2025/06/5
目次
フィリピンは物価が安く、気候も温暖で、語学留学・リタイア・起業・子育て移住など様々な目的で日本人に人気の国です。しかし「長期滞在」や「移住」を考えたとき、最大のハードルになるのがビザの選び方と取得条件です。
この記事では、移住目的別に代表的なビザをわかりやすく紹介します。
最初の入国は30日間ノービザ
滞在延長で最大36ヶ月(日本国籍の場合)
2ヶ月ごとに延長・再申請必要
一時滞在や移住前の下見に適している
事例
日本人男性が30日のノービザ滞在中に延長を忘れて滞在し続け、オーバーステイで罰金とブラックリスト入り。その後数年間入国禁止に。
解説
ノービザ滞在(30日)は自動では延長されない
延長手続き(Immigration officeで手続)を忘れると1日あたり1,000ペソ前後の罰金
悪質と見なされれば強制退去や再入国禁止の可能性もあり
事例
フリーランスの日本人が観光ビザで長期滞在中、現地のゲストハウスの手伝いや飲食店の運営をしていたとしてBIに拘束・国外退去処分に。
解説
観光ビザでは労働・収益活動は禁止
無報酬のボランティアであっても「労働」とみなされることがある
SNSで「現地生活の様子」や「仕事している風景」を投稿してバレたケースも
事例
60日目まで延長予定だったが、帰国直前にBIの処理が間に合わず、出国審査で足止め。空港で急いで罰金支払い。搭乗できずに飛行機キャンセル。
解説
出国前には「ECC(Emigration Clearance Certificate)」の取得が必要なケースあり(59日以上滞在時)
イミグレのシステムトラブルで申請が遅れ、空港で出国できない事例は実際に複数発生
事例
学校のサポートがなかったため、英語に不慣れな状態でBIオフィスに行き、書類不備で何度も往復。滞在期限ギリギリで焦った。
解説
延長にはパスポート原本・申請書・支払い現金・ホテルまたは滞在先情報などが必要
申請は1〜3時間かかることもあり、途中で諦めて不法滞在化する学生も
事例
Facebookで知り合った現地人に「イミグレ代行するよ」と言われて支払いしたが、延長されずビザも戻ってこない。結局罰金+再申請。
解説
正式な旅行代理店・学校以外での“ビザ代行”は詐欺リスクが高い
安さを理由に個人業者に依頼 → 音信不通というトラブルは実際に多数
✅ ビザ延長のタイミングと必要書類を事前確認
✅ 滞在が59日を超える場合はECCの取得も忘れずに
✅ 労働・収益活動は絶対に避ける(SNS投稿も注意)
✅ 信頼できる語学学校・正式代理店を通じて手続きする
✅ イミグレでの英語対応が不安なら同行サポートの有無を確認
申請対象:50歳以上
※かつては35歳以上で取得可能でしたが、2021年以降の政策変更で50歳以上に引き上げられました
必要資金:
- 年金なし → 預託金 USD 20,000
- 年金受給者 → USD 10,000 + 月額年金USD 800以上(単身者)
就労原則不可(ただし PRA の許可次第で可能になるケースあり)
永住可能かつマルチプル入出国自由
申請窓口:PRA(Philippine Retirement Authority)
事例
50歳未満で申請予定だった日本人が、申請直前にSRRV制度が突然の停止となり、すでに準備していた書類・預託金計画が全て無駄に。
また、制度再開後には年齢制限が35歳 → 50歳以上に変更され、取得不可能に。
解説
2020年、中国人による大量取得や軍関係者の流入が問題視され、フィリピン上院でSRRVの見直し議論が発生
結果、SRRVの新規受付は約1年間停止
**「制度はあるが、いつでも停止しうる」**という制度の不安定さを露呈
事例
年金受給者プラン(USD 10,000で取得可能)を検討していたが、月額受給額や通貨の問題で受け入れてもらえず、USD 20,000の預託金を求められた。
