家具付き賃貸 vs 家具なし賃貸:どちらが得か【セブ島不動産ガイド】

はじめに

セブ島で賃貸物件を探すとき、多くの人がまず目にする条件のひとつが「家具付き(Fully Furnished)」か「家具なし(Unfurnished)」かです。
一見すると単純な選択のように思えますが、実際には家賃、初期費用、生活の快適さ、退去時の手間など、さまざまな面で違いがあり、滞在スタイルや契約期間によって“どちらが得か”は変わります。

短期滞在でとにかく手間をかけずに住み始めたい人もいれば、長期的にコストを抑えて自分好みの空間を作りたい人もいます。
本記事では、セブ島の不動産事情に基づき、家具付き賃貸と家具なし賃貸のメリット・デメリット、相場感、そして目的別のおすすめを徹底的に比較していきます。


2. 家具付き賃貸(Fully Furnished)の特徴

メリット

1. 初期費用が抑えられる
ベッド、ソファ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなど生活に必要な家具・家電がすでに揃っているため、入居したその日から生活を始められます。家具購入費や配送費が不要なので、特に短期滞在者や予算を抑えたい移住初期には大きなメリットです。

2. 入居までがスピーディー
契約後すぐに入居可能な場合が多く、急な転勤や予定変更にも対応しやすいのが魅力です。

3. 短期滞在や試し住みに最適
語学留学や半年程度の仕事など、期間が限られた滞在では家具付きの方がコスト面・利便性ともに有利です。


デメリット

1. 家賃が高め
同条件の家具なし物件と比べ、月額家賃は10〜30%程度高くなる傾向があります。長期滞在の場合、この差額が総コストに大きく影響します。

2. 家具の質やデザインを選べない
オーナーが用意した家具が好みに合わない、または使いにくい場合があります。家具の交換や撤去は契約条件によっては不可のことも。

3. 破損時の弁償リスク
契約書に「通常使用による劣化を除き破損は入居者負担」と明記されていることが多く、退去時に思わぬ費用を請求される可能性があります。


3. 家具なし賃貸(Unfurnished)の特徴

メリット

1. 家賃が安い
同条件の家具付き物件に比べ、月額家賃は10〜30%ほど安くなる傾向があります。長期滞在ではこの差額が大きな節約につながります。

2. インテリアを自由に選べる
家具や家電を自分で選べるため、好みや生活動線に合わせた快適な空間づくりが可能です。趣味やライフスタイルを反映した住まいにしたい人に向いています。

3. 長期的なコストパフォーマンスが高い
家具購入は初期投資になりますが、2年以上住む場合は家賃差額分で十分回収でき、総合的に安くなることが多いです。


デメリット

1. 初期費用が高い
ベッドやソファ、冷蔵庫、洗濯機などを揃えると10万〜30万円以上かかることも珍しくありません。特に家電は輸入品が多く、セブ島では本体価格が高めです。

2. 入居まで時間がかかる
家具・家電の購入から配送、設置まで数日〜数週間かかる場合があります。その間、生活の一部が不便になります。

3. 引越しや退去時に手間がかかる
家具の搬出や処分にコストと労力が必要です。特にフィリピンでは大型家具の処分費が高くつくことがあります。

4. セブ島の相場感(2025年時点)

家具付きと家具なしでは、家賃や初期費用に明確な差があります。以下はセブ市内中心部(ITパーク、アヤラ周辺など)を基準にした一般的な目安です。

間取り 家具付き(Fully Furnished) 家具なし(Unfurnished) 備考
スタジオ(約20〜30㎡) 18,000〜25,000ペソ/月 14,000〜20,000ペソ/月 単身向け、家具差額は月3,000〜5,000ペソ
1ベッドルーム(約35〜50㎡) 25,000〜35,000ペソ/月 18,000〜28,000ペソ/月 カップルや単身長期滞在者向け
2ベッドルーム(約55〜80㎡) 35,000〜55,000ペソ/月 28,000〜45,000ペソ/月 家族向け、家具差額は月5,000〜8,000ペソ

家具購入費(家具なしの場合)

