セブ島不動産詐欺の手口と回避方法
1. はじめに
近年、セブ島は美しいビーチや温暖な気候だけでなく、生活コストの安さや経済成長の勢いから、
移住先・別荘購入・投資用不動産として注目を集めています。
特に外国人投資家やリタイアメント層にとっては、比較的手頃な価格でコンドミニアムや住宅を購入できることが大きな魅力です。
しかし、その人気の裏側では、不動産取引に関するトラブルや詐欺の被害が後を絶ちません。
土地権利が不明確なまま販売されたり、建設が途中で止まり物件が完成しなかったり、
さらには賃貸契約で保証金だけ奪われるケースも発生しています。
こうした被害の多くは、事前の調査不足や現地の法律・商習慣への理解不足から起こります。
本記事では、セブ島でよくある不動産詐欺の手口と、その回避方法を具体的に解説します。
安全かつ確実な取引を行うための基礎知識として、ぜひ参考にしてください。
2. セブ島でよくある不動産詐欺の手口
セブ島の不動産市場は活況を呈していますが、それに比例して詐欺やトラブルの報告も増えています。
ここでは、特に被害事例の多い代表的な手口を整理します。
2-1. 所有権が不明確な物件販売
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**偽造された権利証(Title)**を提示して売却するケース。 
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売主が正式な所有者ではなく、他人の名義を使っている場合もあります。 
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同じ物件を複数の買主に売る「二重売却」も実際に発生。 
2-2. 未完成プロジェクト詐欺
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建設許可や資金計画が不十分なまま販売を開始し、途中で工事が中断。 
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デベロッパーが資金を持ち逃げし、完成しないまま消えることも。 
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モデルルームや広告写真だけを見せて契約させる手口が典型的。 
2-3. 賃貸詐欺(ダブルブッキング・前金持ち逃げ)
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実際には貸す権利がない物件を仲介し、前金や保証金だけ受け取って行方不明になる。 
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同じ部屋を複数人に契約させる「ダブルブッキング」も発生。 
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特にオンライン掲示板やSNS経由の個人取引で多発。 
2-4. 過剰な手数料・不透明な契約条件
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外国人だからと相場以上の価格や手数料を請求されるケース。 
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契約書が英語や現地語のみで、不利な条件が隠されている場合も。 
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「この条件はセブでは普通」と言って押し切る悪質業者も存在。 
2-5. 偽仲介業者による詐欺
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正式なライセンスを持たない人物がブローカーを名乗り取引を仲介。 
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取引完了後、連絡不能になる。 
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名刺やオフィスがあっても安心はできず、ライセンス番号の確認が必須。 
このような手口は、日本の常識や法律感覚では想定しにくく、現地に不慣れな外国人が狙われやすい傾向があります。
3. 詐欺を回避するためのチェックポイント
セブ島で安全に不動産取引を行うためには、事前の調査と慎重な対応が不可欠です。
以下のチェックポイントを押さえておくことで、多くの詐欺やトラブルを回避できます。
3-1. 権利証と登記の確認
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物件の TCT(Transfer Certificate of Title) または CCT(Condominium Certificate of Title) を必ず提示してもらい、 
 Registry of Deeds(登記所) で真正性を確認する。
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売主の名前と権利証の名義が一致しているか照合。 
3-2. ライセンスのある仲介業者を利用
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PRC(Professional Regulation Commission)に登録された正規不動産ブローカーか必ず確認。 
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ライセンス番号を聞き、オンラインで照合可能。 
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セールスエージェントの場合も、必ずブローカーの指導下で活動しているかを確認する。 
3-3. デベロッパーの実績と評判を調査
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過去のプロジェクトが予定通り完成しているか確認。 
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地元ニュースやSNSの口コミ、フォーラムで評判を調べる。 
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モデルルームだけで判断せず、実際に完成済み物件を見学するのが望ましい。 
3-4. 契約書の内容を第三者にチェックしてもらう
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弁護士や現地の不動産法に詳しい専門家に契約内容を確認依頼。 