解説
PRAは申請時の**「受給年金の金額・証明形式」**に細かい基準を設けており、受理されないこともある
証明が円建てで書かれていたため、ドル換算証明の再提出を要求されたという事例もあり
年金ルートは一見簡単そうだが、審査が意外とシビア
事例
PRA指定の預託銀行が倒産し、預託金の一部が引き出せなくなった/返金に時間がかかったとする噂がSNSで拡散。
解説
SRRVは原則「返金可能な預託金」であり、PRA指定銀行に預け入れる必要あり
ただし銀行の選定によっては経営状態が不安定な場合もある
政府が保証するとは限らないため、預け先の確認は重要
事例
コロナ禍で一時帰国していた日本人が、年1回の「SRRV更新」または「入国要件」を満たせず、ビザが無効に。
再申請を求められる羽目に。
解説
SRRVは**「1年に最低1回フィリピンに入国」または「PRAへの年次報告」**が義務
忘れると自動的に失効し、再申請扱いになる
長期帰国時や高齢者には見落とされがち
事例
SRRV保有者が、セブで飲食店を開業・運営。就労許可なしで公に活動していたところ、BIの査察が入り警告処分。
一歩間違えば退去・ビザ取消の可能性もあった。
解説
SRRVは原則**「就労不可」**(※例外的にPRA・BIの承認を得れば就労可能)
明示的な報酬の有無に関係なく、働いているように見えれば違反とみなされる
特に飲食・教育など人目につくビジネスは要注意
トラブルの種類 | 対策 |
---|---|
制度停止や変更 | 常にPRA公式情報をチェック/事前準備で油断しない |
預託金関連 | 信頼できる銀行・通貨・名義の管理を厳密に |
更新忘れ・失効 | 年1回の報告・出入国をリマインダー管理 |
ビジネス・就労 | PRAやBIに事前確認&許可申請が必須 |
情報の誤認 | YouTubeやSNSよりも法務・実務ベースで判断 |
フィリピンで認可された企業または産業にUSD 75,000以上を投資することで取得できる居住ビザ
管轄はBOI(Board of Investments)
投資家向けの永住ビザという位置づけ
一応、就労も可能だがビザ発給プロセスは非常に厳格で長期
① 投資対象が限定されていて実務的に面倒
BOIに登録された特定の産業・企業への直接投資が条件
実際に資金を送金・証明・固定する手間が多く、審査も厳しい
投資先が限られており、自由度が非常に低い
② 資金条件が中途半端
USD 75,000は、SRRVのUSD 10,000〜20,000よりは高いが、起業家には中途半端
それなら法人を設立して9Gや別のビザで活動するほうが自由
③ SRRVの存在が強すぎる
50歳以上であれば、SRRV(リタイアメントビザ)の方が安く・簡単で・柔軟
そもそも「移住」「居住」を目的にする層はSIRVよりSRRVを選ぶ傾向
④ 情報が少なくサポート業者も限られている
PRAと違い、BOIは一般人向けの申請サポートには慣れていない
日本語情報も極端に少ない
実際に「SIRVの代行」を謳っている業者はほとんど存在しない
ビザ | 主な用途 | 利用者層 | 実務性 |
---|---|---|---|
SRRV | 居住・移住 | リタイア・長期滞在希望者 | ◎ |
9G | 就労 | 外国人社員・講師・マネージャー | ◎ |
SIRV | 投資+居住 | 条件付きハイリスク投資家 | △(使われない) |
SIRVはあくまで「移住したいけど、リタイア年齢未満でSRRVが取れず、かつ資産がある投資家」向けの制度です。
一般の語学留学経験者・中小ビジネス志望者には実務的に不向きです。
フィリピン企業に雇用される形
雇用主がスポンサーとなって取得
就労期間中のみ滞在可能、転職時に再取得必要
英語講師や現地企業への就職に適用される
事例
