2012/10/21
目次
ここ数年、日本からのスタートアップやスモールビジネスが注目する東南アジア。その中でもフィリピンは、英語が通じる・人件費が安い・親日的である、など多くの利点を持ち、起業先・オフショア拠点として選ばれる国のひとつです。
しかし、**フィリピンで起業・法人設立・個人事業を展開する際に必ず理解しておくべきなのが「税金制度」**です。
日本とは異なる税体系、予測しづらい追加費用、書類主義の文化…。「安く始められる」といった印象だけで現地ビジネスをスタートすると、思わぬ落とし穴にはまりかねません。
本記事では、2025年最新のフィリピン税制の情報をもとに、現地で起業・個人事業を始めたい方向けに、知っておくべき税金の全体像と実務レベルの注意点をわかりやすく解説していきます。
フィリピンで事業を立ち上げる場合、大きく分けて「個人事業主」「現地法人」「支店・駐在員事務所」など、いくつかの形態があります。それぞれに税制や手続き、外資規制の制限が異なるため、自身のビジネスモデルや将来の展開を見据えて適切な形態を選ぶことが重要です。
個人で小規模にビジネスを始めたい場合に検討されるのがこの形態です。フィリピン人やフィリピン永住権(Permanent Resident)を持つ外国人であれば、DTI(Department of Trade and Industry)に登録することで開業できます。
ただし、日本人が単独でこの形態を選ぶには制限があり、多くの場合、フィリピン人名義での運営や共同経営が必要になります。
メリット:
設立費用が安い(数千ペソ程度)
書類手続きが比較的簡単
デメリット:
外資規制の影響を強く受ける
法人格がないため経営者がすべての責任を負う
信頼性がやや劣る(大手取引先との契約に不利)
日本でいう株式会社にあたる形態です。SEC(証券取引委員会)に法人設立を申請し、BIRや市役所への登録を経て運営します。
外国人が100%出資することも可能ですが、**業種によっては出資比率に制限がある(Retail業など)**ため、事前に確認が必要です。
構成要件:
最低5名の発起人(株主)・取締役が必要(うち3名はフィリピン居住者)
最低資本金:業種により異なる(例:外資100%の場合はUSD 200,000以上が原則)
メリット:
法人格があるため信頼性が高い
銀行口座開設、ビザ発給などがスムーズ
長期的な事業展開に向いている
デメリット:
設立に時間とコストがかかる(2〜3ヶ月、数十万円〜)
会計監査・納税義務など管理が煩雑
特定の業種(例:輸出企業、BPO業など)では、外国人が100%出資する法人設立が認められています。条件付きで税優遇も受けられるケースがあります。
主な条件:
Export企業:生産品・サービスの60%以上を海外向けに販売
BPO:外国企業向けのサービス提供
注意点:
Retail業など内需向け業種は出資制限あり(最大40%まで)
外資比率によっては最低資本金20万ドルが必要になる
既存の日本法人の支店や出先としてフィリピンに拠点を設ける方法です。法人格は日本本社にあり、フィリピンでの活動範囲や課税義務が異なります。
Branch(支店):
営利活動が可能
フィリピン法人と同様に法人税課税対象
最低資本金:通常200,000ドル以上
Representative Office(駐在員事務所):
営利活動不可(市場調査、連絡業務に限定)
現地収益が発生しないため非課税
母体企業からの資金送金義務あり(年3万ドル以上)
フィリピンには外資参入を制限する**Foreign Investment Negative List(FINL)**という規定があります。以下のような業種は外国人による出資比率が制限または禁止されています:
小売業(Retail Trade):100%外資は禁止、特例あり
マッサージ業、セキュリティ業など:100%禁止
不動産仲介:40%まで
このリストは定期的に改訂されており、2025年現在の最新版を確認してから起業を検討するのが必須です。
フィリピンで正式にビジネスを開始するためには、複数の政府機関での登録と、各種ライセンスの取得が必要です。日本と比べると煩雑で時間もかかるため、段取りを明確にし、信頼できる代行業者やローカル弁護士と連携することが成功の鍵となります。
ここでは、2025年時点での法人設立の一般的な流れを紹介します。
まずはSecurities and Exchange Commission(SEC)での企業名予約からスタートします。
手続き:SECのオンラインシステム(CRS)で企業名を予約
所要時間:1〜3営業日
注意点:既存企業と重複する名称は使用不可
次に、会社の目的・構成・資本金などを記載した「定款(Articles of Incorporation)」と、「運営ルール(By-laws)」を作成します。
