セブ島移住に必要な労働ビザ(9G)の取得と注意点【2025年最新版】
セブ島で長期的に働きながら生活するためには、**労働ビザ(9G)**の取得が欠かせません。
このビザは、フィリピンの企業や団体と雇用契約を結んだ外国人に発給されるもので、合法的に就労し、滞在を延長できる唯一の在留資格です。
観光ビザや学生ビザでは原則として働けず、無許可での就労は罰金や強制退去の対象になります。そのため、現地での仕事が決まったら、雇用主を通じて速やかに9Gビザの申請を進めることが重要です。
この記事では、9Gビザの概要、取得条件、必要書類、申請手順、費用の目安、注意点をまとめ、セブ島での就労をスムーズに始めるためのポイントを解説します。
1. 労働ビザ(9G)とは?
労働ビザ(9G)は、フィリピン国内で特定の雇用主のもとで働く外国人に発給される長期滞在ビザです。正式名称は Pre-Arranged Employment Visa(9G Working Visa) で、移民法の規定に基づき、フィリピン入国管理局(Bureau of Immigration)が発給します。
このビザの特徴は、雇用契約に基づいて発行される点です。つまり、9Gビザを申請するためには、先にフィリピン国内の企業や団体と雇用契約を結び、その企業がビザスポンサーとして申請をサポートする必要があります。
9Gビザを取得すると――
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正規雇用として合法的に就労できる 
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ビザ期間中はフィリピンに滞在可能 
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雇用契約に応じて1〜3年の有効期限が設定され、更新も可能 
特にセブ島では、英語学校、IT関連企業、BPO業界、観光・ホテル業などで外国人採用が進んでおり、9Gビザは移住して働く人にとって欠かせない滞在資格となっています。
2. 取得の主な条件
9G労働ビザを取得するには、単に「セブ島で働きたい」という希望だけではなく、フィリピン政府が定める要件を満たす必要があります。特に、スポンサー企業の要件や就労ポジションの適正性が重要です。
主な条件
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フィリピン国内企業との正式な雇用契約があること - 
雇用主はビザスポンサーとして申請をサポートする必要があります。 
 
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雇用主が合法的に事業登録されていること - 
SEC(証券取引委員会)またはDTI(貿易産業省)登録済みであること。 
 
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DOLE(労働雇用省)発行のAEP(Alien Employment Permit)を取得していること - 
外国人雇用がフィリピン人の雇用を不当に奪わないことを確認する許可証です。 
 
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申請者に犯罪歴がないこと - 
フィリピン国内の無犯罪証明(NBI Clearance)および母国発行の警察証明が必要な場合あり。 
 
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健康状態が良好であること - 
感染症や重篤な健康問題がないことを、健康診断書で証明します。 
 
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滞在中の在留資格違反がないこと - 
オーバーステイや無許可就労歴がある場合、審査が厳しくなるか却下される可能性があります。 
 
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ポイント
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フィリピンでは雇用主がビザ取得の責任主体になるため、スポンサー企業の信頼性が非常に重要です。 
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9Gビザは雇用主に紐づくため、転職時は新しい雇用主で再申請が必要になります。 
3. 必要書類(セブ島での一般的なケース)
9G労働ビザの申請では、雇用主が用意する書類と申請者が用意する書類の両方が必要です。特に、AEP(Alien Employment Permit)関連の書類は事前取得が必須となります。
申請者が用意する書類
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有効なパスポートと全ページコピー - 
入国スタンプや現行ビザページを含めて提出。 
 
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申請書(Bureau of Immigration指定フォーム) 
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健康診断書(Medical Certificate) - 
フィリピン国内の指定クリニックや病院で取得。 
 
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無犯罪証明書 - 
フィリピン国内(NBI Clearance) 
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必要に応じて母国発行のPolice Clearance(認証付き) 
 
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写真(2×2インチ、白背景) 
雇用主が用意する書類
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雇用契約書(Contract of Employment) 
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事業登録証明 - 
SEC登録(法人)またはDTI登録(個人事業) 
 
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BIR(内国歳入庁)発行の納税登録証明 
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AEP(Alien Employment Permit) - 
DOLE発行、原本とコピー 
 