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特に 支払いスケジュール、権利移転時期、キャンセルポリシー の3点を重点的に確認。 
3-5. 支払い方法の慎重な選択
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現金手渡しは避け、銀行振込やエスクローサービスを利用。 
- 
領収証・契約関連の書類は必ずコピーを保管する。 
- 
「全額前払い」を求める相手は要注意。 
3-6. 現地確認を怠らない
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写真や動画だけで判断せず、必ず現地訪問。 
- 
周辺環境や交通アクセス、治安も自分の目で確かめる。 
このような事前準備と確認を徹底すれば、不動産取引の安全性は格段に高まります。
4. まとめ
セブ島の不動産市場は、リゾート開発や経済成長によって今後も注目が集まるエリアです。
しかし、その成長スピードに比例して、不正や詐欺の温床にもなりやすい側面があります。
今回紹介したように、
- 
所有権の不明確な物件 
- 
未完成で放置されるプロジェクト 
- 
賃貸のダブルブッキングや前金持ち逃げ 
- 
不透明な契約条件や過剰手数料 
- 
無免許ブローカーの介入 
 といった手口は実際に発生しており、日本の常識だけでは防ぎきれません。
詐欺を回避するための最大の武器は、情報と慎重さです。
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権利証の正当性を確認する 
- 
正規ライセンスを持つ仲介業者だけを利用する 
- 
契約書は専門家にチェックさせる 
- 
支払いは安全な方法を選び記録を残す 
- 
現地確認を必ず行う 
これらを徹底すれば、ほとんどの詐欺は未然に防ぐことができます。
セブ島での不動産取引は、正しい知識と信頼できるパートナーを持てば、大きな魅力と価値をもたらします。
「安易に契約しない」「納得できるまで調べる」という姿勢を忘れず、安全で満足のいく取引を実現してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. フィリピン(セブ島)で外国人は土地を購入できますか?
外国人は原則として土地の直接所有はできません。一般的には、コンドミニアム(区分所有)を購入するか、現地法人や長期賃貸(リース)を活用します。コンドミニアムはプロジェクト全体の外国人所有比率が最大40%までという上限があります。
Q2. 権利証の真偽はどう確認すればいいですか?
物件の種類に応じて TCT(Transfer Certificate of Title) または CCT(Condominium Certificate of Title) を提示してもらい、Registry of Deeds(登記所)で最新の認証コピーを取得して照合します。名義人と売主の身元(ID)一致も必須です。
Q3. 安全な支払い方法は?現金は避けるべき?
現金手渡しは避け、銀行振込やエスクローの利用を推奨します。領収証・送金控え・請求書はすべて保管し、支払いは契約の進捗(マイルストーン)連動にするのが安全です。
Q4. 正規の不動産ブローカーかどうかを見分けるには?
PRC(Professional Regulation Commission)登録の有無とライセンス番号を確認します。名刺やSNSだけでは信用せず、有効期限・氏名・番号を必ず検証してください。セールスエージェントは登録ブローカーの監督下で活動しているかも確認を。
Q5. 未完成(プリセール)物件を買う際の必須チェックは?
- License to Sell(LTS)が発行済みか
- 開発許可・建築許可・環境関連許可の整合性
- デベロッパーの過去プロジェクトの完工実績と遅延歴
- 支払い・引渡し・違約・返金に関する条項の明確化
Q6. 賃貸の前金持ち逃げ・ダブルブッキングを防ぐには?
- 所有者または正式代理人のID・委任状を確認
- 鍵の受け渡し・入居前点検と同時の支払いに限定
- オンライン個人取引は避け、管理会社・正規仲介経由で契約
- 賃貸契約書にデポジット返金条件や修繕負担を書面化
Q7. 契約書で特に注意すべき条項は?
- 物件特定情報(面積、区画/ユニット番号、付帯設備)
- 支払いスケジュールと遅延損害・違約金の基準
- 名義移転の時期・条件(引渡し、残代金支払い、税費負担)
- キャンセル・返金条項(買主・売主都合の双方)
- 紛争解決の準拠法・合意管轄
内容は必ず弁護士や不動産法に詳しい専門家にレビューしてもらいましょう。
Q8. 相場より高い見積もりや不透明な手数料が出たら?
見積内訳を明細化してもらい、複数社から比較見積を取得します。相場から大きく乖離している場合や、理由の説明が曖昧な場合は取引を見送る判断が安全です。
Q9. 現地視察は必須?いつ何を確認すべき?
必須です。昼夜・平日/週末で複数回の視察が理想。騒音、治安、渋滞、洪水履歴、周辺開発計画、管理状態、実測面積と図面の差異、共用部の維持管理などをチェックします。
Q10. 名義移転時の税金や費用は誰が負担しますか?
慣行は案件ごとに異なるため、契約で明文化が原則です。例として、キャピタルゲイン税・印紙税・登記費用・仲介手数料などの分担を事前に合意し、支払時期も明確にします。
Q11. オンラインだけで契約しても大丈夫?
非推奨です。写真や動画は容易に加工可能で、詐欺の温床になりがちです。最低でも現地確認、リモートの場合は信頼できる第三者の実踏・検品レポートとエスクローを組み合わせてください。
Q12. 詐欺の兆候(レッドフラッグ)は?
- 異常に好条件(相場より大幅安・即決要求)
- 証拠書類の提示拒否やコピーの不鮮明さ
- ライセンス番号の開示回避、担当者の頻繁な変更
- 現金前払いの強要、領収書の不発行
- 質問に対する一貫性のない説明や返信遅延
Q13. トラブル発生時はどこに相談すべき?
まずは契約書の準拠法・合意管轄に従い、弁護士へ相談。仲介やデベロッパーに苦情窓口がある場合は書面で通知し、やり取りは記録化します。必要に応じて関係当局(登記所、規制当局)や消費者保護窓口のガイダンスも検討してください。
Q14. デポジット(保証金)は100%返金されますか?
契約条件と退去時の物件状態により異なります。原状回復の範囲、違約・清掃費、光熱費清算などの控除条件を事前に書面化し、退去前に合同立会い点検を行うとトラブルを減らせます。
Q15. 個人間売買は危険ですか?
リスクは高めです。権利確認・本人確認・契約書作成・税費清算などの難易度が上がるため、正規ブローカーや弁護士の関与、エスクロー利用を強く推奨します。

 
		 
		 
			 
			 
			 
			 
			