セブ島不動産にかかる税金まとめ

はじめに

セブ島で不動産を購入・保有・売却・賃貸する場合、フィリピン国内の税制度が適用されます。税金の仕組みは日本や台湾とは大きく異なり、取引のタイミングごとにかかる税金の種類や税率が変わるのが特徴です。

例えば、購入時には物件価格に応じた「譲渡税」や「書類印紙税」、保有中には毎年の「不動産税」、売却時には「キャピタルゲイン税」が発生します。また、賃貸運用すれば「賃貸所得税」や「付加価値税」の対象になることもあります。

税金の負担額や支払期限を把握せずに契約を進めると、予想外の出費やペナルティが発生するリスクがあります。特に外国人オーナーの場合、二重課税回避条約や納税申告の流れを理解しておくことが不可欠です。

本記事では、セブ島不動産に関わる税金を**「購入時」「保有時」「売却時」「賃貸収入」の4つに分けて整理し、それぞれの税率・支払い期限・注意点**をわかりやすくまとめます。これから不動産投資や移住を考えている方が、安心して計画を立てられる情報源としてご活用ください。


購入時にかかる税金・費用

セブ島で不動産を購入する際には、物件価格以外にもいくつかの税金や公的費用が発生します。
特に譲渡税書類印紙税は必須で、支払いを怠ると登記手続きが進まないため注意が必要です。

1. 譲渡税(Transfer Tax)

  • 税率:セブ市の場合0.5%、その他の市町村は0.75%
  • 課税対象:売買契約書上の価格またはBIR(内国歳入局)が定める時価の高い方
  • 支払者:原則買主
  • 支払い期限:売買契約後60日以内
  • 用途:地方自治体の歳入となる税金
計算例(物件価格が5,000,000ペソ/セブ市)
5,000,000 × 0.5% = 25,000ペソ

2. 書類印紙税(Documentary Stamp Tax, DST)

  • 税率:1.5%
  • 課税対象:物件価格または時価の高い方
  • 支払者:買主(契約によっては折半もあり)
  • 支払い期限:契約締結後5日以内にBIRへ申告・納付
計算例(物件価格が5,000,000ペソ)
5,000,000 × 1.5% = 75,000ペソ

3. 登記費用(Registration Fee)

  • 目安:物件価格の約0.25%前後
  • 支払先:Registry of Deeds(不動産登記局)
  • 用途:所有権移転登記のための手数料
  • 価格帯によって段階的な料金表が適用される

4. 仲介手数料・弁護士費用

  • 仲介業者を利用した場合、売主が3〜5%を負担するのが一般的
  • 新築コンドミニアムなどデベロッパー経由の場合は販売価格に含まれていることが多い
  • 契約書作成や税務申告のサポートを弁護士に依頼する場合、別途数千〜数万ペソがかかる

保有中にかかる税金

セブ島で不動産を所有している間は、毎年「不動産税(Real Property Tax, RPT)」を支払う必要があります。
コンドミニアムの場合は、これに加えて管理組合への管理費も発生します。

1. 不動産税(Real Property Tax, RPT)

  • 税率:課税評価額(Assessed Value)の1%(市・町)〜2%(マニラ首都圏)
  • セブ市:1%が一般的
  • 課税評価額:市場価格の20〜40%程度
  • 支払方法:年1回一括または四半期ごと
  • 割引制度:早期納付で10〜20%の割引あり
計算例(市場価格5,000,000ペソ/課税評価額30%の場合)
市場価格 5,000,000ペソ × 30% = 課税評価額 1,500,000ペソ
1,500,000ペソ × 1% = 15,000ペソ(年間)

2. 管理費(コンドミニアムの場合)

  • 相場:月額100〜200ペソ/㎡
  • 共用施設の清掃・警備・修繕積立などに充当
  • 税金ではないが、ランニングコストとして必須
計算例(50㎡ユニット/月150ペソの場合)
50㎡ × 150ペソ = 7,500ペソ/月
年間では 7,500 × 12 = 90,000ペソ

売却時にかかる税金

セブ島で不動産を売却する場合、主にキャピタルゲイン税書類印紙税が発生します。
これらは売主負担が一般的ですが、契約内容によっては分担されるケースもあります。

1. キャピタルゲイン税(Capital Gains Tax, CGT)

  • 税率:売却価格または時価の高い方の6%
  • 支払者:原則売主
  • 支払い期限:売買契約締結後30日以内にBIRへ申告・納付
  • 用途:不動産売却益に課される国税
計算例(売却価格5,500,000ペソの場合)
5,500,000ペソ × 6% = 330,000ペソ

2. 書類印紙税(Documentary Stamp Tax, DST)

  • 税率:1.5%
  • 支払者:通常は買主負担
  • 注意:契約によっては売主が一部負担することもある

3. 仲介手数料

  • 相場:物件価格の3〜5%
  • 支払者は売主が一般的
  • 仲介業者を通さず直接売買すれば節約可能だが、契約リスクは高くなる

賃貸収入にかかる税金

セブ島で不動産を賃貸運用する場合、所得税間接税(VATまたはPercentage Tax)が発生します。
契約相手や年間収入額によって税率や課税方式が変わるため、事前に確認が必要です。

1. 賃貸所得税(Income Tax on Rental Income)

