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年末年始のフィリピン旅行で困ったこと5選|現地生活者が語る実情
「暖かい国で年越しをしてみたい」
「日本の寒さから逃れて南国でホリデーを満喫したい」
そんな理由でフィリピンを年末年始の旅行先に選ぶ方は少なくありません。特にセブ島やボラカイなどのリゾート地は、12月になると世界中から観光客が集まり、年越しのイベントや海辺でのんびり過ごすひとときを楽しむにはぴったりの場所です。
しかし実は、フィリピンの年末年始は旅行者にとって“予想外にやっかいな事情”が潜んでいる時期でもあります。普段のフィリピンとは違う社会のリズムが現れ、観光・移動・生活にさまざまな影響が出てくるのです。
筆者はセブ島を拠点に数年間暮らしていますが、最初の年末年始には想像を超える「困ったこと」に何度も直面しました。旅行で来た人も、留学や出張で滞在中の人も、「あらかじめ知っておけば回避できたかも…」ということがいくつもあります。
この記事では、現地での実体験をもとに、フィリピンの年末年始における“注意点・落とし穴”を5つに絞ってご紹介します。楽しい年末年始を過ごすための準備として、ぜひチェックしてみてください。
困ったこと①:年末は街中から人が消える?突然の「休業ラッシュ」
フィリピンでは、12月24日頃から年末にかけて一気に街の雰囲気が変わります。それまでは通常営業していた店やレストランが、突然シャッターを下ろし始め、「あれ?どこも開いてない…」という事態に。
特に12月24日(クリスマスイブ)と25日(クリスマス)は日本のお正月のような扱いで、ほとんどの商業施設や飲食店が休業。また、29日〜31日頃にかけても営業を短縮する店が続出し、日中しか開いていない、そもそもスタッフが来ない、といったケースも珍しくありません。
さらに驚くのは、大型ショッピングモールでさえ営業時間を短縮したり、一部閉店していることがある点です。観光客からすれば「こんなに人が多いのに、なぜ?」と思ってしまうかもしれませんが、地元の人々にとっては**“家族と過ごす時期”が最優先**。仕事は二の次になる文化なのです。
▼よくある休業の例(都市部でも)
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ローカルレストランやカフェ → 終日休業または午後3時閉店
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スーパーマーケット → 早めに営業終了、棚がスカスカ
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マッサージ・スパ → スタッフ不足で臨時休業
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Grabなど配車アプリ → ドライバーが激減してつかまらない
その結果、「せっかく観光に来たのに行きたい店が全部閉まってた」「夕飯難民になった」というケースはよくあります。事前に営業日・営業時間をチェックすることがとても大切です。
困ったこと②:公共交通機関が激減&タクシーがつかまらない
年末年始のフィリピンでは、交通機関の動きにも大きな変化があります。特に困るのが、「移動手段が一気に減る」という事実。旅行者にとってこれはかなりのストレス要因です。
まず、ジプニー(ローカルバス)や路線バスの数が激減します。運行自体を休止する路線もあり、普段なら通勤・通学でにぎわう道路も驚くほど閑散とします。ドライバーたちはこの時期、家族と過ごすために地元へ帰省してしまうため、都市部では深刻な人手不足に。
また、日本人旅行者がよく利用するタクシーやGrab(配車アプリ)も同様で、
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アプリで呼んでもまったく反応がない
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通っているタクシーは満車ばかり
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通常の2〜3倍の料金でも拾えない
という状況に陥ることがあります。
特に12月24日・25日、31日・1月1日は**「タクシー難民」が続出する定番の日**です。
さらに注意したいのが、空港からの移動や観光地間の移動も困難になる点。年末年始は観光客が増える一方で、移動手段が減るため、いつも以上に計画的なスケジューリングが必要になります。
対策としては:
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移動は日中の明るい時間帯に済ませる
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Grabは早めに呼ぶか、複数端末で同時に検索
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多少高くてもホテル送迎やチャーターサービスを検討
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徒歩圏内に飲食店や施設がある宿を選ぶ
年末年始のフィリピンでは、「移動できること」が一つの贅沢になることも。余裕をもった行動が何よりの備えです。
困ったこと③:ATM・両替所が激混み&現金が足りない問題
年末年始のフィリピンでは、ATMや両替所が非常に混雑するという、意外な“現金不足トラブル”が多発します。
フィリピンでは今もなお現金社会。クレジットカードが使える場所は一部のホテルやモール、チェーン店に限られ、多くの飲食店、交通機関、市場などでは現金が必須です。
ところが12月中旬から年末にかけて、フィリピンでは**「クリスマスボーナス文化」**があり、会社員はもちろん、街中のあらゆる人たちが大量に現金を引き出すため、ATMから現金がすぐなくなってしまうのです。
よくあるトラブル例:
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ATMに行っても「Out of Service」「No Cash」の貼り紙
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両替所が臨時休業 or 閉店時間が早まり、替えるタイミングを逃す
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為替レートが極端に悪くなる(ハイシーズン料金)
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現金が足りずにレストランで食事ができない
旅行者からすれば、「空港やショッピングモールで両替や引き出しをすればいい」と思うかもしれませんが、年末年始はその“当たり前”が通じません。モールのATMには大行列ができ、並んでも現金が切れている…ということも珍しくありません。
対策としては:
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渡航前に日本である程度のフィリピンペソを用意しておく
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到着後すぐに空港で両替 or 複数のATMで少しずつ引き出す
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モールでは朝イチにATMへ(午前中の方が現金が残っている可能性大)
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クレジットカードが使える店舗を事前に調べておく
「お金はあるのに使えない」状況ほど旅行中にストレスなものはありません。
現金の確保は“余裕をもって早めに”が鉄則です。
困ったこと④:年越しの爆竹・花火が想像以上に危険レベル
フィリピンの年越しといえば、爆竹と花火の嵐。しかもその規模は、日本の夏祭りやカウントダウン花火とはまったくの別物です。まさに“爆音によるカオス”が街全体を覆うと言っても過言ではありません。
なぜそんなに爆竹を鳴らすのか?
