IELTSリスニング対策: TOEICリスニングとIELTSリスニングの違い
はじめに
英語の試験にはさまざまな種類がありますが、日本で特に知名度が高いのは TOEIC と IELTS です。TOEICは就職や昇進などビジネスシーンでの活用が多く、IELTSは海外留学や移住、ビザ申請で必須とされるケースが多い試験です。
一見するとどちらも「リスニング力を測る試験」ですが、実際には 出題形式・内容・求められるスキルが大きく異なります。TOEICで高得点を取っている人でも、IELTSリスニングでは苦戦することが珍しくありません。
本記事では、TOEICリスニングとIELTSリスニングの違いを詳しく比較し、IELTSを受験する人がどのような対策を取るべきかを解説します。
試験形式の違い
TOEICリスニングとIELTSリスニングは、同じ「耳で聞いて答える」試験でありながら、その構成や解答方法に大きな違いがあります。
TOEICリスニング
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時間:約45分、100問。 
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構成: - 
写真描写問題 
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応答問題(短い受け答え) 
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会話問題(2人または3人の会話) 
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説明文問題(アナウンスやナレーション) 
 
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解答形式:すべて選択式(マークシート)。 
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特徴:比較的短い会話や文を聞き、設問に答える形式。 
IELTSリスニング
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時間:約30分+解答転記10分、40問。 
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構成:4つのセクション - 
日常生活の会話(例:宿泊予約、買い物) 
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日常的な独白(例:地域の施設案内) 
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学術的な会話(例:学生同士や教授とのディスカッション) 
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学術的な講義やプレゼンテーション 
 
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解答形式:空欄補充、短答式、地図問題、選択式など多様。 
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特徴:実際の大学生活や留学を想定した内容で、書き取りが中心。 
まとめると、TOEICは短い会話を「選ぶ試験」、IELTSは長い会話や講義を「聞いて書く試験」と言えます。
アクセントとスピードの違い
TOEICリスニング
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アクセント:アメリカ英語が中心。最近ではイギリス・カナダ・オーストラリア英語も少し導入されているが、依然として米国式が主流。 
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スピード:比較的ゆっくりで聞き取りやすい。試験用に明瞭に発音されることが多い。 
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印象:リスニング初心者でも慣れやすく、リズムが一定。 
IELTSリスニング
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アクセント:イギリス英語をはじめ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなど多様。普段アメリカ英語しか聞いていないと、発音の違いに戸惑いやすい。 
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スピード:自然な会話速度で、早口になる場面も多い。講義や議論形式では一度に大量の情報が流れる。 
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印象:本場の会話や授業をそのまま聞いている感覚。 
違いのポイント:TOEICは「聞き取りやすいテスト用英語」、IELTSは「リアルな生活・学術英語」。特にIELTSはアクセントの多様性とスピード感に慣れる必要があります。
出題内容・難易度の違い
TOEICリスニング
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出題範囲:ビジネスや日常生活の場面が中心。 - 
会議、電話、オフィスでの会話 
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空港やホテルでの案内 
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社内アナウンスや説明 
 
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難易度:設問は比較的シンプル。問題数が多い分、集中力が求められる。 
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特徴:実務シーンを想定しており、決まり文句や定型表現が多く出題される。 
IELTSリスニング
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出題範囲:日常生活から学術的な場面まで幅広い。 - 
宿泊予約や生活上の相談 
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大学のセミナーや研究発表 
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フィールドワークの説明やディスカッション 
 
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難易度:1回しか流れない音声から、詳細情報を正確に聞き取る必要がある。設問は空欄補充や地図問題など多様で、内容も実用的かつアカデミック。 
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特徴:単なる聞き取りだけでなく、要点を整理して答える力が試される。 
まとめると:TOEICは「ビジネス実務の場面に対応」、IELTSは「海外生活・大学生活を想定した総合的なリスニング力」を求められるため、難易度はIELTSの方が高めです。
解答形式の違い
TOEICリスニング
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方式:すべて選択式(マークシート方式)。 
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特徴: - 
音声を聞いたあと、4つの選択肢から正解を選ぶ。 
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聞き取れなかった部分があっても、消去法で推測できる場合がある。 
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スペルや文法の正確さは問われない。 
 
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IELTSリスニング
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方式:記述式が中心。空欄補充・短答式・地図問題・表完成など多様。 
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特徴: - 
聞いた単語やフレーズをそのまま書き取る必要がある。 
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スペルミスや複数形の誤りも不正解扱いになる。 
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音声は1回しか流れないため、正確な聞き取り+素早い書き取り能力が必須。 
 