外国人講師の採用が決まったが、実際に9Gビザが発行されたのは4〜5ヶ月後。その間は特別就労許可証(SWP)で仮就労しながら待機。
解説
通常、9Gビザの正式発行には3〜6ヶ月かかる
その間、SSPまたはSWPで暫定対応するが、観光ビザ延長とセットで頻繁な手続きが必要
ビザが発行される前に離職・帰国する外国人も多い
事例
ビザが「申請中」の状態で普通に勤務していた外国人が、BIの査察で不法就労と見なされ、警告・出頭命令を受けた。
解説
9Gビザの“申請中”=労働許可があるわけではない
SWPなどの明確な就労許可証がなければ違法就労とされる
雇用側(学校・企業)の認識不足が原因のことも多い
事例
「ITマネージャー」名義で9Gビザ取得 → 実際は飲食店の店長業務 → 職務内容詐称でビザ無効処分
解説
9Gは「特定の企業・特定の職種」にのみ有効
職種や勤務地の変更はBIへの届け出が必要
現地にいるからといって勝手に職種変更すると違法扱いされる
事例
外国人スタッフの9G更新中に、会社側がBIRやDOLEへの報告義務を怠っていたため、認可取り消し → 申請者もビザ却下
解説
企業側には雇用契約・賃金証明・納税証明・SEC登録など一式の書類提出義務
税務登録や社会保険登録が未処理だと、ビザ申請が進まない
雇用主のミスが外国人側のペナルティになるケースもある
事例
他社へ転職した日本人が、9Gを持ったまま働き続けた結果、違法労働と見なされブラックリスト入り。
解説
9Gは会社に紐づくビザ
転職時は新たなスポンサー企業で再申請が必要
前職を辞めたら速やかにBIに報告&変更届が必要
リスク | 対策 |
---|---|
発行遅延 | 事前にSWPで仮対応/申請から最短で3ヶ月と見積もる |
無許可就労 | SWP・SSPなど就労可証明が出てから働く |
内容の食い違い | 申請書類と実務が一致しているか常に確認 |
転職・変更 | 9G更新・移行手続きを怠らない/BIに報告 |
雇用主リスク | しっかりした法人であることを事前確認(BIR, SEC, DOLE登録) |
9Gビザは取得すれば滞在も安定しやすく、正規ルートとして非常に有効ですが、手続きの煩雑さ・運用の厳格さ・雇用主依存などがリスクになります。
また、学校など教育機関側の知識不足でトラブルが起こることも珍しくありません。
フィリピン人と結婚した場合に申請可能
初年度は仮ビザ、その後永住ビザへ
就労・事業活動も可能
事例
日本人男性がフィリピン人と結婚し、13Aビザを取得。しかし、初年度は“仮永住ビザ(probationary resident visa)”であることを忘れて更新を怠り、ビザ失効 → オーバーステイ扱いに。
解説
13Aビザは最初の1年は「仮永住(条件付き)」
1年後に**更新申請(permanent resident化)**が必要
その更新を忘れると、在留資格喪失 → 不法滞在扱い → 罰金または退去命令の対象
事例
13Aビザで滞在していた日本人が、離婚後もフィリピンに残り続けたが、イミグレでの抜き打ち確認でビザの根拠が失効していたことが発覚 → 即日出頭命令+退去処分。
解説
13Aは婚姻状態を前提にした居住ビザ
離婚・死亡・婚姻解消後は速やかにBIに届け出+ビザ切り替え手続きが必要
放置すると不法滞在+再入国禁止のリスクも
事例
一部の外国人が、13Aビザを取得するために偽装結婚 or ブローカーを通じて形式上の結婚を実施。後に摘発され、ビザ取消+刑事告発+国外退去処分。
解説
BIは婚姻届出後も実態調査(面接・写真・同居証明など)を行う
結婚の実体がないと判断されれば、不正申請として強制退去の対象
ブローカー利用や金銭授受は重罪扱いになることも
事例
結婚証明書がNSO(PSA)で登録されておらず、手続き途中で“書類不備による却下”→再申請に数ヶ月かかった。
