IELTSリーディング対策: パラフレーズを見抜く力の鍛え方

はじめに

IELTSリーディングを解くとき、多くの受験生が直面する大きな壁が「設問と本文の言葉がそのまま一致しない」という点です。試験では同じ意味を別の言葉で表現する パラフレーズ(言い換え) が頻繁に使われており、これを見抜けないと本文をいくら読んでも正解にたどり着けません。

例えば、設問に「increase」と書かれていても、本文では「grow」「rise」「double」といった別の表現が使われることがあります。もし「increase」という単語だけを探していたら、答えを見逃してしまうでしょう。

そのため、IELTSリーディングで高得点を取るには、文章を読むスピードや語彙力だけでなく、「これは同じ意味だ」と気づくパラフレーズ認識力 が欠かせません。この記事では、試験でよく出るパラフレーズのパターンや、効果的にトレーニングする方法を紹介します。


なぜパラフレーズが重要なのか

IELTSリーディングでは、問題文に出てくる単語や表現がそのまま本文に登場することは稀です。むしろ、言葉を巧みに言い換えて受験生を惑わせるのが試験の特徴です。ここを乗り越えるには、なぜパラフレーズが試験戦略の中心になるのかを理解する必要があります。

  1. 設問と本文のズレを埋めるため
    設問で「government policy」とあっても、本文では「regulations introduced by authorities」と書かれていることがあります。単語検索だけでは答えを見つけられません。

  2. スコアに直結する力だから
    パラフレーズを見抜ければ、該当箇所を素早く特定できるため、解答時間を大幅に短縮できます。逆にこれができないと、本文全体を無駄に読み返すことになり、時間切れにつながります。

  3. IELTS特有の出題意図
    試験は単なる英単語の暗記ではなく、「意味を理解する読解力」 を測ることを目的としています。そのため、パラフレーズへの対応力が求められるのです。

要するに、パラフレーズを見抜く力は「答えを探す地図」を持っているようなもの。これを持たずにリーディングを解くのは、迷路を手探りで進むようなものです。


よく出るパラフレーズの種類

IELTSリーディングで頻出するパラフレーズには、ある程度のパターンがあります。典型的な言い換えを知っておくことで、「違う言葉だけど同じ意味だ」と気づきやすくなります。

1. 同義語の言い換え

  • : important → significant, crucial, vital

  • 単語レベルで直接的に置き換えられるケース。特にアカデミックな語彙に注意。

2. 語形の変化

  • : decide (動詞) → decision (名詞)

  • 品詞を変えて表現するパターン。語根を意識すると見抜きやすい。

3. 反意語+否定表現

  • : allow → not prevent / not forbid

  • 否定を使って意味を反転させるケースに注意。

4. 説明的言い換え

  • : consumers → people who buy products

  • 短い単語を、より長いフレーズで説明して置き換えることが多い。

5. 数字やデータの変換

  • : half → 50% → one out of two

  • 数字表現は特に見逃しやすいポイント。単位の変換も要注意。

6. イディオム・表現の変更

  • : because of → due to, owing to

  • 口語的な言い方とフォーマルな言い方が混在することがある。


パラフレーズの多くは「単語の暗記」だけでなく、文脈や表現のバリエーションを理解しているかを試す形で出題されます。そのため、単なる同義語帳ではなく、実際の文章でどう使われているかを意識して学ぶことが大切です。


パラフレーズを見抜く練習方法

パラフレーズを理解するだけではなく、実際に「見抜ける」ようになるには日常的なトレーニングが必要です。以下の方法を取り入れると、試験本番でも自然に言い換えに気づけるようになります。

1. 過去問で言い換えを探す

  • 問題文と本文を見比べて、「どの単語がどう置き換えられているか」をマークする。

  • 解答を確認するだけでなく、「パラフレーズの対応表」を自分で作ると効果的。

2. 同義語リストを作成する

  • 重要単語ごとに代表的な同義語をまとめ、単語帳のように整理する。

  • 例: increase → rise, grow, expand, surge

3. 語源・接頭辞の知識を活用

  • unfamiliar(なじみのない) = un(否定)+familiar(よく知っている)

