IELTSライティング対策:スコア別学習戦略(6.0・7.0・8.0)

はじめに

IELTSライティングで高スコアを取るには、ただ英語が得意なだけでは不十分です。
重要なのは、スコアごとの採点基準を理解し、それに合わせた学習戦略を立てることです。

多くの受験者は「とにかく書く量を増やす」ことに集中しがちですが、実際には6.0・7.0・8.0のそれぞれで求められるスキルが大きく異なります。
たとえば6.0では「一貫した構成と基本文法の正確さ」、7.0では「自然な語彙と論理的な展開」、8.0では「洗練された表現力と流れるような文章構成」が重視されます。

この記事では、IELTSライティングのスコアを
6.0 → 7.0 → 8.0
へとステップアップさせるための具体的な戦略と学習法を、レベル別に解説します。

「自分の今のレベルで、どんな練習をすべきか?」が明確になる内容ですので、これからIELTSライティングに取り組む方も、スコアアップを目指す方もぜひ参考にしてください。


IELTSライティングの評価基準を理解しよう

IELTS Writingは、単純な「英語の正確さ」だけで採点されるわけではありません。
試験官は明確な評価基準に基づいて、あなたのライティングを4つの観点から判断します。
この基準を理解していないと、いくら練習してもスコアが伸びにくくなります。


1. Task Achievement(Task 1) / Task Response(Task 2)

=課題にどれだけ的確に答えているか

  • 出題の要求に対して、的確に答えられているか

  • 具体的なデータ・理由・例を挙げて説明できているか

  • 質問に対して“ズレた”回答をしていないか

例:
「Do you agree or disagree?」と聞かれた場合は、賛成・反対を明確に述べ、自分の立場を一貫して説明する必要があります。


2. Coherence and Cohesion(論理性と一貫性)

=段落構成や論理の流れが自然か

  • 各段落に明確なトピックセンテンスがあるか

  • 段落間のつながりがスムーズか

  • 接続語(However, Therefore, In additionなど)が自然に使われているか

良いエッセイは「読みやすさ」で差がつきます。
試験官が読みながらストレスを感じない“流れの良い文章”が高評価につながります。


3. Lexical Resource(語彙の幅と使い方)

=どれだけ多様で正確な語彙を使えるか

  • 同じ単語の繰り返しを避け、パラフレーズできているか

  • 適切なコロケーション(語の組み合わせ)が使えているか

  • 文脈に合った語を選べているか

例:
“important”ばかり使うのではなく、“crucial”, “significant”, “vital”などを使い分けるとスコアが上がります。


4. Grammatical Range and Accuracy(文法の多様性と正確さ)

=文法の正確さと構文のバリエーション

  • 複雑な文構造(副詞節・関係代名詞・分詞構文など)を正確に使えているか

  • 文法ミスが少ないか(特に冠詞・単複・時制)

  • 長文でも構文が崩れていないか

6.0では単純文中心でもOKですが、7.0以上を狙うなら複文・複雑構文が必須です。


これら4つの観点すべてが均等に25%ずつ評価されます。
つまり、「文法だけ得意」や「語彙だけ豊富」では高スコアは取れません。
4項目を意識してバランスよく伸ばすことが、IELTSライティング攻略の第一歩です。


【スコア6.0を目指す学習戦略】

1. 目標イメージ

IELTSライティング6.0は、「基本的な英語力はあるが、正確さと構成力に課題がある」レベルです。
アイデアは出せるものの、文法ミスや語彙の単調さ、一貫性の不足が原因でスコアが伸び悩むケースが多く見られます。

✅ 典型的な特徴

  • 意見や説明は理解できるが、文法エラーが頻繁にある

  • 段落の構成が不明確、または展開が飛びがち

  • 同じ単語や表現を繰り返し使ってしまう


2. 学習のポイント

(1)まずは「構成の安定」を最優先に

スコア6.0を目指す段階では、難しい文法よりも**「構成力」**を意識しましょう。
Task 2(エッセイ)では、以下の4段落構成を徹底します。

  1. Introduction(導入)

  2. Body 1(主張・理由1)

  3. Body 2(主張・理由2)

  4. Conclusion(結論)

コツ:各段落の最初に必ず**トピックセンテンス(主旨文)**を置きましょう。
これだけで一気に「読みやすさ」と「論理性」が上がります。


(2)接続語を積極的に使う

文章の流れを自然にするには、**linking words(つなぎ表現)**を使うことが重要です。

  • 追加:In addition / Moreover / Furthermore

  • 対比:However / On the other hand

  • 結果:Therefore / As a result

  • 例示:For example / For instance

“And”, “But”, “So”ばかり使うと幼稚な印象になります。
代わりに上級の接続語を覚えて使い分けましょう。


(3)Task 1では「データの比較」と「傾向」を明確に

グラフや表の説明では、数字の羅列ではなく、全体傾向をまとめる力が求められます。

例:

