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IELTS受験総合ガイド: IELTSとTOEFL・TOEICの比較
はじめに
英語力を証明するテストにはさまざまな種類がありますが、代表的なものが IELTS・TOEFL・TOEIC の3つです。いずれも世界中で広く活用されており、留学、移住、就職、キャリアアップなど、それぞれの目的に応じて必要とされる場面が異なります。
しかし「どの試験を受けるべきか?」という点は、多くの受験者が悩むポイントです。
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海外大学進学を目指すなら?
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移住申請で求められるのは?
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日本国内の就職活動ではどれが有利?
本記事では、IELTSを中心にTOEFL・TOEICとの違いを比較し、それぞれの特徴や活用シーンを整理します。これにより、自分の進路や目標に最適な試験を選ぶ判断材料となるでしょう。
IELTSの概要
IELTS(International English Language Testing System) は、世界中で最も認知度の高い英語試験の一つで、特にイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどへの 留学や移住申請 に広く利用されています。
特徴
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4技能を均等に評価
Listening・Reading・Writing・Speaking の4技能をバランスよく測定する試験です。 -
スコア形式
0.0~9.0のバンドスコアで評価され、0.5刻みで算出されます。大学進学では多くの場合 6.5~7.0以上 が必要。 -
モジュールの種類
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Academic Module:大学・大学院進学を目指す人向け
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General Training Module:移住や就労を目的とする人向け
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スピーキングの形式
面接官との1対1の対話形式で行われるため、実際のコミュニケーション能力が重視されます。
主な用途
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英語圏の大学・大学院への進学
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移民局への申請(カナダ・オーストラリア・イギリスなど)
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一部のグローバル企業への就職や海外赴任
IELTSは「学術的英語」と「実用的英語」の両面を評価するため、留学・移住だけでなく、実生活で使える英語力を示せる点が大きな魅力です。
TOEFLの概要
TOEFL(Test of English as a Foreign Language) は、アメリカの非営利教育機関 ETS(Educational Testing Service) が運営する英語能力試験です。特に アメリカ・カナダの大学進学 において最も重視される試験のひとつです。
特徴
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試験形式
Reading、Listening、Speaking、Writing の4技能をすべてコンピュータ上で受験。 -
スピーキング
面接官ではなく、マイクに向かって解答を録音する形式。対人ではなく機械的に評価されるのが特徴です。 -
スコア方式
各技能30点満点、合計120点で評価。
例:多くの大学では 80〜100点以上 を入学要件とするケースが多い。 -
内容の傾向
学術的なトピック(大学の講義や論文など)が中心で、アカデミック英語に強い人が有利。
主な用途
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アメリカやカナダの大学・大学院への出願
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英語圏の一部教育機関での英語力証明
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一部の奨学金やプログラム申請
TOEFLは特に 北米進学希望者 に適しており、「アメリカの大学に行きたい人はTOEFL必須」と言われるほど重要な位置を占めています。
TOEICの概要
TOEIC(Test of English for International Communication) は、アメリカのETSが開発したテストですが、特に 日本と韓国で圧倒的に普及 している英語試験です。大学入試や企業採用・昇進の基準として用いられることが多く、ビジネスシーンでの英語力を測定することを目的としています。
特徴
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試験形式
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TOEIC Listening & Reading (LR):マークシート方式、合計990点満点
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TOEIC Speaking & Writing (SW):コンピュータ受験、各200点満点
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スコア方式
LR:10〜990点
SW:各0〜200点
※総合的な英語力を測るにはLRとSWの両方を受ける必要があります。 -
内容の傾向
ビジネスシーンや日常的な職場環境を想定した会話・文書が中心。アカデミックな内容はほとんど出題されません。
主な用途
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日本・韓国の就職活動での英語力アピール
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企業の昇進や社内評価基準
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一部大学での単位認定や入試利用
