目次
IB・A-level・APの違いと選び方(東京版インターナショナルスクール)
はじめに
東京のインターナショナルスクールを検討する際、多くの家庭が直面するのが「どのカリキュラムを選ぶべきか」という問題です。特に高校課程にあたる学年では、IB(国際バカロレア)、A-level(イギリス式大学進学資格)、AP(アメリカ式大学先取り科目) という3つの主要プログラムが広く導入されています。
これらはすべて世界の大学進学に認められた教育プログラムですが、教育理念や学習方法、評価制度が大きく異なります。IBは「幅広く深い探究型学習」、A-levelは「少数科目への専門集中」、APは「幅広い科目を先取りして大学単位に接続」という特徴を持っています。
どのプログラムが最適かは、子どもの学習スタイル、得意・不得意科目、そして将来の進学希望国やキャリアプランによって変わります。本記事では、それぞれの違いを整理し、東京でのインターナショナルスクール選びの参考となる情報をまとめます。
IB(国際バカロレア)の特徴
国際バカロレア(International Baccalaureate, IB) はスイス発祥の国際教育プログラムで、現在150カ国以上の大学に広く認知されています。東京でも多くのインターナショナルスクールが採用しており、特に高校課程にあたる Diploma Programme (DP) が注目されています。
学習の仕組み
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対象年齢:16〜19歳(高校2〜3年相当)
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履修科目:6科目を選択し、加えて3つの必修要素(Extended Essay, Theory of Knowledge, CAS活動)が課されます。
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学習方法:探究型・批判的思考を重視。暗記中心ではなく「なぜ」「どうして」を問う姿勢を養います。
評価方法
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最終試験に加え、エッセイ・口頭発表・プレゼン・内部評価を組み合わせた総合評価。
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世界共通の基準で採点されるため、公平性と国際的な信頼度が高い。
メリット
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世界中の大学に広く通用(特に欧米・アジア主要国)。
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バランスの取れた科目構成で幅広い教養を習得できる。
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探究型学習に強く、将来の研究や国際的キャリアに直結しやすい。
デメリット
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課題・試験が非常に多く、自己管理能力や時間管理が不可欠。
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特定科目に特化したい生徒にはやや負担が大きい場合もある。
東京でIBを導入している代表校
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K. International School Tokyo (KIST)
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Seisen International School
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St. Mary’s International School
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Tokyo International School (TIS) など
A-level(英国式)の特徴
A-level(Advanced Level) は、イギリスを中心とした大学進学資格であり、特に英国や英連邦諸国(オーストラリア、シンガポール、香港など)の大学入学に強い効果を発揮します。東京では導入校が限られますが、The British School in Tokyo (BST) が代表的です。
学習の仕組み
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対象年齢:16〜18歳(高校2〜3年相当)。
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履修スタイル:3〜4科目に絞って学習。生徒は自分の得意分野や進学希望分野に合わせて選択できます。
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学習方法:理論を深く掘り下げる専門型。例えば理系なら数学・化学・物理に集中し、文系なら英文学・歴史・政治学などを選ぶことが多いです。
評価方法
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主に筆記試験で評価。ASレベル(1年目)とA2レベル(2年目)の2段階に分かれます。
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結果はA*〜Eのグレードで判定され、大学入学条件に直結。
メリット
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得意科目に集中できるため、専門性を磨きやすい。
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英国や英連邦圏の大学進学に強く、国際的な信頼度も高い。
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日本の入試よりも「学問分野に直結した実力」を示せる。
デメリット
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幅広い学習ではなく専門重視のため、進路が未定の生徒にはリスクがある。
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東京ではA-levelを提供する学校が少なく、選択肢が限られる。
東京でA-levelを導入している代表校
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The British School in Tokyo (BST)
AP(米国式)の特徴
AP(Advanced Placement) はアメリカの大学進学準備制度で、College Board が運営しています。高校在学中に大学レベルの科目を履修し、試験で一定のスコアを取ることで、進学後に大学単位として認定される場合があります。東京のインターナショナルスクールでも広く導入され、特にアメリカ系の学校で選択肢が豊富です。
学習の仕組み
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対象年齢:14〜18歳(高校課程)。
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履修スタイル:数学、科学、人文、言語、芸術など約30以上の科目から選択可能。
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学習方法:通常の高校授業に加え、大学レベルの教材を使用。自分の進路に合わせて履修科目を増減できる柔軟性がある。
評価方法
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毎年5月に行われる統一試験(スコア1〜5)。
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多くのアメリカ大学では「3以上」で単位認定を受けられる。
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日本を含む海外大学でも評価対象となるケースが増加中。
メリット
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アメリカやカナダの大学進学に特に有利。
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大学の単位認定を受ければ、進学後の学費・時間の節約が可能。
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科目数が豊富で、興味の幅に合わせて学習できる。