通常は弁護士や代行業者がドラフトを作成
発起人(Incorporators)5名以上、取締役の情報が必要
上記書類をもとにSECへ正式な法人登録を申請します。
必要書類:
商号予約証明書
定款・定款細則
出資証明書(出資金払込証明)
資本金要件(業種によりUSD 200,000以上の場合あり)
登録料の目安:資本金の1%程度+書類費用
所要時間:2〜3週間(繁忙期は1ヶ月以上)
法人設立後、国税庁(BIR)への登録を行い、納税者識別番号(TIN)を取得します。
登録内容:
VAT登録(売上が一定以上の場合)
領収書(Official Receipt)の印刷認可
帳簿の登録と監査体制の整備
注意点:BIR登録を行わないと営業開始できません。
ビジネスを行う地域の地方自治体(LGU)で事業許可を取得します。
必要書類:
事業所の賃貸契約書
消防署認可(Fire Safety Inspection)
衛生局の検査(Sanitary Permit)
注意点:
立地により必要な追加許可が変わる
年1回更新が必要
従業員を雇う場合、以下の3つの政府機関への登録が義務付けられています:
SSS(社会保障制度)
PhilHealth(公的健康保険)
Pag-IBIG Fund(住宅ローン・貯蓄基金)
これは法人だけでなく、個人事業主も該当します。
業種によっては、さらに特別なライセンスや監督機関の認可が必要です:
業種 | 必要な機関・ライセンス例 |
---|---|
輸出入業 | BOC(関税局)登録、PEZA登録 |
飲食店 | 衛生証明書、FDA登録 |
BPO・IT | BOI登録で税制優遇対象に |
所要期間の目安:法人登記〜営業開始まで約1〜2ヶ月
全体費用の目安:10万〜30万円前後(代行利用時)
特に最初の年は「Official Receipt印刷」「帳簿の用意」「地方税の評価」など、イレギュラーな手続きも多いため、信頼できる現地会計士のサポートがあるとスムーズです。
フィリピンで事業を行う際には、日本とは異なる税体系に対応する必要があります。ここでは、法人・個人事業主が関係する主な税金とその概要を紹介します。
税率:通常25%
中小企業で年間売上が800万ペソ以下かつ資本金5,000万ペソ以下の場合は 20%
課税対象:全世界所得(グローバル課税)
累進課税:年所得に応じて 5%〜35%
簡易税制(8% Flat Tax):
年間売上300万ペソ以下の小規模事業者向け
VATの代替として8%の単一税率を選択可能(総収入に対して)
税率:12%(標準)
年間売上が 300万ペソ以上の事業者はVAT登録が義務
毎月または四半期ごとにVAT申告と納付が必要
一部業種(教育・医療・輸出など)は ゼロ税率(0%)または免税対象
法人・雇用主が第三者に支払う際に天引き・納付する税
主な対象:
従業員給与(5〜35%)
サービス業者への支払い(2%など)
家賃、プロフェッショナルフィーなど
月次での申告・納付が必要
支払い先が非居住者の場合、より高い税率(15〜30%)が適用されることも
市役所(LGU)への納税義務
税率:売上の1〜3%程度(業種・地域により異なる)
Mayor’s Permit(事業許可)更新時に毎年納付
契約書、株式発行、ローン契約などの文書に課税
金融取引・法人登記・賃貸契約書なども対象となる
金額に応じて定額または割合課税される
税目・費用 | 内容 |
---|---|
年間法人維持税(Annual Registration Fee) | 毎年BIRへ500ペソ納付 |
資本金課税(もし発生する場合) | 登録資本金に対するスタンプ税など |
閉鎖時の清算税務 | 事業廃止時に残余財産に課税されることあり |
フィリピンには外国企業向けの優遇税制が用意されています。たとえば:
PEZA登録(輸出企業など):所得税・VATが免除または軽減
BOI登録(優遇産業):4〜6年間の免税期間あり
Small Business Corporation 支援制度:中小企業向けの資金支援・税制優遇
フィリピンでは、税務局(BIR)への正規登録と帳簿管理の厳格化が求められます。違反するとペナルティや追徴課税の対象になるため、以下は必須です:
正規のOfficial Receipt(OR)使用
帳簿の登録・維持
電子申告(eFPS/eBIRForms)の活用
申告頻度の多さ(毎月・四半期)と、各書類の手続きの煩雑さから、多くの起業家は現地の税務代行業者や会計士と顧問契約を結んでいます。コストは月3,000〜10,000ペソ程度が一般的ですが、節税やリスク回避の面では非常に有効です。
