもよい
-
設問に必要な情報を素早く拾える
-
専門用語は「完全理解」より「文脈判断」で対応
Readingも、英語力そのものより
OET特有の問題形式への慣れが重要です。
Writing:Bを左右する最大のポイント
看護師にとって、最もBに影響するのがWritingです。
Writingでは、紹介状や引き継ぎレターを作成しますが、
評価されるのは英語のうまさではありません。
Bレベルの目安:
-
指示された目的を明確に満たしている
-
読み手(医師・部署)に必要な情報だけを書いている
-
情報の順序が論理的で分かりやすい
-
致命的な文法ミスがない
逆に、
-
情報を書きすぎる
-
メモをそのまま写す
-
不要な背景説明を入れる
こうした点は大きな減点につながります。
Speaking:英語力より「看護師らしさ」
Speakingはロールプレイ形式で、患者対応が中心です。
Bレベルの目安:
-
患者の話を遮らずに聞ける
-
共感・確認・説明が自然にできる
-
専門用語を使いすぎない
-
詰まっても会話を止めない
流暢さよりも、
患者に安心感を与えられるかどうかが評価されます。
技能別まとめ:Bに必要なのは「過不足のない英語」
| 技能 | Bレベルの本質 |
|---|---|
| Listening | 要点を正確に拾える |
| Reading | 必要情報を素早く抽出 |
| Writing | 目的に合った医療文書 |
| Speaking | 安心感のある患者対応 |
OETでは、
一つ一つは難しくなくても、ズレると減点されるのが特徴です。
だからこそ、
「英語を伸ばす」より
「OETに合わせて調整する」意識が重要になります。
看護師がOETでBを取るための学習量と期間の目安
OET対策を始める際、多くの看護師が不安に感じるのが
「どれくらい勉強すればBに届くのか?」という点です。
結論から言うと、必要な学習量は
現在の英語力と医療英語への慣れ具合によって大きく変わります。
ここでは、代表的な3パターンに分けて目安を示します。
IELTS 7.0以上を安定して取れている人
すでに一般英語力が十分にある場合、
OETは「新しい英語を学ぶ試験」ではなく
形式と考え方を調整する試験になります。
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学習期間:2〜4週間
-
学習時間:40〜60時間
主な学習内容:
-
OET試験形式の理解
-
Nurse Writingの構成・テンプレート習得
-
Speakingロールプレイ練習
-
医療英語の頻出表現確認
このレベルの人は、
WritingとSpeakingに集中することで
短期間でもBに到達するケースが多いです。
IELTS 6.5前後の人
最も多い層で、対策次第で結果が大きく分かれます。
-
学習期間:1.5〜2.5か月
-
学習時間:80〜120時間
主な学習内容:
-
医療英語の基本語彙・表現
-
Writingの情報整理・減点ポイント対策
-
Speakingでの患者対応練習
-
Listening / Reading のOET形式慣れ
この層は、
「英語力そのもの」より
OET Writingのズレ修正が最大の課題になります。
医療英語がほぼ初めての人
英語にある程度慣れていても、
医療現場での英語使用経験が少ない場合は、
段階的な学習が必要です。
-
学習期間:3ヶ月から6ヶ月以上
-
学習時間:150時間以上
主な学習内容:
-
医療現場の基本表現
-
各技能の基礎固め
-
WritingとSpeakingの反復練習
時間はかかりますが、
正しい順序で進めればBは十分射程圏です。
「勉強時間」より大事なこと
OETでは、
単純な勉強時間よりも以下が結果を左右します。
-
正しい評価基準を知っているか
-
減点される書き方・話し方を避けられているか
-
フィードバックを受けて修正できているか
特にWritingとSpeakingは、
自己流のまま続けると時間をかけても伸びにくい技能です。
学習量のまとめ
| 英語レベル | 期間 | 学習時間 |
|---|---|---|
| IELTS 7.0以上 | 2〜4週間 | 40〜60時間 |
| IELTS 6.5前後 | 1.5〜2.5か月 | 80〜120時間 |
| 医療英語初心者 | 3ヶ月から6ヶ月以上 | 150時間以上 |
まとめ:看護師のOET Bは「正しい準備」で現実的に達成できる
OETでBスコアを取得することは、
看護師にとって決して非現実的な目標ではありません。
OETは、ネイティブレベルの英語力や難解な表現を求める試験ではなく、
医療現場で安全に、適切にコミュニケーションが取れるかを評価する試験です。