デメリット
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高度な内容のため、学習負担が大きい。
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幅広く履修することで深さに欠ける場合もある。
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履修と試験の両立には自己管理力が必要。
東京でAPを導入している代表校
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American School in Japan (ASIJ)
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Christian Academy in Japan (CAJ)
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Yokohama International School (YIS)
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St. Mary’s International School など
東京のインターナショナルスクールでの導入例
東京には多様なインターナショナルスクールがあり、それぞれが異なるカリキュラムを採用しています。学校選びの際には、どのプログラムを導入しているかが重要な判断基準となります。
IBを導入している代表校
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K. International School Tokyo (KIST) – 高い進学実績を持ち、IBに特化したプログラム。
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Seisen International School – カトリック系女子校でIB DPを提供。
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St. Mary’s International School – 男子校でありながらIB DPを導入。
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Tokyo International School (TIS) – 都心型キャンパスでIBをフルに提供。
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Lycée Français International de Tokyo (LFIT) – フランス系だがIB DPも導入。
A-levelを導入している代表校
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The British School in Tokyo (BST) – 東京で唯一本格的にA-levelを提供。英国式進学を希望する家庭の第一候補。
APを導入している代表校
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American School in Japan (ASIJ) – 東京最大級のアメリカンスクール、AP科目が豊富。
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Christian Academy in Japan (CAJ) – アメリカ系プロテスタントスクールでAP導入。
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Yokohama International School (YIS) – 横浜拠点ながら東京から通う家庭も多い。
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St. Mary’s International School – IBと併せてAPも選択可能。
傾向まとめ
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IB:東京では導入校が多く、幅広い選択肢がある。
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A-level:BSTが中心で、選択肢は限られる。
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AP:アメリカンスクール系で充実しており、米国進学を希望する生徒に人気。
選び方のポイント
IB・A-level・APはいずれも世界的に評価されるプログラムですが、適性や進路によって向き不向きがあります。東京でインターナショナルスクールを選ぶ際は、以下の観点を意識すると判断がしやすくなります。
1. 進学希望国・地域
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欧州(特に英国) → A-levelが最も適しており、大学側の理解度も高い。
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北米(アメリカ・カナダ) → APが有利。大学単位の先取りができ、学費節約にもつながる。
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グローバル(多国籍志向) → IBが安定。世界各国で認知度が高いため、進学先が未定でも安心。
2. 子どもの学習スタイル
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幅広い教養と探究型学習を好むタイプ → IBが向いている。
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得意分野に集中して成果を出したいタイプ → A-levelが合う。
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挑戦的に複数科目を履修し、効率よく進学準備をしたいタイプ → APが適している。
3. 東京での学校選択肢
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IB導入校は都心・郊外ともに多く、比較的選びやすい。
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A-level導入校はBSTが中心のため、英国志向であれば事実上の一択。
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AP導入校はアメリカンスクール系(ASIJ、CAJなど)に集中しており、北米進学を前提とする家庭に人気。
4. 将来のキャリアプラン
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国際機関・研究職 → IBで培う探究型思考が有利。
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専門職(医療・工学・法律など) → A-levelで専門科目に特化すると強い。
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ビジネス・起業・幅広い分野でのキャリア → APで多様な科目経験を積むのが有効。
まとめ
東京のインターナショナルスクールでは、IB・A-level・AP という3つの主要プログラムが選択肢として用意されています。それぞれの特徴を整理すると以下のようになります。
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IB:幅広い学びと探究型学習。進学先をまだ決めていない場合でも、世界中の大学に対応可能。
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A-level:得意分野に集中して専門性を高める。英国や英連邦圏の大学進学に特化。
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AP:アメリカ大学に強く、単位認定による時間と費用の節約が可能。科目の選択肢も多彩。
どのプログラムを選ぶかは、進学希望国・地域、子どもの学習スタイル、そして東京での学校選択肢の3点で大きく左右されます。
一概に「どれが最も優れている」とは言えませんが、家庭の教育方針とお子さまの適性に合わせて選べば、将来につながる大きな強みとなります。
インターナショナルスクールを検討する際は、必ず学校見学や説明会に参加し、実際のカリキュラム内容と雰囲気を確認することをおすすめします。
IB・A-level・APはそれぞれどんなプログラム?