フィリピンでは、法人登記をせずに**個人名義で事業登録(Sole Proprietorship)**することが可能です。フリーランス、小規模事業者、副業プレイヤーなどが該当し、法人よりも設立が簡単でコストも抑えられます。ただし、税金の種類・申告義務は法人並みに発生します。
ここでは、フィリピンで個人事業主が負担する主な税金の仕組みを解説します。
個人の所得は累進課税で、5%〜35%の範囲で課税されます。
控除後の純利益(=収入 − 経費)に対して課税。
年間所得(ペソ) | 税率 |
---|---|
~250,000 | 非課税 |
250,001~400,000 | 20%(超過分) |
400,001~800,000 | 25% など、段階的に増加 |
2,000,001以上 | 35%(最高税率) |
年間総収入が300万ペソ未満の小規模事業主に適用可能。
経費控除の代わりに、総収入の8%を一律課税。
VATの登録が不要になるため、記帳が簡単・税務コストが低い。
※登録時・確定申告時に「8%オプション適用」を選択する必要があります。
年間売上が300万ペソ以上になると、VAT登録が義務化。
登録事業者は売上に12%のVATを加算し、四半期ごとに申告・納税。
非登録の小規模事業主は、**3%のPercentage Tax(粗利課税)**が適用。
年間売上 | 税制区分 | 税率 |
---|---|---|
300万ペソ以上 | VAT課税事業者 | 12%(消費税的) |
300万ペソ未満 | Percentage Tax | 3%(粗売上) |
300万ペソ未満かつ8%選択 | Flat Tax | 8%(全収入) |
サービス提供先から自動で源泉徴収(例:2%)されることが多い。
徴収された税金は、自身の所得税の前払分(クレジット)として計上可能。
源泉された額は「Form 2307(証明書)」として提供されます。
市役所(LGU)に登録する際、Mayor’s Permitの取得・更新が必要。
毎年、事業内容と売上に応じて**1~3%の地方事業税(LBT)**を納付。
税・費用名 | 概要 |
---|---|
BIR登録費(Annual Registration) | 毎年500ペソをBIRへ支払う |
Official Receiptの印刷 | 認可業者で領収書を印刷・登録 |
帳簿(Books of Account)の維持 | BIRに承認された形式で記帳・保管 |
会計士報酬 | 記帳代行・申告サポート(任意) |
収入・経費の証憑管理が非常に重要:税務調査時に備え、請求書・領収書を整理。
定期的な納税スケジュールの管理:月次/四半期/年次で異なる申告義務あり。
eBIRFormsやeFPSを活用したオンライン申告が必須化の流れ。
報酬支払先が法人であっても、源泉徴収義務者になるケースあり。
個人事業主は設立も維持費も簡単ですが、税金の種類と管理は法人並みに複雑です。節税やトラブル回避のためにも、8%課税の適用可否の判断や、現地会計士との連携が成功の鍵になります。
フィリピンで法人(Domestic Corporation)を設立した場合、日本と同様に法人税、VAT(付加価値税)、源泉徴収税、地方税などの税金がかかります。ここでは、現地法人として事業を運営する際に知っておきたい主要な税金とその負担について解説します。
通常の現地法人は、**純利益に対して25%**の法人税が課されます(年間売上1億ペソ超)。
中小企業(MSME)で総収入が1億ペソ未満かつ総資産1億ペソ未満の場合、**税率は20%**に軽減されます。
法人区分 | 年間総収入 | 税率 |
---|---|---|
大企業(Large Corporation) | 1億ペソ超 | 25% |
中小法人(MSME) | 1億ペソ未満 | 20% |
※2021年施行の CREATE 法(Corporate Recovery and Tax Incentives for Enterprises)により税率が引き下げられました。
赤字や利益が非常に少ない法人に対し、年間売上の2%を最低課税(4期目以降適用)。
会計上の利益が小さくても、一定の売上がある限り、最低税負担が発生します。
フィリピンのVAT税率は12%。原則として法人はVAT登録が必要です。
VATは売上時に加算し、仕入れ等で支払ったVATと相殺して納税します(クレジット方式)。
毎月の月次申告(Form 2550M)と、四半期申告(Form 2550Q)が義務。
法人は従業員給与や外部サービス利用時に源泉徴収義務者となります。
代表的な源泉税率:
給与:5〜32%(累進課税)
外注・コンサル報酬:2%
賃料:5%
プロフェッショナルサービス:10%
毎月または四半期ごとの申告・納付が必要で、源泉証明(2307フォーム)の発行も求められます。
各市町村(LGU)ごとに徴収される税金。