Overall, the number of tourists increased significantly between 2010 and 2020, while the local population remained stable.

単に「上がった・下がった」を述べるのではなく、比較+まとめを入れると得点につながります。


3. おすすめ練習法

  • 模範解答の模写練習(shadow writing)
     → 文章構成・文法パターンを体で覚える。

  • 1段落=3文ルール
     → トピックセンテンス → 具体例 → まとめ、の形を意識。

  • 文法ミスの分析ノートを作る
     → 自分の弱点(冠詞・単複・時制など)を可視化して改善。

  • Grammarlyなどで自己添削
     → 毎回のミスを“修正しながら学ぶ”姿勢をつける。


スコア6.0は、IELTSライティングの「基礎固め」段階です。
ここで重要なのは、「正確に」「一貫して」「読みやすく」書ける力を育てること。
これが後の7.0・8.0への土台になります。

IELTSライティング Band 6 の取り方(多くの留学・移住に必要なスコア)


【スコア7.0を目指す学習戦略】

1. 目標イメージ

IELTSライティング7.0は、多くの留学・移住・大学院入学で求められる主要ラインです。
このレベルでは、英語力の基礎がしっかりしており、構成・文法・語彙のすべてが安定していることが求められます。

✅ 典型的な特徴

  • 構成は明確で読みやすい

  • 一部に文法ミスや不自然な表現がある

  • 複雑な文構造をある程度使いこなせる

  • 語彙の選択が自然で、繰り返しが少ない


2. 学習のポイント

(1)「論理性」と「自然な流れ」を意識する

6.0レベルの文章が「正しい英語」なのに対し、7.0レベルは**「読み手が納得する英語」**です。
アイデアをつなげるときは、「因果」「比較」「意見と理由」など、明確な論理パターンを意識しましょう。

例:
Many people argue that public transport should be free.
This is mainly because it can reduce traffic congestion and pollution.

→ 理由の提示が明確で、読み手に納得感を与えます。


(2)語彙のパラフレーズ力を磨く

同じ単語を繰り返すと、スコア7.0の壁を越えにくくなります。
以下のように**自然な言い換え(paraphrasing)**を意識しましょう。

基本語 言い換え例
important crucial / vital / significant
people individuals / citizens / the public
problem issue / concern / challenge
solution measure / approach / strategy

コツ:類義語だけでなく、「名詞→動詞」「形容詞→名詞」など語形変化も練習すると効果的です。


(3)Task 2では「反対意見」も軽く触れる

スコア7.0では、多角的な視点が評価されます。
賛成・反対を問う問題では、自分の意見を軸にしつつ、反対意見にも一文で触れると論理の深みが増します。

例:
While some people believe that online education is less effective, I argue that it offers greater flexibility and accessibility for learners.


(4)文法の精度と多様性を高める

  • 関係詞・分詞構文・条件文を正確に使えるようにする

  • 単調なSVO文を避け、文のリズムとバリエーションを意識

  • “There is/are”の乱用を避ける

ミスの少なさよりも「自然な構文選択」が評価されます。
たとえば短文をつなげてリズムを作るのも◎。


3. おすすめ練習法

  • IELTSバンド7.0サンプルを徹底分析
     → 各段落の構成・語彙・接続語の使い方を記録する。

  • 1日1テーマライティング+自己採点
     → IELTS公式採点基準に沿って、自分で4項目評価してみる。

  • 高得点エッセイの“模写+再構成”練習
     → 構成と表現を自分の言葉で再現できるようにする。

  • パラフレーズ単語帳の作成
     → 書き換え表現をテーマ別にストックしておく。


7.0を取るためには、「正確さ」だけでなく自然な論理展開と語彙の多様性が鍵です。
「書ける英語」から「読ませる英語」への進化を意識しましょう。

IELTSライティング Band 7 の取り方(高度な英語運用能力が求められる)