  • 年間総収入250,000ペソ以下:免税
  • 250,000ペソ超:5〜35%の累進課税、または8%の単一税率(個人事業者登録時)
  • 課税対象は総賃料収入 − 必要経費
計算例(年間賃料収入600,000ペソ/必要経費100,000ペソ)
課税所得:600,000 − 100,000 = 500,000ペソ
累進税率に基づき課税(例:8%単一税率を選択する場合)
500,000 × 8% = 40,000ペソ

2. 付加価値税(VAT)または賃貸業税(Percentage Tax)

  • 年間賃貸収入3,000,000ペソ超:12%のVAT課税対象
  • 3,000,000ペソ以下:3%のPercentage Tax(ビジネス登録者)
  • 居住用と商業用で税務扱いが異なる場合あり

3. 源泉徴収(Withholding Tax)

  • 法人や企業に貸す場合、家賃の5%が源泉徴収されることがある
  • 借主が直接BIRへ納付し、残額が家主へ支払われる

外国人オーナーの注意点

外国人がセブ島で不動産を所有・運用する場合、税率はフィリピン人と同じですが、
二重課税回避条約納税申告手続きについて追加の注意が必要です。

  • 所得税やキャピタルゲイン税はフィリピン国内源泉所得として課税
  • 日本や台湾など多くの国とは租税条約があり、条件を満たせば二重課税を回避可能
  • BIR(内国歳入局)への納税申告が必須
  • 支払い遅延には延滞税(最大25%)年利20%の利息が課される
  • 送金時には銀行手数料や為替差損の影響も考慮

まとめ

セブ島不動産の税金は、購入時保有中売却時賃貸収入
4つのタイミングで異なる税率・ルールが適用されます。外国人でも税率は変わりませんが、
母国との二重課税回避条約や納税手続きを理解しておくことが重要です。

  • 購入時は物件価格+5〜7%程度を税金・諸費用として見積もる
  • 保有中は不動産税や管理費の年間負担を把握する
  • 売却時はCGTの計算基準(売却価格または時価の高い方)に注意
  • 賃貸収入は契約形態や年間収入額により課税方法が変わる
  • 延滞税・利息を避けるため、期限管理を徹底

税務管理を計画的に行うことで、不動産投資のリターンを最大化し、
安心してセブ島での資産運用を継続できます。

よくある質問(FAQ)— セブ島不動産の税金

Q1. セブ島不動産で主にどんな税金がかかりますか?

A. 取引タイミング別に以下が発生します。

  • 購入時:譲渡税、書類印紙税、登記費用
  • 保有中:不動産税(RPT)
  • 売却時:キャピタルゲイン税(6%)、必要に応じて書類印紙税
  • 賃貸運用:所得税、VATまたはPercentage Tax、(法人相手なら)源泉徴収
Q2. 購入時の諸費用は合計でどれくらい見込めばいいですか?

A. 目安は物件価格の5〜7%。内訳は譲渡税、DST、登記費用、(必要に応じて)法務費などです。

Q3. 譲渡税(Transfer Tax)の税率と支払期限は?

A. セブ市は0.5%、他市町村は0.75%が目安。売買契約後60日以内に納付します。

Q4. 書類印紙税(DST)はいくらですか?

A. 一般に1.5%。課税標準は売買価格または時価の高い方です。

Q5. 登記費用はいくらかかりますか?

A. 物件価格に応じた料率表で計算され、約0.25%前後が目安です。

Q6. 不動産税(RPT)はどう計算しますか?

A. 課税評価額(市場価格の約20〜40%)× 税率1%(セブ市目安)。年1回または四半期払いが可能で、早期納付割引があります。

Q7. 売却時のキャピタルゲイン税(CGT)はどうかかりますか?

A. 売却価格または時価の高い方の6%契約後30日以内に申告・納付します(原則売主負担)。

Q8. 賃貸収入の所得税は?

A. 年間総収入250,000ペソ以下は免税。超える場合は5〜35%累進または8%単一税率(個人事業登録時の選択)です。

Q9. VATとPercentage Taxの違いは?

A. 年間賃貸収入が3,000,000ペソ超ならVAT 12%、それ以下でビジネス登録者はPercentage Tax 3%が一般的です。

Q10. 法人に貸す場合の源泉徴収はありますか?

A. あります。家賃の約5%が借主側で源泉徴収され、差額が支払われます。

Q11. 外国人オーナーの税率はフィリピン人と違いますか?

A. 税率は同じです。ただし母国との租税条約納税手続きに追加の留意点があります。

Q12. 納付期限に遅れるとどうなりますか?

A. 原則として延滞税(最大25%)利息が加算されます。期限管理は必須です。

Q13. コンドミニアムの管理費は税金ですか?

A. いいえ、税金ではありません。運営・維持管理のための共益費で、相場は月100〜200ペソ/㎡です。

Q14. 節税の基本はありますか?

A. 早期納付割引の活用、経費の適切な計上、契約時の費用負担明記、専門家(会計士・弁護士)への相談が有効です。

Q15. どこに申告・納付しますか?

A. 国税はBIR(内国歳入局)、地方税は市町村の担当窓口(例:Treasurer/Assessor)です。最新の手続は事前確認を推奨します。

免責事項:本FAQは一般的な情報提供です。税率・閾値・期限は改定される場合があります。最終判断は必ず現地の会計士・弁護士等の専門家にご確認ください。

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