解説
結婚はPSA(旧NSO)に登録済の証明書(marriage certificate)が必須
LCR(市役所レベル)だけの証明では不十分
申請書類の不備が1枚でもあると全体が差し戻し対象
事例
一時帰国の際、空港でACR-Iカード(外国人登録証)を携帯していなかったため、出国できずにフライトを逃した。
解説
13A取得者はACR-Iカードの常時携帯が義務
出入国時に提示を求められることがある
再発行には時間もかかるため、紛失にも注意が必要
項目 | 対策 |
---|---|
仮永住 → 永住切替忘れ | 1年後のBIスケジュールをリマインド管理 |
離婚・死別後の滞在 | 速やかにBIへ届け出+ビザ切替を検討 |
偽装・書類偽造 | 実態ある結婚であることを証明可能な体制を |
書類不備 | PSA登録済みの正式な婚姻証明書類を確認 |
ACR-Iカード関連 | 紛失防止+出入国前の所持確認を徹底 |
13Aは一見「永住が保証される安心なビザ」と見られがちだが、実際には婚姻状況の変化・更新手続き・義務違反によって簡単に失効・取消対象となる。
特に「仮永住1年目」「離婚後放置」「ACR-Iカードの失念」など、“うっかり”で詰むパターンが多い。
留学目的での滞在に適用
SSP(Special Study Permit)は短期語学留学用(有効30日〜半年、延長可)
正規大学等はStudent Visaを取得
留学から移住への入り口として活用可能
事例
フィリピンの大学に9Fビザで通っていた日本人留学生が、実際には授業にほとんど出ておらず、出席率・成績・取得単位が基準に満たなかった。
その結果、学校からBI(入国管理局)に報告され、9Fビザの資格を取り消されて強制退去処分に。
解説
9Fビザ保有者は「正規のフルタイム学生であること」が前提
学校は年次でBIに成績・在籍状況を報告する義務があり、単位不足・放棄・継続意思なしと判断されれば、ビザの資格喪失 → 出国命令となる
事例
大学を中退してもビザは有効だと思い放置 → 数ヶ月後の再出国時、学生ビザの資格が失効しており、オーバーステイ扱いで罰金+ブラックリスト対象に
解説
9Fビザは特定学校に紐づく学生ステータス
中退・転校した場合はBIへ即時報告・ビザ変更が必要
放置すると不法滞在者扱い+再入国禁止リスク
事例(過去に中国人留学生中心で摘発あり)
在籍証明・成績証明などを偽造してビザを取得・延長していたグループが一斉摘発。本人だけでなく、関与した職員も処分対象に。
解説
フィリピンではBIと学校の連携強化により、成績照会・在籍確認がデジタル化されつつある
虚偽提出は犯罪(Fraud)として刑事罰の対象
リスク | 具体的な対策 |
---|---|
出席・単位不足 | 定期的に成績確認/本人の意思確認/BI提出資料の正確性保持 |
中退・休学後の放置 | 速やかにBIへ報告し、観光ビザまたは帰国へ移行 |
誤解(“学費払ってるからOK”) | 学費より「学業実態」が重要/報告対象は成績と出席 |
ビザ目的の在籍 | 面談・定期報告の義務化/学校とBIの連携強化で見破られる |
9Fビザは**“滞在目的を学業と限定”した強制力のあるビザ**
語学学校や大学にとっては、定期報告・監査責任もあるため、曖昧な運用は許されない
学生側が「バレないと思っていた」という感覚が最も危険
ビザ取得は「条件」だけを見て終わってはいけない。制度の安定性・更新手続き・周囲からの監視・違反時のリスクなどを含めて、総合的に戦略を立てることが重要だ。
特にフィリピンでは、イミグレーション(BI)やPRA、BOIなど複数の政府機関が絡むため制度の変更リスクも高く、軽い気持ちで運用すると後から痛い目に遭う。
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