IBは探究型で幅広い6科目+EE/TOK/CASを含む国際資格。A-levelは3〜4科目に絞って専門性を高める英国式。APは米国の大学先取り科目で、各教科の統一試験スコア(1〜5)を取得します。
どれが一番有利?
進学先との相性で変わります。欧州・特に英国はA-level、北米はAP、国や地域をまだ決めていないならIBが扱いやすい傾向です。
難易度や学習負担は?
IBは課題量が多く総合評価で負担大。A-levelは少科目に集中する深掘り型で科目の難度は高め。APは科目数を増やすほど学習負担が増えます。
評価方法の違いは?
IBは内部評価+最終試験の総合点(45点満点)。A-levelは主に筆記試験でグレード(A*〜E)。APは年1回の統一試験で1〜5のスコアです。
大学の単位認定は受けられる?
APは多くの米国大学で3以上を条件に単位認定の可能性あり。IB・A-levelも大学や学部によっては科目免除や条件緩和がある場合があります(大学ごとのポリシー要確認)。
科目選択の考え方は?
IBは6グループからバランス良く選択しHL/SLを決めます。A-levelは進学したい分野に直結する3〜4科目に集中。APは志望学部に関連する複数科目を必要数選びます。
英語力が不安でも大丈夫?
多くの学校にEAL(英語補助)があり段階的にサポートされます。IBはエッセイ・発表が多く、早期からのアカデミック英語準備が有利です。
理系・医歯薬系志望の場合は?
A-levelは数学・化学・生物・物理などで要件を満たしやすい構成が取りやすいです。IBはHLで理系科目を選び、APはCalc/Physics/Chem/Bioなど必要スコアを揃えると評価されやすくなります。
文系・社会科学志望の場合は?
IBはエッセイやTOKで論証力を示しやすい。A-levelは英文学・歴史・経済などの組み合わせが一般的。APはMicro/Macro、US/World History、Government、Psychologyなどのスコアで学力証明が可能です。
東京での学校選択はどう考える?
IB導入校は比較的多く、APはアメリカ系の学校で充実、A-levelは英国系が中心です。通学圏・校風・サポート体制・進学実績も合わせて検討しましょう。
カリキュラムの途中変更はできる?
可能な場合もありますが、履修要件・単位互換・受験時期が異なるため学年途中の切り替えは慎重に。学校側に早めに相談しましょう。
SAT/ACT・IELTS/TOEFLは必要?
北米大学ではSAT/ACTが任意または必要(テストオプショナル校も増加)。英語要件としてIELTS/TOEFL/DET等が求められることがあります。欧州・アジアの大学も出願要件は大学ごとに異なります。
内申(GPA)との関係は?
A-levelは最終試験重視、IBは内部評価と試験の合算、APはスコア自体はGPAと別枠ですが高校の成績表・履修難度と併せて評価されます。
課外活動はどれくらい重要?
米国型選考では課外活動・ボランティア・リーダーシップが重視されます。IBのCASは活動実績を体系的に示すのに有利です。英国・欧州は学力証明が中心ですが、関連活動は志望理由の補強になります。
費用面の違いはある?
授業料は学校差が大きく、試験料・受験運営費もプログラムごとに異なります。年間コストは「授業料+試験関連費+教材費+交通費」で比較しましょう。
どのタイプの子にどれが向く?
探究・幅広さ=IB、専門集中=A-level、柔軟に科目追加しながら実績化=AP。学習スタイル・自己管理力・志望国で最適解が変わります。
最終的な選び方のフレームは?
①志望地域(英国・北米・未定)→②学習スタイル(幅広/集中/柔軟)→③東京での学校選択肢(導入プログラム・アクセス・支援体制)→④費用・スケジュールの順で意思決定すると整理しやすいです。