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大きな違い:TOEICは「選んで答えるテスト」、IELTSは「書いて答えるテスト」。そのためIELTSではリスニング力だけでなく、スペル力・メモ力・集中力も問われます。
対策方法の違い
TOEICリスニング対策
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パターン練習重視 
 よく出るフレーズや決まり文句を繰り返し練習することで得点が安定しやすい。
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短い会話に慣れる 
 数十秒程度の会話を集中して聞き取り、要点を掴む練習が効果的。
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選択肢慣れ 
 消去法や文法的なヒントから正解を推測する力も有効。
IELTSリスニング対策
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多様なアクセントに触れる 
 イギリス・オーストラリア・ニュージーランドなど、TOEICには少ない発音に慣れることが重要。
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メモ取りと同時処理の練習 
 聞きながらキーワードをメモし、設問の答えに素早く結びつける訓練が必要。
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スペル練習 
 聞き取った単語を正しく書けるようにするため、頻出単語は綴りも含めて覚える。
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実践形式での練習 
 音声が一度しか流れないため、本番と同じ形式で模試や過去問を解くことが最も効果的。
ポイント:TOEICは「パターン暗記と選択問題への慣れ」が中心、IELTSは「多様な英語を聞いて書き取る実践力」が求められます。
まとめ
TOEICリスニングとIELTSリスニングは、どちらも英語力を測る試験ですが、求められるスキルや方向性は大きく異なります。
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TOEICリスニング - 
ビジネスや日常会話が中心 
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アメリカ英語が多く、比較的聞き取りやすい 
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すべて選択式で、推測も可能 
 
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IELTSリスニング - 
海外生活や大学講義を想定した内容 
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イギリス・オーストラリアなど多様なアクセント 
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記述式中心で、スペルや文法の正確さが必須 
 
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TOEICで高得点を取っている人でも、IELTSリスニングでは新しい壁に直面することがあります。
IELTS対策では「聞き取る力」だけでなく「書き取る力」「多様なアクセントへの慣れ」「実践的な集中力」を鍛えることが重要です。
FAQ:TOEICリスニングとIELTSリスニングの違い
TOEICとIELTSのリスニングは何が一番違う?
TOEICは短い会話・説明を選択式で答えるテスト、IELTSは日常〜学術まで幅広い場面を記述式中心で答えるテストです。アクセントの多様性とメモ取り・書き取りの精度がIELTSでは重要になります。
どちらが難しい?
個人差はありますが、一般にIELTSの方が難しく感じる受験者が多いです。理由は、音声が1回のみ、多様なアクセント、そしてスペルや複数形の誤りが即不正解になるためです。
TOEIC高得点でもIELTSで苦戦するのはなぜ?
TOEICは選択式に最適化した対策が有効ですが、IELTSは聞く→要点抽出→正確に書くという処理が必要で、別のスキルセットを要求されるからです。
スコア換算はできる?(TOEIC ⇄ IELTS)
正式な換算はありません。目安として、TOEIC L&R 800〜900台の受験者がIELTS 6.0〜7.0帯に挑戦するケースはありますが、直接対応はしません。目的(留学・移住)に必要なIELTS目標バンドを基準に逆算しましょう。
学習時間の目安は?
現在地と目標次第です。例:IELTS 5.5 → 6.5 を目指す場合、リスニング中心で150〜250時間の集中的練習を見込むと計画が立てやすいです(個人差あり)。
アクセント対策は何をすればいい?
英国・豪州・NZ・カナダ英語を意識的に取り入れます。地名・固有名詞・数字・スペル読み上げ(postcodeや電話番号)を重点練習し、ディクテーションとシャドーイングを組み合わせましょう。
メモ取りはどのように練習する?
設問を先読みし、固有名詞・数値・日付・比較表現だけを素早く記号化して書く訓練をします。全文は書かないこと。地図問題は方角語(north/south/east/west)やランドマーク語彙を事前に固めます。
スペル対策は必要?
必須です。頻出語(学科名、施設、職種、形容詞の派生、複数形、ハイフン語)をリスト化して毎日書く練習を。聞こえた通りに書くのではなく、正しい綴りで書ける状態を目指します。
教材は何を使えばいい?
IELTSは公式問題集(Cambridge IELTS)を軸に、トランスクリプトで復習。TOEIC中心の人は、まずIELTS形式(空欄補充・地図・表完成)に慣れるための演習書を1冊やり切るのが近道です。
音声は何回流れる?
TOEICはパートによって1回のみですが選択式で補える場面があります。IELTSは原則1回のみで、聞き逃しのリカバリーが難しいため、先読みとメモ取りがカギです。
本番での時間配分のコツは?
- 設問の先読みに徹する(次セクションの問のキーワードを確認)。
- 名前・住所・数字は即メモ、単位や複数形もセットで。
- 転記時間(紙の場合は約10分)を見越して、空欄は必ず埋める。
リスニング力が頭打ちのときの処方箋は?
- スクリプト精読+ディクテーションで聞き取れない原因を特定。
- 弱点アクセント(例:豪州英語)の短時間高頻度露出。
- 頻出テーマ語彙(教育・研究・予約・交通)の語彙ノートを更新。
独学でも大丈夫?コーチングは必要?
独学でも到達可能ですが、短期で6.5〜7.0を狙う、または書き取り精度が伸び悩む場合は、弱点特化のフィードバック(コーチングや添削)を併用すると効率が上がります。

 
		 
		 
			 
			 
			 
			 
			