フィリピンでは「大きな音を立てることで邪気を追い払い、新年を清める」という風習・迷信が根強く残っています。そのため、大晦日の夜〜1月1日未明にかけて、家庭や路上で大量の爆竹を鳴らす・花火を打ち上げるのが定番。
実際に遭遇した“やっかいな状況”
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ホテルのすぐ外で爆竹が鳴り響き、寝られない・耳が痛い
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路上に落ちた爆竹が突然爆発して、足元に火花が飛ぶ
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子どもが素手で爆竹を投げて遊んでいる(しかもノーガード)
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煙と火薬臭で一帯が視界不良になる
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医療機関に「爆竹による火傷・ケガ」の患者が殺到
特に住宅街・ローカルエリアでは無法地帯に近いレベルで爆竹が鳴らされ、旅行者には衝撃的な体験になるかもしれません。
注意すべき時間帯
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12月31日の夜9時〜深夜2時頃までがピーク
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特に年越し直前の30分間(23:30〜0:00)は爆音地獄
この時間帯はなるべく屋外を避け、安全なホテルの中にいるのが無難です。中には安全なエリアで打ち上げ花火を楽しめるホテルもありますが、外出時には十分に注意しましょう。
対策ポイント
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耳栓やノイズキャンセリングイヤホンを持参すると安心
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路上に落ちている爆竹や不審物には近づかない
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子ども連れは特に注意を(屋内で年越しを推奨)
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医療体制が混雑するため、年末は大きなケガにも備えておくべき
にぎやかを通り越して“爆音との戦い”になるフィリピンの年越し。異文化体験として楽しめる部分もありますが、安全確保を第一に考えることが大切です。
困ったこと⑤:年末年始の営業タイミングが日本と真逆!
日本では12月末まではしっかり働き、1月1日から数日間は正月休み。2日や3日から営業再開する店舗も多く、社会全体が“お正月モード”に包まれますよね。
ところがフィリピンでは、その流れがほぼ真逆。
旅行者や留学生にとって、ちょっとしたカルチャーショックになることもあります。
実は、年末が“本番のホリデー”
フィリピンではクリスマスが1年で最も重要な祝日。10月から“Berのつく月(September, October, November, December)”に入ると街中ではクリスマスムードが高まり始め、12月に入ると本格的に「ホリデーシーズン」へ突入します。
特に**12月24日(クリスマスイブ)〜25日(クリスマス)**は完全に祝日扱いで、
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モールやレストランが短縮営業または休業
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公共交通が極端に減少
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地元スタッフが出勤せず、ホテルや飲食店のサービスが極端に遅れる
といった現象が起きます。さらにこの流れが年末の30日・31日まで続き、街全体が“おやすみモード”に。
年始は意外とすぐ通常営業に戻る
意外かもしれませんが、1月1日だけが祝日扱いで、1月2日からは多くの店が通常営業に戻ります。
特にショッピングモールや飲食店は早々に動き出し、交通機関も通常運行へ。日本のように「三が日は休み」という感覚はあまりなく、年始の再始動が早いのが特徴です。
旅行者が困るタイミングは“年末のほう”
つまり、年明けよりもクリスマス前後〜年末の期間のほうが、店が閉まり、交通が止まり、サービスが滞るのです。
「お正月は営業してるけど、クリスマスは街が止まる」という、まったく逆の文化に驚く方も少なくありません。
対策としては:
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12月20日以降に旅行するなら、営業状況を必ず事前確認
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年末年始をフィリピンで過ごす場合、12/24〜1/1の食事・移動・両替を事前に計画
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年始の予定は、むしろ日本より立てやすいので安心して組んでOK
「年明けから動き出す」は日本の常識。
フィリピンではむしろ「クリスマス前後こそ最大のお休みタイム」であることを理解していれば、年末年始の旅も安心して楽しめます。
まとめ|フィリピンの年末年始を“楽しく安全に”乗り切るために
フィリピンの年末年始は、日本とはまったく異なるリズムと文化で動いています。
明るくにぎやかなホリデーシーズンには南国らしい魅力が詰まっていますが、旅行者や滞在者にとっては、**「思わぬ不便」や「文化の違い」**に直面することも少なくありません。
今回ご紹介したように:
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クリスマス前後から始まる店舗の突然の休業ラッシュ
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タクシーや公共交通の減少で移動が難しくなる
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ATMや両替所の混雑・現金不足
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年越しの爆竹騒ぎが危険レベル
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年明けは意外と早く通常営業に戻ることに驚く
こうした“日本とのギャップ”を事前に知っておけば、戸惑うことも減り、フィリピンならではのホリデーシーズンをもっと安心して楽しめるようになります。
フィリピン年末年始のポイント
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一番の休業ピークは12月24日〜31日ごろ
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1月1日だけが祝日、1月2日から通常営業が多い
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「年末=正月休み」という感覚は通用しない
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ゆとりある計画と事前確認が最大の対策
旅行者として大切なのは、「日本と同じように動くはず」と思わずに、フィリピンの文化とペースを尊重すること。ほんの少しの準備と柔軟な心構えがあれば、年末年始の旅は一生の思い出に残るユニークな体験になります。
どうぞ、安全で楽しい年越しを。
マラミン・サラマット!(※ありがとう)