業種・売上高に応じて**0.5〜3%**の範囲で課税。
「Mayor’s Permit(営業許可)」取得・更新時に支払い。
項目 | 内容 |
---|---|
Annual Registration Fee | 年間500ペソ(BIRへ毎年支払う義務) |
Books of Accounts | 帳簿登録が義務。電子帳簿(eJournal)制度も導入中 |
Official Receipts(OR) | 領収書・請求書の印刷とBIR登録が必要 |
Audited Financial Statement(AFS) | 一定規模以上は年次の外部監査が必要 |
輸出企業や特定地域の投資法人は、特別税率(例:5%GIT)や免税措置を受けられることがあります。
例)PEZA(経済特区)、BOI登録企業など。
フィリピンの法人税制は、表面的にはシンプルでも実務上は申告頻度・帳簿管理・源泉対応が煩雑です。とくにVATや源泉税は、毎月の記帳・提出・支払いを怠ると重いペナルティが発生します。
法人を設立したら、信頼できる現地会計士と連携しながら、計画的な納税・節税対策を進めることが成功のカギです。
フィリピンでは、法人・個人事業主ともに月次・四半期・年次ベースで複数の税務申告と納税義務があります。日本に比べて申告頻度が多く、事務処理が煩雑なため、正しいスケジュール管理と会計士との連携が不可欠です。
税目 | フォーム番号 | 締切日(毎月) | 備考 |
---|---|---|---|
源泉徴収税 | 0619E / F | 翌月10日 | 給与・賃料・報酬などの源泉 |
VAT(付加価値税) | 2550M | 翌月20日 | クレジット方式で月次申告 |
遊休資産税など | 各種 | 翌月10日〜20日 | 適用企業のみ |
税目 | フォーム番号 | 締切日 | 備考 |
---|---|---|---|
所得税(個人・法人) | 1701Q / 1702Q | 各四半期終了後60日以内 | 前払税(Quarterly Income Tax) |
VAT四半期調整申告 | 2550Q | 各四半期終了後25日以内 | 年間VATと整合する必要あり |
Percentage Tax(非VAT) | 2551Q | 各四半期終了後25日以内 | 小規模非VAT登録業者向け |
税目 | フォーム番号 | 締切日 | 備考 |
---|---|---|---|
年間所得税申告(法人) | 1702-RT / MX | 翌年度4月15日 | AFS(監査済み財務諸表)の提出要 |
年間所得税申告(個人) | 1701 | 翌年度4月15日 | 所得に応じた累進課税 |
年間源泉税調整申告 | 1604E / CF | 翌年1月末・3月1日 | 年間の源泉徴収一覧と証明書発行義務 |
年間登録料(Annual Registration Fee) | 0605 | 毎年1月末まで | 500ペソをBIRに納付 |
Books of Accounts(帳簿類):BIR登録済みの公式帳簿を使用
OR(Official Receipts)やSales Invoiceの発行管理
BIRにて使用許可を得たレシート印刷業者で発行
eBIRForms、eFPSなどのオンライン申告システムが主流
事例 | ペナルティ内容(例) |
---|---|
申告期限の超過 | 罰金(1,000ペソ〜)+延滞利息 |
帳簿の不備・提出漏れ | 最大25,000ペソの罰金 |
無登録の領収書・請求書使用 | 1万ペソ以上の罰金+営業停止処分 |
VAT未登録・過小申告 | 最大税額の50%の加算税 |
フィリピンでは**「申告=納税完了」ではなく、細かなフォーム・帳簿の整合性**が重要。
多くの企業は、月額顧問契約を結び、会計士に一任する体制を取っています。
日本と比べて申告頻度が多く、ペナルティも厳しいのがフィリピンの税制です。起業初年度は特に戸惑いやすいため、信頼できる会計士と密に連携し、月次ベースで記帳・申告を行う体制づくりが成功のポイントとなります。
フィリピンでビジネスを運営するうえで、税務コンプライアンスの徹底は欠かせません。税務署(BIR)は不定期に監査を行い、軽微なミスでも罰金・追徴課税・営業停止命令などのリスクが伴います。以下に主な注意点とリスクをまとめます。
リスク内容 | 実際のペナルティ内容 |
---|---|
BIR登録なしで領収書や請求書を発行 | 最大2万ペソの罰金+営業停止命令 |
未登録の帳簿での記帳 | 帳簿の差し押さえ、最大2.5万ペソの罰金 |
売上の記帳漏れ | 最大で売上額の50%相当の加算税 |
対策:必ずBIRに登録されたOfficial Receipt(OR)・帳簿・請求書を使用し、発行管理を徹底しましょう。
リスク内容 | 実際のペナルティ内容 |
