日本で大ヒットしている「This is I」が海外大ヒットしないだろう理由を分析してみた

久しぶりにNetflixを開いて、「This is I」を観てみました。

正直に言って、すごい大作です。
日本人として、年代も比較的近く、はるな愛さんの半生を描いた作品として非常に見応えがありました。主演・望月春希さんの演技は圧巻で、特に“はるな愛になっていく瞬間”の表現力は鳥肌もの。あの変化の過程をリアルに演じ切るのは、本当に天才的だと感じました。

日本人にとっては、間違いなく「すごい作品」です。
ただ、海外での爆発的ヒットにはなっていない印象があります。

今日はその理由を、自分なりに分析してみました。


1. 日本人じゃないと分からない設定が多い

まず大きな要因は、作品の前提知識です。

はるな愛という存在。
松浦亜弥(あやや)という文脈。
当時の日本のテレビ文化。

これらを知らないと、作品の凄さの「半分以上」が伝わらない可能性があります。

特に重要なのは、「本人を知っているからこそ分かる凄み」です。
望月春希さんの演技がどれだけ本人に迫っているかは、はるな愛さんを知っている人ほど衝撃を受ける構造になっています。

つまりこの作品は、

  • はるな愛という人物を知っている

  • 当時の日本の芸能文化を知っている

  • 日本社会の空気感を体感している

こうした前提の上に成立している。

ある意味、「日本人でよかった」と思える作品です。
しかし同時に、それは海外視聴者にとっては大きなハードルでもあります。

文化依存度が高い作品は、どうしてもローカルヒットに留まりやすい。

作品としてのクオリティが低いわけではなく、「理解のための前提条件」が多すぎる、という問題です。


2. 日本社会という背景が前提になっている

もう一つの要因は、社会的文脈です。

はるな愛さんが経験した苦労は、「日本社会の空気」が大きく影響しています。

LGBTに対する理解の遅れ。
同調圧力。
芸能界特有の構造。

これらは日本人にとってはリアルで重いテーマですが、国によっては受け止め方が大きく異なります。

例えば、東南アジアの一部の国々では、LGBTの存在がより日常的に可視化されている社会もあります。もちろん差別がないわけではありませんが、「日本ほど閉鎖的ではない」と感じる人もいるでしょう。

そうなると、物語の「苦難の重み」が必ずしも同じ強度で伝わらない可能性があります。

つまりこの作品は、

  • 日本という社会構造

  • 日本特有の空気感

  • 日本の芸能史

これらを前提とした物語になっている。

結果として、非常に優れた作品である一方、「日本人のための傑作」になっている可能性があります。


3. 海外ヒットとの“桁違い”の差を実感した

この作品を観たあと、YouTubeで色々調べてみました。

日本で大ヒットしているYOASOBIの「Idol」。
現時点で約6.5億回再生。

これは日本国内ではとんでもない数字です。
しかも英語版も出して海外進出を狙っている。

しかし英語版は約4,000万回再生。
本家の10分の1以下です。

一方で、海外の大ヒット作を見てみると——

ROSÉ & Bruno Mars – APT.
再生回数は約24億回。

さらに、世界で最も再生されている動画は「Baby Shark」で約160億回。

ここまで来ると、もはや“桁が違う”。

日本で1億回再生が大ニュースになる一方、世界市場では10億回が普通に出る。

単純計算でも、マーケット規模は10倍以上あると言っていいでしょう。


4. 日本市場に留まるか、世界を狙うか

日本国内で完結する作品作りも、もちろん一つの戦略です。

  • 日本人のための作品

  • 日本文化に深く根ざした物語

  • ローカルで熱狂的に支持されるコンテンツ

これはこれで素晴らしい。

しかし同時に、「世界を相手にする」という選択肢もある。

世界を相手にすれば、単純に市場規模は10倍。
影響力も、売上も、スケールも、まったく違う。

もちろん、グローバルヒットには

  • 文化翻訳力

  • 普遍的テーマ

  • 言語戦略

  • マーケティング力

が必要になります。

簡単ではない。
でも、可能性は桁違い。


5. 「This is I」は海外ヒットを目指していないのかもしれない

もしかすると、この作品は最初から海外ヒットを目指していないのかもしれません。

日本人のために作られた、日本人の心を揺さぶる作品。

それなら、それでいい。

ただ、僕は思ってしまいます。

もしこれが、
日本だけでなく世界中に刺さる構造だったら?

もし普遍性とローカル性を両立できたら?

ポテンシャルはとんでもないことになるのではないか、と。


6. 10倍を目指すのは間違いなのか?

日本市場で成功する。
それも素晴らしい生き方です。

でも、世界を狙えば10倍の可能性がある。

日本人をターゲットにするのも一つの道。
世界をターゲットにするのも一つの道。

僕はどうしても後者を考えてしまう。

「10倍を目指したい」と思うのは、自分だけなのでしょうか。

今日はそんなことを考えてしまいました。

そんなことはさて多いても、この「This is I」がすごい作品であることには何の疑いもありません。

主演の望月春希さんの今後の活躍に注目したいです。

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