そのため、
-
英語力が高くてもOET特有の対策をしなければ点が伸びない
-
一方で、一般英語に自信がなくても、正しい準備をすればBに届く
という特徴があります。
特に看護師の場合、合否を大きく左右するのは
WritingとSpeakingです。
ここで求められるのは「きれいな英語」ではなく、
目的に合った情報整理と、患者に配慮した伝え方です。
学習期間の目安としては、
-
医療英語に慣れている人:比較的短期間でも対応可能
-
医療英語初心者の場合:3〜6ヶ月以上の準備期間を想定するのが安全
仕事と両立しながら学習する多くの看護師にとって、
余裕を持った計画を立てることが、結果的に最短ルートになります。
OET対策で重要なのは、
「たくさん勉強すること」ではなく、
減点されない形に英語を整えていくことです。
この記事が、
これからOETを受験する方、
そして「あと一歩でBに届かなかった」方にとって、
無駄な遠回りを避けるための指針になれば幸いです。
次のステップとしては、
-
各技能別の具体的な対策
-
Nurse Writing・Speakingの実例と改善ポイント
を理解することで、B合格の再現性はさらに高まります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 看護師のOETでBを取るのは難しいですか?
適切な対策をすれば、過度に難しい試験ではありません。
OETはネイティブレベルの英語力を求める試験ではなく、
「医療現場で安全に英語を使えるか」を評価します。
ただし、IELTSの感覚のまま受験すると、
WritingやSpeakingで点が伸びず、C+止まりになるケースは多いです。
Q2. IELTS 7.0を持っています。OET Bは簡単に取れますか?
必ずしも簡単とは限りません。
IELTS 7.0以上でも、OET Writingで失点し、Bに届かない人は少なくありません。
理由は、
-
医療文書としての構成になっていない
-
情報を書きすぎている
-
読み手(医師・部署)を意識していない
といったOET特有の評価基準へのズレです。
英語力は十分でも、OET対策は必要です。
Q3. 医療英語が初心者でも、OETでBは取れますか?
はい、可能です。
ただし、3〜6ヶ月以上の準備期間を想定するのが現実的です。
医療英語初心者の場合は、
-
医療英語の基礎
-
看護師としての説明・対応の英語
-
OET Writing / Speaking の型
を段階的に身につける必要があります。
短期集中より、計画的な学習の方が成功率は高くなります。
Q4. 独学でもOET Bは目指せますか?
ListeningとReadingは、独学でも対応可能です。
一方で、WritingとSpeakingは独学だけでは限界が出やすいのが実情です。
特にWritingでは、
「英語は合っているのに点が出ない」
という状態に気づきにくく、再受験につながるケースが多く見られます。
第三者からのフィードバックがあるかどうかが、結果を大きく左右します。
Q5. OETの勉強は、まず何から始めるべきですか?
最初にやるべきなのは、
OET全体の構造と評価基準を理解することです。
いきなりWriting練習を始めたり、
医療英語の単語暗記から入ると、遠回りになりがちです。
おすすめの順番は、
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OETの試験構成とB基準の理解
-
Writing / Speaking の「型」を知る
-
弱点を意識した技能別対策
です。
Q6. 仕事をしながらでもOET対策は可能ですか?
可能です。
実際、多くの看護師はフルタイム勤務と両立しながら対策しています。
目安としては、
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平日:30〜60分
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週末:2〜3時間
このペースで進めれば、
3〜6ヶ月でBを狙える学習量を確保できます。
Q7. 一度C+だった場合、次はBを取れますか?
はい、十分可能です。
C+止まりの多くは、英語力不足ではなく
OET特有の減点ポイントを知らないことが原因です。
WritingやSpeakingの修正ポイントを明確にすれば、
次回でBに届くケースは非常に多いです。
Q8. OETはIELTSよりおすすめですか?
看護師の場合、
医療現場での経験がある人ほどOETの方が相性が良い傾向があります。
一般英語が得意ならIELTS、
看護実務を英語で再現するならOET、
という考え方が現実的です。