【スコア8.0を目指す学習戦略】

1. 目標イメージ

IELTSライティング8.0は、高度な英語運用能力と論理的思考力を兼ね備えたレベルです。
内容が的確で説得力があり、語彙・文法ともに洗練されています。
このスコア帯はネイティブスピーカーでも容易に到達できないため、戦略的なトレーニングと徹底した添削分析が不可欠です。

✅ 典型的な特徴

  • 構成が明確で、全体の流れが非常に自然

  • 語彙や表現が多様で、繰り返しが少ない

  • 文法ミスはほとんどなく、複雑な構文を自在に使いこなす

  • 主張に説得力があり、論理展開に深みがある


2. 学習のポイント

(1)自然で洗練された表現を使う

8.0を目指すなら、語彙のレベルを「アカデミック+自然」に引き上げることが重要です。
単に難しい単語を入れるのではなく、「文脈に合った選択」ができるかがポイント。

基本表現 上級表現の例
very big substantial / considerable / tremendous
a lot of numerous / a great deal of
good beneficial / advantageous / valuable
bad detrimental / unfavorable / undesirable

“自然で洗練された”とは、「無理なく上級語を使えている」状態を指します。
文全体のトーンを崩さずに語彙を選ぶセンスが問われます。


(2)論理的・批判的思考を深める

8.0エッセイは単なる「意見」ではなく、分析的・バランスの取れた論理展開を示します。

例:
Instead of focusing solely on economic growth, governments should prioritize sustainability, as this approach ensures long-term prosperity for both people and the planet.

→ 一方向的な主張ではなく、根拠+影響+長期的視点を組み合わせるのがポイント。


(3)文構造の多様化を意識する

  • 関係副詞・倒置構文・分詞構文などを自然に使う

  • 文章のリズムを意識し、長文と短文を交互に配置する

  • “which”や“that”を使った修飾で情報を圧縮

例:
The government should invest in renewable energy, which not only reduces carbon emissions but also creates employment opportunities.

このように、複雑構文を滑らかに使うことで、自然かつ高度な印象を与えられます。


(4)一貫したトーンとアカデミックスタイルを維持

8.0では、フォーマルで一貫したスタイルが必須です。
カジュアルな表現(I think, a lot of, stuffなど)は避け、客観的・分析的な文体を維持しましょう。

“I believe”などの主観表現は使ってもOKですが、
「主張→根拠→再主張」の形で論理的に補強することが大切です。


3. おすすめ練習法

  • 8.0サンプルエッセイの構文・語彙分析ノートを作成
     → 各段落で使われている論理展開・接続表現を抜き出す。

  • ネイティブ講師・添削サービスを活用
     → 微妙な不自然さを指摘してもらい、自然なトーンに整える。

  • 自分の旧エッセイを8.0基準でリライト
     → 同じテーマで「Before/After」を比較して改善点を可視化。

  • 上級者用ライティングテンプレートの活用
     → 結論表現・譲歩表現・反論パターンをストックしておく。


スコア8.0の鍵は、精度+深さ+自然さの三拍子です。
「高度な英語表現」を“あくまで自然に”使いこなせるようになれば、ライティング全体の完成度が一気に上がります。

IELTSライティング Band 8 の取り方(上級者向けハイレベル対策)


スコアアップ共通Tips

どのスコア帯を目指す場合でも、IELTSライティングには共通して押さえるべき基本原則があります。
これを意識するだけで、学習効率もスコア上昇率も大きく変わります。


1. Task 1とTask 2の比重を理解する

IELTSライティングでは、Task 1が全体の約3割・Task 2が約7割の配点です。
そのため、Task 2(エッセイ)の練習を重点的に行うことがスコアアップの近道です。

目安:

  • Task 1 → 20分以内(150語)

  • Task 2 → 40分(250語以上)

時間配分を意識して、常に本番形式で練習しましょう。


2. 毎回タイマーを使って「本番感覚」で書く

試験では制限時間の中でアイデアを出し、構成し、書く必要があります。
練習段階からタイマーを使って時間感覚を体に染み込ませるのが重要です。

例:

  • Task 1 → 構想3分/執筆15分/見直し2分

  • Task 2 → 構想5分/執筆30分/見直し5分


3. 書いたエッセイは必ず見直す

ライティングの上達は「書くこと」よりも「見直すこと」で起こります。
完成後に次の点をチェックしてみましょう。

  • 主張が一貫しているか?