  • 語源を理解すれば未知の単語でも意味を推測できる。

4. 英字ニュースや論文で実践

  • 見出しと本文を比べて「どう言い換えているか」を探す。

  • IELTSに近いアカデミックな言い換え表現を学べる。

5. 制限時間付きの演習

  • パラフレーズ探しに時間をかけすぎない訓練をする。

  • 「意味を推測しながら読み進める」習慣をつけることが重要。


このように意識的に練習を積み重ねると、ただ単語を暗記するよりも「読解力としてのパラフレーズ認識」が鍛えられます。


よくあるミスと対策

パラフレーズを意識していても、受験生がよく陥る落とし穴があります。本番で同じ失敗を繰り返さないために、典型的なミスとその解決策を確認しておきましょう。

1. 部分一致に惑わされる

  • ミス例: 設問に “environment” が出てきたので本文の “environmental issues” をそのまま選んでしまう。

  • 対策: 単語だけでなく文全体の意味を確認する。「部分一致=正解」と思い込まない。

2. 一語一語にこだわりすぎる

  • ミス例: 「同じ単語がないから違う」と決めつけてしまう。

  • 対策: 単語単位ではなく、「意味のまとまり(チャンク)」で理解する練習をする。

3. 数字やデータの見落とし

  • ミス例: 設問の「half」と本文の「50%」を別物だと思ってしまう。

  • 対策: 数字の変換(分数・割合・比率)に慣れる。特に単位の違いにも注意する。

4. 文脈を無視して同義語を当てはめる

  • ミス例: “bright” をすべて「明るい」と訳してしまう(実際は「頭が良い」の意味の場合も)。

  • 対策: 常に前後の文脈から意味を推測する。辞書的な意味より「その場の意味」を優先。

5. 難解な言い換えに時間をかけすぎる

  • ミス例: わからない言い換え表現に固執し、残り時間を失う。

  • 対策: わからなければ一旦飛ばし、他の設問からヒントを得て戻る習慣をつける。


パラフレーズ対策は「単語の暗記」よりも「柔軟な発想力」が重要です。つまり、「同じことを違う言葉で言えるのが英語」という感覚を身につけることが大切です。


まとめ

IELTSリーディングで高得点を取るには、単語力や読解スピードだけでなく、パラフレーズを瞬時に見抜く力が欠かせません。設問と本文が同じ言葉で対応していないのは当たり前であり、そこに気づけるかどうかが正答率を大きく左右します。

  • よく使われる言い換えパターンを知っておく

  • 過去問やニュース記事を使って「言い換え探し」を練習する

  • 文脈から意味を推測する柔軟さを身につける

これらを意識的に積み重ねていけば、試験本番でも「これは同じ意味だ」と自然に反応できるようになります。パラフレーズの力は一朝一夕では身につきませんが、コツコツと練習することで確実に伸ばすことができるスキルです。


FAQ:パラフレーズを見抜く力の鍛え方

パラフレーズとは何ですか?IELTSでなぜ重要ですか?

同じ意味を別の表現で言い換えることです。設問と本文が同じ単語で対応しないため、パラフレーズを見抜けるかが正答率と時間短縮に直結します。

どの設問タイプでパラフレーズ力が特に効きますか?

  • True/False/Not Given(文意の一致・不一致)
  • Matching Headings(見出し一致)
  • Matching Information/Features(情報・特徴対応)
  • Sentence/Note Completion(穴埋め)
  • Summary/Flow-chart Completion(要約・図表)

よく出る言い換えのパターンを教えてください

  • 同義語:important → significant, crucial
  • 語形変化:decide → decision
  • 反意語+否定:allow → not prevent
  • 説明的言い換え:consumers → people who buy products
  • 数字の変換:half ↔ 50% ↔ one out of two
  • 表現差:because of → due to/owing to

日々の学習でパラフレーズ力を鍛える最短ルートは?

  1. 過去問で設問⇄本文の対応をマーキング
  2. 見つけた言い換えを「自作対応表」に追記
  3. 語源・接頭辞(un-, sub-, trans- など)を毎日3つ暗記
  4. 英字記事の見出しと本文で言い換えを探す
  5. 制限時間(例:1パッセージ15分)で訓練

自作の同義語リストはどう作ればいいですか?

分野別(環境・教育・テクノロジー等)に見出しを作り、
「基礎語 → アカデミック同義語(例文付き)」の形式で整理します。例:increase → rise/grow/expand/surge(例文1つ)。

未知語でも言い換えに気づくコツは?

  • 語根と接辞で意味を推測:unfamiliar = un(否定)+ familiar
  • 同じトピック内の共起語(周辺語)から意味領域を推定
  • 数値・比較・因果の手がかり(% / more than / due to)を拾う

部分一致に惑わされないチェック法は?

キーワード一致後に、主語・述語・条件句(if/when/unless)まで確認して「文意単位」で照合します。単語一致=正解の思い込みを捨てること。

時間配分はどうすべき?

  • スキミング(全体把握)2〜3分
  • 設問先読み2〜3分(キーワードの同義語も想定)
  • 本文精読+定位 8〜10分
  • 見直し2分(特に数字・固有名詞・否定表現)

True/False/Not Givenでのパラフレーズ対策は?

本文の主張と設問の意味関係を判定します。“Not Given”は情報不足、部分一致ではなく根拠の有無で決めるのがコツです。

Matching Headingsのコツは?

段落の「主旨」を表すパラフレーズを探します。例:problem → challenge / obstacle、solution → approach / remedy など、抽象語の言い換えに敏感に。

数字・データの言い換えに強くなるには?

  • 分数↔百分率↔比率の相互変換を即時処理
  • 単位(yearly/annual, per capita など)を要チェック
  • 比較級(twice as X as / double / twofold)の把握

語彙の暗記以外で鍛える練習メニューは?

1日1段落を「別表現で3通りに言い換える」リライト練習。自分で言い換えると、出題側の発想を身につけられます。

よくあるミスと対策は?

  • 単語ベースで判断 → 文意・論理関係で判断に切替
  • 難語に固執 → いったん飛ばして他設問から手掛かり収集
  • 数字の取り違え → 単位・割合・対象の一致を再確認

直前期の仕上げ法は?

  1. 頻出トピック別の同義語表を最終整理
  2. 過去問で「設問⇄本文」の言い換え線引きのみを高速で実施
  3. 誤答ノートのパラフレーズ原因(否定/比較/数字/語義)を分類復習

おすすめの自己チェック質問は?

  • 設問の核(主語・述語・条件)は本文で同じ意味か?
  • 数字・単位・比較関係は一致しているか?
  • 同義語ではなく「文脈」で意味が一致しているか?

IELTS Reading(リーディング対策)・総合ガイド【2025-2026年版】

IELTS受験総合ガイド – 完全攻略【2025−2026年版】

類似投稿