TOEICは「国際的な試験」という位置づけではあるものの、実際には日本・韓国で特に重視される傾向が強く、国内就職や企業内評価で有利になる試験 と言えます。
IELTS vs TOEFL vs TOEIC:比較表
3つの試験はすべて「英語力測定試験」ですが、その目的や形式は大きく異なります。以下の表で違いを整理してみましょう。
| 項目 | IELTS | TOEFL | TOEIC |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 留学・移住・就職 | 留学(特に北米) | ビジネス英語力証明 |
| 運営団体 | British Council / IDP / Cambridge | ETS (米国) | ETS (米国) |
| 試験形式 | 紙 or コンピュータ受験 / 面接スピーキング | すべてPC受験 / 録音スピーキング | LR:マークシート、SW:PC |
| スピーキング | 面接官との対話形式 | マイクに録音 | SWテストで録音 |
| スコア方式 | 0.0〜9.0(0.5刻み) | 0〜120点 | LR:10〜990点 / SW:各200点 |
| 試験時間 | 約2時間45分 | 約2時間〜3時間 | LR:約2時間、SW:約1時間 |
| 有効期限 | 2年間 | 2年間 | 2年間 |
| 内容の傾向 | 学術的+日常的 | 学術的中心 | ビジネス・日常実務 |
| 世界的評価 | イギリス・オーストラリア・カナダで必須 | アメリカ・カナダで必須 | 日本・韓国で特に評価 |
| 受験費用(目安) | 約27,500円 | 約27,000円 | LR: 約7,810円 / SW: 約10,000円 |
このように、IELTSとTOEFLは「留学や移住向けの国際試験」、TOEICは「ビジネス英語証明」としての性格が強いのが大きな違いです。
スコア換算の目安(IELTS・TOEFL・TOEIC)
各試験は評価方法が異なるため、直接的な換算はできませんが、留学機関や教育団体が公開している参考換算表を基にした目安を示します。
| IELTS | TOEFL iBT | TOEIC L&R | 英語レベルの目安 |
|---|---|---|---|
| 9.0 | 118–120 | 990 | ネイティブレベル |
| 8.5 | 115–117 | 970–990 | 上級(高度な専門分野で対応可能) |
| 8.0 | 110–114 | 945–970 | 上級(大学院・研究レベル) |
| 7.5 | 102–109 | 920–945 | 上中級(高度な議論や交渉可能) |
| 7.0 | 94–101 | 900–920 | 大学進学基準(英語圏大多数の大学合格ライン) |
| 6.5 | 79–93 | 850–900 | 多くの大学・大学院入学条件を満たす |
| 6.0 | 60–78 | 785–850 | 海外研修・一部大学での入学基準 |
| 5.5 | 46–59 | 600–780 | 準中級(職場や留学準備レベル) |
| 5.0 | 35–45 | 500–600 | 基礎的な英語力(留学には不足) |
| 4.5以下 | 0–34 | 〜500未満 | 入門レベル、日常会話に課題あり |
ポイント
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IELTS 6.5〜7.0:世界中の大学でよく求められるスコア
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TOEFL 80〜100点前後:北米の大学入学基準に多い
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TOEIC 850点以上:日本・韓国で「高得点」とされる基準
それぞれの試験が向いている人
IELTSが向いている人
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英語圏の大学・大学院進学を目指す人
イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどではIELTSスコア提出が必須。 -
移住や永住権を申請する人
移民局(オーストラリア、カナダなど)で公式に採用されている。 -
実際に使える英語力を証明したい人
スピーキングは面接官との対話形式なので、実践的な会話力が評価される。
TOEFLが向いている人
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アメリカ・カナダの大学進学を考えている人
特にアメリカではTOEFLが最も一般的な出願基準。 -
PC受験に慣れている人
全セクションがオンライン形式のため、タイピングやPC操作が得意な人に向いている。 -
学術的な英語力を磨きたい人
リーディングやリスニングの内容が大学講義や論文ベースなので、アカデミックに強い人が有利。
TOEICが向いている人
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日本や韓国で就職・転職活動をする人
履歴書に書ける資格として最も認知度が高い。 -
企業での昇進や評価を狙う人
多くの会社が昇進基準にTOEICスコアを設定している。 -
ビジネスシーンに即した英語力を証明したい人
商談・会議・メールなど、職場で必要な英語表現が中心。
まとめ
IELTS・TOEFL・TOEICはいずれも国際的に認められた英語力試験ですが、それぞれの 強みと用途は明確に異なります。
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IELTS:留学(特にイギリス・カナダ・オーストラリア)、移住申請、総合的な英語力評価に最適
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TOEFL:アメリカ・カナダの大学進学を目指す人に必須、PC試験中心でアカデミック英語に強い
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TOEIC:日本・韓国での就職や昇進で強み、ビジネス英語力の証明に最適
また、スコア換算の目安からもわかるように、IELTS 6.5〜7.0 / TOEFL 80〜100 / TOEIC 850以上 が「グローバルに通用する英語力」の基準ラインとされています。
結論として、試験を選ぶ際には「どこで学びたいか」「どこで働きたいか」「将来どの国に住みたいか」といった 最終目標から逆算 することが重要です。
正しい試験選択が、留学・移住・キャリアアップを成功させる第一歩となるでしょう。
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