  • 接続語の使い方が自然か?

  • 同じ単語を繰り返していないか?

  • 結論が明確で、質問に答えているか?

添削サービスを使えない場合でも、自分で「バンドスコア表」を見ながら自己評価する習慣をつけましょう。


4. 高得点エッセイを模写・分析する

IELTSライティング上達の最短ルートは、**「良い文章を真似ること」**です。
サンプルエッセイを「読む→分析→書き写す→再構成する」の4ステップで学ぶと、自然に高スコアの型が身につきます。

ポイント:
単に模写するだけでなく、「この段落はなぜこの構成なのか?」を考えると効果倍増。


5. 語彙・文法・構成を「同時に鍛える」練習を

多くの受験者がやりがちなのは、「文法の日」「語彙の日」などと分けて勉強すること。
しかしIELTSでは、4要素を同時に使いこなす統合力が求められます。

例:
書いたエッセイを「文法→語彙→構成」の3観点で毎回チェックする。
一文ごとに「より自然な言い換え」を考えてリライトする練習が効果的です。


6. 英語を“書く前に考える”習慣をつける

アイデアを英語で組み立てる前に、まず日本語で論理構成を整理しましょう。
頭の中で「主張→理由→例→結論」を組み立ててから書き始めると、文章が論理的になります。


これらの共通Tipsを実践すれば、どのレベルの受験者でも確実にライティング力が向上します。
「闇雲に書く」のではなく、目的を持って練習することが何より大切です。


まとめ

IELTSライティングでスコアを上げるためには、自分の現在地を正確に理解し、スコア帯ごとの戦略で学ぶことが最も重要です。

  • 6.0を目指す人は「構成と正確さ」を重視して、シンプルで明確な文章を書く。

  • 7.0を目指す人は「論理性と語彙の多様性」を伸ばし、自然で読みやすいエッセイを目指す。

  • 8.0を目指す人は「表現の洗練さと説得力」を追求し、自然で高度なアカデミック英語を書く。

どのレベルでも共通して言えるのは、質の高い練習を継続することです。
毎回のライティングを“本番を意識した練習”として取り組めば、確実に文章力は上がります。

最後にもう一度強調したいのは、IELTSライティングは「才能」ではなく「戦略」で結果が変わる試験だということです。
評価基準を理解し、段階的にスキルを磨くことで、あなたも確実に目標スコアへ到達できます。

✏️ 次のステップ
自分の目標スコアを決め、今日から1日1エッセイを練習してみましょう。
継続こそ、スコアアップの最大の武器です。


よくある質問(FAQ)

IELTSライティングで最も重視される評価基準は何ですか?

4つの評価基準(Task Response / Coherence and Cohesion / Lexical Resource / Grammatical Range and Accuracy)はすべて同じ比重で採点されます。ただし、実際のスコアアップでは「Task Response(課題への正確な回答)」と「Coherence(論理性)」の改善が特に大きく影響します。

6.0から7.0に上げるための最も効果的な勉強法は?

構成と語彙力を重点的に強化することです。まずは1段落3文構成(主張→例→まとめ)を徹底し、次に同義語・言い換え表現(paraphrasing)を習得しましょう。これだけで論理性と語彙の多様性が向上し、7.0に近づきます。

8.0を目指すにはどのくらいの練習が必要ですか?

一般的には、英語上級者でも3〜6か月程度の集中練習が必要です。ネイティブ講師の添削を定期的に受け、自分の書いたエッセイを分析・リライトするサイクルを続けると効果的です。

Task 1とTask 2、どちらを優先して練習すべきですか?

配点の高いTask 2(エッセイ)を優先しましょう。Task 1は形式的な構成を覚えれば安定しやすい一方、Task 2は論理性・表現力・語彙の幅など、総合力が問われます。

ライティングの勉強におすすめのツールはありますか?

Grammarlyなどの自動添削ツールで文法チェックを行い、さらにIELTS公式サンプルや高得点エッセイを模写・分析する方法が効果的です。添削サービスを利用できる場合は、講師フィードバックとの併用が理想です。

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