  • ベッド・マットレス:15,000〜30,000ペソ

  • ソファ:10,000〜25,000ペソ

  • 冷蔵庫:12,000〜25,000ペソ

  • 洗濯機:10,000〜20,000ペソ

  • ダイニングセット:8,000〜15,000ペソ
    合計目安:10万〜15万ペソ(約27万〜40万円)

※相場は立地・建物のグレード・築年数によって変動します。
特にITパークやアヤラ周辺は家具付き需要が高く、差額が大きくなりやすい傾向があります。


5. どちらが得か?ケース別おすすめ

セブ島で家具付きか家具なしを選ぶ際は、滞在期間・目的・ライフスタイルの3要素で判断するのがポイントです。

短期滞在(〜1年)

家具付きが有利

  • 初期投資を抑えられ、契約後すぐ生活開始可能。

  • 退去時も家具処分の手間がなく、手軽に引っ越し可能。

  • 語学留学、研修、短期赴任などに最適。

中期滞在(1〜2年)

どちらも検討可能

  • 家賃差額と家具購入費のバランスで判断。

  • 「少しでも自分好みの家具を置きたい」場合は最低限の家具付き物件+必要分だけ買い足すというハイブリッド型もあり。

長期滞在(2年以上)

家具なしが有利

  • 家賃差額の累積が大きくなり、初期の家具購入費を回収できる可能性が高い。

  • インテリアを自由にカスタマイズでき、生活の快適さを追求できる。

投資用・賃貸運用目的

家具付きで提供する方が集客しやすい

  • 特に外国人駐在員や短期滞在者に高い需要。

  • Airbnb運用では家具付きはほぼ必須条件。


6. 契約時の注意点

家具付き・家具なしどちらを選ぶ場合でも、契約前に確認しておくべきポイントがあります。特にセブ島では日本と契約慣習が異なるため、細部まで確認することが重要です。

家具付きの場合

  1. 家具リスト(Inventory List)の添付
    契約書に家具・家電のリストを写真付きで添付してもらうことで、退去時の「元々あった/なかった」トラブルを防げます。

  2. 破損時の負担範囲
    「通常使用による劣化はオーナー負担か」を明確にしておく。

  3. 交換や撤去の可否
    気に入らない家具を撤去・交換できるか事前に確認。

家具なしの場合

  1. 基本設備の有無
    エアコン、キッチンシンク、ビルトインキャビネットなどが含まれているかを確認(完全スケルトン物件も存在します)。

  2. 家具搬入のルール
    コンドミニアムでは搬入日時やエレベーター使用時間に制限がある場合があります。

  3. 電圧・コンセント形状
    家電を日本から持ち込む場合、対応電圧とプラグ形状を事前確認。


7. まとめ

家具付き賃貸は初期費用が抑えられ、すぐに生活を始められる利便性が魅力で、短期〜中期滞在や試し住みに向いています。
一方、家具なし賃貸は家賃が安く、自分好みにカスタマイズできる自由度があり、長期滞在で総コストを抑えたい人に適しています。

選択のカギは、

  • 滞在期間

  • 初期予算

  • ライフスタイル(利便性重視か、空間づくり重視か)

  • 契約条件(家具破損の負担や設備の有無)

です。

どちらを選ぶにしても、契約前の現地内見と条件確認は必須です。写真や説明だけで判断せず、自分の生活動線や必要な設備が揃っているかを直接確認することで、入居後の後悔を防げます。

