目次
フィリピンでの会社経営で日本人が気を付ける5つのポイント
こんにちは。
フィリピン・セブ島で学校および会社運営をするようになって、早いもので15年近くになります。
この15年間、さまざまな経験をしてきました。うまくいったこともあれば、日本では考えにくいようなトラブルや問題に直面したこともあります。
日本で会社経営をしていると当たり前だと思っていることが、海外ではまったく通用しないということも多くあります。特にフィリピンでは、日本とは法律、文化、価値観、ビジネスの考え方などが大きく違うため、最初は戸惑うことも多いでしょう。
そこで今回は、私自身の経験をもとに
「フィリピンで会社経営をする日本人が気を付けるべきポイント」
について書かせていただきます。
これからフィリピンでビジネスを始めようと考えている方や、すでに事業をされている方の参考になれば幸いです。
1. 自分が100%出資の会社は基本設立できない
まず最初に知っておかなければいけないのが、外国人100%出資の会社は基本的に設立できないという点です。
フィリピンでは、多くの業種において外国人が保有できる会社の株式は最大40%までと法律で定められています。つまり、残りの60%はフィリピン人名義である必要があります。
これはフィリピンだけではなく、東南アジアの多くの国でも見られる制度で、自国産業を守る目的があります。
もちろん例外もあります。
例えば、
-
PEZA(経済特区)に登録されている企業
-
輸出企業
-
資本金20万ドル以上の飲食業
など、特定の条件を満たす場合には外国人100%出資の会社設立が認められるケースもあります。
しかし、一般的な中小企業のビジネスの場合は、基本的にフィリピン人の事業パートナーを見つける必要があります。
ここで問題になるのが、「名義株主」の問題です。
実際には外国人が経営している会社でも、法律上はフィリピン人が60%の株を保有しているという形を取っている会社は少なくありません。
そのため、
-
弁護士が作成した白紙委任状
-
株式譲渡契約
-
名義貸し契約
などを利用して、実質的に外国人が経営権を握る形にするケースもあります。
ただし、これはあくまでグレーな方法であり、いわゆる「裏技」に近いものです。
そしてここでまた問題になるのが、信頼できる弁護士を見つけること自体が簡単ではないという点です。
フィリピンでは弁護士の数も多く、紹介や人脈で依頼することが一般的ですが、仕事の質や対応にはかなり差があります。
さらに弁護士費用も決して安くはありません。
フィリピンは人件費が安いというイメージがありますが、外国人が会社を設立し運営する場合は
-
法務費用
-
コンサル費用
-
許認可申請
-
各種行政手続き
など、意外とお金がかかります。
そしてもう一つ覚えておくべきなのが、会社乗っ取りのリスクです。
外国人100%出資が認められていない国では、事業が成功して利益が出るようになると、名義株主とのトラブルが起きるケースもあります。
実際、東南アジアでは「会社を乗っ取られた」という話を聞くことも珍しくありません。
もちろんすべてのケースがそうなるわけではありませんが、フィリピンで会社を作る場合は、こうしたリスクが存在することを理解しておくことが重要です。
2. 日本では騙す人が少数派、海外では多数派
これは私自身も反省している点ですが、日本人はある意味とても恵まれた環境でビジネスをしています。
日本では、仕事の取引で相手に騙されるというケースは決して多くありません。
もちろんトラブルはありますが、基本的には
-
契約を守る
-
約束を守る
-
長期的な信頼関係を重視する
という文化があります。
そのため、日本人は世界的に見ても非常に誠実なビジネスパートナーとして評価されています。
しかし、この日本人の「誠実さ」は、海外では逆に弱点になることもあります。
なぜなら、日本人は
「相手が騙すかもしれない」
という前提でビジネスをしていないからです。
日本では騙す人は少数派ですが、海外のビジネスの世界では、残念ながらそうとは限りません。
フィリピンでもビジネスの現場では、
-
約束を守らない
-
契約を軽く考える
-
支払いを遅らせる
-
条件を後から変える
といったことが起こることも珍しくありません。
もちろん、すべてのフィリピン人がそうだというわけではありません。誠実で信頼できる人もたくさんいます。
ただ、日本の感覚のまま海外でビジネスをすると、簡単に騙されてしまう可能性があるということです。
また、フィリピンでは長期的な信頼関係よりも、
目の前のお金を優先する
という考え方を持っている人も多いです。
これは文化的な背景や経済的な事情も大きく関係しています。
多くの人が十分な貯金を持っているわけではないため、将来よりも今のお金を優先する傾向があります。
これは海外ビジネスあるあるですが、
日本を一歩出たら、ビジネスは騙し合いくらいの気持ちでちょうどいい
というくらいの警戒心を持っていた方が、結果的にトラブルを避けることができます。
3. フィリピン人雇用の注意点
フィリピンでビジネスをする理由の一つに、人件費の安さがあります。
地域によって差はありますが、新卒の最低賃金は日本円にすると3万円台程度のケースもあります。
そのため、日本と比べると非常に低いコストで人材を雇用することができます。
ただし、ここで多くの外国人経営者が苦労するのが、フィリピンの労働法です。
フィリピンでは、従業員を6ヶ月以上雇用すると正社員にする必要があるというルールがあります。
もし会社側がそれを守らない場合、従業員は
DOLE(Department of Labor and Employment)
という、日本でいう労働省のような機関に訴えることができます。
そしてDOLEの問題になると、企業側がかなり不利になるケースも多いです。
そのため、フィリピンで会社をうまく回そうとすると、6ヶ月の試用期間で契約を終了するという運用をしている企業も多くあります。
フィリピンで最も成功している企業の一つであるジョリビーでも、このような人事運用が行われています。
店舗スタッフの多くは、6ヶ月で契約が終了し、新しいスタッフに入れ替わることも珍しくありません。
また、フィリピンでは
「このスタッフは優秀だな」
と思っても、正社員になった瞬間に仕事のパフォーマンスが落ちるというケースもよくあります。
理由は単純で、本人も
簡単には解雇されない
ということを理解しているからです。
さらにマネジメント面でも注意が必要です。
例えば、
-
人前で強く叱責する
-
感情的に怒る
といった対応は、トラブルの原因になることがあります。
文化的に「面子」を非常に大切にするため、人前で怒られることを強く嫌う傾向があります。
フィリピンで会社を運営する場合は、
労働法の理解とDOLE対策
この2つが非常に重要になります。