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会社概要書や組織図(必要に応じて) 
書類準備のコツ
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母国発行書類はアポスティーユまたは領事認証を済ませてからフィリピンに持ち込む。 
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無犯罪証明や健康診断は有効期限が短いため、申請直前に取得するのがおすすめ。 
4. 申請手順(セブ島の場合)
9G労働ビザの取得は、AEP(労働許可)→9Gビザ申請という2段階の流れで進みます。セブ島では雇用主と申請者が連携して手続きを行います。
ステップ1:雇用契約の締結
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スポンサー企業と正式な雇用契約を結びます。 
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契約には業務内容・給与・雇用期間などが明記されている必要があります。 
ステップ2:AEP(Alien Employment Permit)の取得
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雇用主がDOLE(労働雇用省)に申請します。 
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期間は通常2〜4週間。 
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この許可がなければ9Gビザ申請はできません。 
ステップ3:9Gビザ申請(移民局)
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AEP原本を添えて、Bureau of Immigration Cebuに申請書と必要書類を提出。 
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申請手数料を支払い、受付番号を受け取ります。 
ステップ4:審査期間
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通常1〜2か月程度。 
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書類不備や追加要請がある場合はさらに延びることがあります。 
ステップ5:ビザ発給
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承認されるとパスポートに9Gビザが貼付され、在留資格が付与されます。 
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有効期間は雇用契約に応じて1〜3年で、更新も可能です。 
手続きのポイント
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AEPと9Gの申請は並行して進められるケースもありますが、原則はAEP取得後に9G申請です。 
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雇用主がビザ申請に不慣れな場合、移民局手続き代行エージェントを利用するとスムーズです。 
5. 費用の目安(2025年)
9G労働ビザの取得費用は、AEP(労働許可)と9Gビザ申請費用の2つが中心です。加えて、健康診断や書類認証などの関連費用もかかります。以下は2025年時点のセブ島での一般的な目安です。
① AEP取得費用(DOLE)
| 項目 | 金額(フィリピンペソ) | 備考 | 
|---|---|---|
| AEP発行手数料 | 約9,000〜10,000 | 1年間有効(延長可) | 
| 公示費用(新聞掲載) | 約2,000〜3,000 | 雇用公告の掲載義務 | 
② 9Gビザ申請費用(移民局)
| 項目 | 金額(フィリピンペソ) | 備考 | 
|---|---|---|
| 申請手数料 | 約8,000〜10,000 | 初回申請時 | 
| 更新手数料 | 約7,000〜9,000 | 契約延長時 | 
③ その他の関連費用
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健康診断:1,000〜2,500ペソ 
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無犯罪証明(NBI):約200ペソ 
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母国発行の警察証明:数千円+認証費用 
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日本発行書類のアポスティーユまたは領事認証:数千円〜1万円 
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翻訳費用(必要に応じて):1ページあたり500〜1,500ペソ 
節約のヒント
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健康診断や無犯罪証明は有効期限内にまとめて取得し、再発行を避ける。 
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雇用主が一部費用を負担するケースもあるため、契約時に確認しておくと安心。 
6. 注意点
9G労働ビザは、雇用主との契約に紐づく在留資格であるため、取得後もいくつかの重要な注意点があります。違反すると罰金や強制退去、再入国禁止のリスクがあるため、必ず把握しておきましょう。
① 転職・契約終了時の再申請義務
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9Gビザは特定の雇用主に限定されるため、転職や契約終了時には新しい雇用主で再申請が必要です。 
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無許可で別の会社で働くと不法就労となります。 
② 無許可就労の禁止
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観光ビザや学生ビザでの就労は違法。 
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9Gビザを持っていても、申請した企業以外で働くことはできません。 
③ 年次報告(Annual Report)の義務
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すべての外国人登録者は、毎年1月〜3月に移民局で年次報告を行う必要があります。 
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報告漏れは罰金対象です。 
④ 出国・再入国時の手続き
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長期出国や契約終了前後には、**Emigration Clearance Certificate(ECC)**が必要になる場合があります。 
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出国前に移民局で確認しておくことが安心です。 
⑤ 雇用主側の責任
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ビザスポンサーである雇用主が必要な報告や更新を怠ると、ビザの失効や更新拒否につながることがあります。 
実務的アドバイス
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就労中に会社の事業形態や登録情報が変更になった場合、速やかに移民局へ報告してもらう。 
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契約変更や転職予定がある場合は、早めに新しいビザ手続きを開始することで、オーバーステイや無許可就労を避けられます。 
7. まとめ
セブ島で長期的に働くためには、**労働ビザ(9G)**の取得が不可欠です。
このビザは、特定の雇用主との契約を前提に発給されるため、契約内容や雇用主の信頼性が非常に重要になります。
この記事で解説したポイントをおさらいすると――
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9Gビザは就労を合法化する唯一の在留資格 
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申請にはAEP(労働許可)取得が必須 
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雇用主がビザスポンサーとして登録済みであることが条件 
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転職や契約終了時には再申請が必要 
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年次報告(Annual Report)やECCなどの出入国手続きも忘れずに 
違法就労や更新漏れは、強制退去や将来の入国禁止といった深刻なリスクにつながります。
安心してセブ島で働き続けるためには、雇用主と密に連携し、必要な手続きを期限内に行うことが大切です。
もしビザ申請や更新に不安がある場合は、経験豊富なエージェントや弁護士にサポートを依頼すると、手続きの手間やリスクを大きく減らせます。

 
		 
		 
			 
			 
			 
			 
			