セブ島ではエリアや建物のグレードによって条件差が大きく出るため、立地と生活スタイルを踏まえて最適な選択をしましょう。


よくある質問(FAQ)|家具付き賃貸 vs 家具なし賃貸【セブ島】

Q. 家具付き(Fully Furnished)と家具なし(Unfurnished)の違いは?
家具付きはベッド・ソファ・冷蔵庫・洗濯機・電子レンジなど生活必需品が揃っており、入居当日から生活できます。家具なしは基本設備のみ(建物や部屋によって差あり)で、家具・家電は入居者が用意します。
Q. どちらが安い?総コストで見るとどう変わる?
月額家賃は一般に家具なしの方が安い一方、初期に家具・家電の購入費がかかります。滞在が2年以上なら家具なしの方が総コストを抑えやすく、1年以内なら家具付きが有利になりやすいです。
Q. 家具付きはどの程度家賃が高くなる?
同条件の物件と比較して月額でおおむね10〜30%高くなる傾向があります。立地(ITパーク、アヤラ周辺など)や建物グレードで差が出ます。
Q. 家具なしで必要な初期費用の目安は?
ベッド・マットレス、ソファ、冷蔵庫、洗濯機、ダイニングセット等を揃えると合計で約10万〜15万ペソが目安です。選ぶ品質やセール時期で前後します。
Q. 短期滞在(〜1年)に向いているのは?
家具付きがおすすめです。初期投資が少なく、契約後すぐ入居でき、退去時の処分も不要です。
Q. 長期滞在(2年以上)に向いているのは?
家具なしがおすすめです。家賃差額の累積で家具購入費を回収しやすく、自分好みの空間づくりができます。
Q. 家具付きの契約で注意すべき点は?
契約書に家具リスト(Inventory List)を写真付きで添付してもらい、破損時の負担範囲(通常使用の劣化は誰の負担か)、家具の交換・撤去可否を明記しておきましょう。
Q. 家具なし物件でのチェックポイントは?
エアコンやキッチン設備、ビルトイン収納の有無を確認。コンドミニアムは搬入ルール(日時、エレベーター使用)や申請が必要な場合があります。
Q. 退去時の弁償や原状回復はどうなる?
家具付きは破損・紛失の弁償が発生する場合があります。通常使用の範囲や減価償却の取り扱いを契約時に確認しましょう。家具なしでも壁の穴や過度な汚損は原状回復の対象です。
Q. デポジットや前家賃の慣習は?
一般的にセキュリティデポジット1〜2か月+前家賃1か月を求められることが多いです。家具付きはデポジットがやや高めになる場合があります。
Q. 光熱費・インターネットは家具付きに含まれる?
多くの場合は含まれません。電気・水道・インターネットは入居者負担で、名義変更や初期設定が必要なことがあります。サービス込みの物件でも上限額の設定に注意。
Q. 家具や家電は日本から持ち込むべき?
フィリピンの電圧は220Vが一般的です。日本の100V家電は変圧器が必要になり非現実的な場合も。小型家電は持ち込み、白物家電は現地購入が無難です。
Q. 家具を安く揃える方法は?
セール時期の活用、アウトレットや中古マーケット、必要最低限から始めて少しずつ買い足す方法が効果的です。サイズ計測と搬入経路の事前確認は必須です。
Q. 投資用としてはどちらが貸し出しやすい?
家具付きの方が短期〜中期の需要を取り込みやすく、募集もしやすい傾向です。ターゲット(留学生、駐在員、観光長期滞在者など)に合った家具構成にすると空室リスクを下げられます。
Q. Airbnbなど短期賃貸として運用可能?
物件や管理規約、自治体の方針により可否が異なります。契約・管理規約で短期賃貸が許可されているか必ず確認し、必要な手続きや税務も事前に把握しましょう。
Q. 防虫・湿気・カビ対策は?(特に家具付き)
セブ島は高温多湿のため、除湿機・サーキュレーターの活用、定期的な換気、家具裏の清掃が重要です。マットレスや木製家具は防湿シートも有効です。
Q. 中期(1〜2年)で迷ったらどう決める?
「家賃差額 × 予定月数」と「家具購入費+手間」を比較し、入居までのスピードや退去時の処分負担も数値化して判断するとブレにくくなります。最低限の家具付きに必要分だけ買い足すハイブリッドも有効です。
Q. 内見時に確認すべきチェックリストは?
家具・家電の動作確認、在庫リストとの一致、傷・汚れ、コンセント位置と数、携帯電波・Wi‑Fi速度、日当たり・騒音、水圧・排水、エアコンの効き、共用部・防犯、搬入ルールの有無を確認しましょう。

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