---|---|
納税期限の遅延 | 延滞利息+罰金(税額の25%相当) |
無申告・過少申告 | 追徴税+罰金(最大50%)+年14%の利息加算 |
未登録のまま営業を継続 | 無登録営業として閉鎖処分+多額の罰金 |
対策:すべての税種について、期限管理と適正申告・納税の記録を行いましょう。
フィリピンでは、特に以下のケースで監査対象となる可能性があります。
初年度決算後に売上が急増した企業
複数年にわたり利益が赤字/ゼロで申告された場合
取引先企業の監査で連鎖的に対象となる場合
VATや源泉徴収の整合性に問題があると判断された場合
監査には「Letter of Authority(LOA)」という正式文書が届きます。期限内に対応しないと、強制調査や追加課税が行われることもあります。
意図的に売上をごまかしたり、架空経費を計上するなどの脱税行為は、以下のような厳しい処罰を受けます。
高額の追徴税(税額の50%+利息)
所得税未納が10万ペソを超える場合、刑事告発の可能性
最悪の場合、国外退去処分やブラックリスト入りもありうる
フィリピンでは183日以上滞在すると居住者扱いとなり、現地源泉の収入に対する納税義務が発生します。会社名義でも、個人の給与課税や源泉徴収の適正処理が問われるため、短期滞在の外国人も注意が必要です。
フィリピンでは記帳ミス・申告漏れ=即罰則対象になるケースが多いため、現地事情に精通したプロのサポートが重要です。
特にVAT計算や源泉徴収の運用は複雑であり、自力対応はおすすめできません。
フィリピンの税務制度は、日本以上に罰則が厳格で、監査の頻度も高い傾向にあります。悪意がなくても「うっかり」や「知らなかった」で罰金対象になるため、日々の記帳・会計・税務処理を信頼できる専門家に一任する体制を整えることが、ビジネスを守る第一歩です。
海外ビジネスでは、税務リスクや制度の複雑さから、会計士・税理士の存在が極めて重要です。特にフィリピンでは、BIR(国税局)への提出書類、月次・年次申告、VAT・源泉徴収処理など、多くの専門知識が求められます。ここでは、信頼できる専門家を選ぶための実践的ポイントをご紹介します。
**Certified Public Accountant(CPA)**の国家資格を有することは大前提。
会計事務所がBIR認定のeFPS(電子申告システム)登録代理人であるかどうかも確認を。
✅ ポイント:名刺や契約書に「PRC No.(登録番号)」や「TIN(納税者番号)」の記載があるかチェック。
日本語が通じるローカルスタッフがいても、実際の手続きを行うのは現地人会計士です。
そのため、「言葉の通じやすさ」だけで選ぶのではなく、過去の対応実績や誠実さ、納期遵守も重視しましょう。
月次顧問料(3,000〜10,000ペソ)や申告業務ごとの単価(例:VAT月次申告 2,000ペソ〜)が明確であるか確認。
初回契約時に「範囲外の追加費用が発生する条件」を明示してくれるかが重要です。
フィリピンでは会計士によって対応品質に大きな差があります。
質問に対するレスポンスが早く、提出期限や税務署対応をきちんとサポートしてくれるかは、信頼のバロメーターとなります。
日系企業に特化した会計士や事務所は、日本人の感覚に近い仕事の進め方が期待できます。
「この人なら間違いない」といった口コミや紹介がある場合は、まず話を聞いてみる価値があります。
起業初期の資金が限られる場合、信頼できるフリーランスCPAとの月額契約も現実的です。
ただし、常に連絡が取れる体制か/複数の案件を抱えて手が回らないリスクがないかも要確認です。
税務は、事業の継続性と信頼性に直結します。
特にフィリピンでは**「会計士任せにしていたらいつの間にか罰金が…」**というケースも少なくありません。
信頼できる専門家との連携こそが、安心してビジネスを継続するための最大の鍵となります。
フィリピンでの起業は、コスト面の優位性・人材確保のしやすさ・成長市場としての魅力など、多くのビジネスチャンスに満ちています。しかしその一方で、税制の複雑さや行政手続きの煩雑さといった、現地特有のハードルも避けて通れません。
特に重要なのは以下の3点です:
自分の事業に合った適切な法人形態を選ぶこと
必要な登録・許可を確実に取得すること
税務申告・会計処理を信頼できる専門家と進めること
これらを一つずつ丁寧に進めていくことで、罰金・違反リスクを避けつつ、健全な事業運営が可能になります。
フィリピンでの起業は、情報と準備次第で日本では得られない経験と成果をもたらします。この記事が、これから現地でビジネスを始める方や、すでに事業を展開している方にとって、実務面でのヒントとなれば幸いです。
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