IELTSスピーキング対策:IELTS SpeakingとTOEFL Speakingの違い比較と対策

はじめに

海外留学や移住、キャリアアップを目指す人にとって、英語力を証明する試験として**IELTS(アイエルツ)TOEFL(トーフル)**は代表的な選択肢です。どちらもスピーキング力を測る試験を含んでいますが、実際に受験してみると「まったく別の試験」と感じるほど形式や求められる力が違います。

IELTS Speakingは試験官と1対1で会話を行うため、自然なコミュニケーション力や発音、流暢さが重視されます。一方でTOEFL Speakingはパソコンに向かって録音回答を行う形式で、論理的な構成力や短時間での情報整理能力が問われます。

そのため、同じ「英語で話す試験」でも、準備の仕方や伸ばすべきスキルが異なります。本記事では、IELTS SpeakingとTOEFL Speakingの違いを徹底比較し、それぞれに適した対策法を解説します。


IELTS SpeakingとTOEFL Speakingの概要

IELTS Speakingの特徴

  • 形式:試験官との1対1の面接

  • 時間:約11〜14分

  • 構成:3つのパート(自己紹介・個人スピーチ・ディスカッション)

  • 特徴:実際の会話に近い形式で、自然な英語運用力を確認される

  • 目的:日常会話から意見交換まで、幅広いコミュニケーション力を測定

TOEFL Speakingの特徴

  • 形式:コンピュータに向かってマイクで回答を録音

  • 時間:全体で約17分

  • 構成:4タスク(独立型1問+統合型3問)

  • 特徴:リーディングやリスニングと組み合わせた統合問題が中心

  • 目的:学術的環境での発表力や要約力を測定

大まかな違い

  • IELTS:人と対面で会話を行う → 「コミュニケーション力」重視

  • TOEFL:録音での一方向的発話 → 「論理構成力・要約力」重視


試験形式の違い

IELTS Speaking

IELTSのスピーキングは、試験官との対面式インタビューで行われます。大きく3つのパートに分かれています。

  • Part 1(自己紹介・身近な質問)
    約4〜5分。名前や出身、趣味、日常生活に関する質問が中心で、緊張をほぐしながら会話を始めます。

  • Part 2(スピーチ課題:Cue Card)
    約3〜4分。お題カードが与えられ、1分で準備したあとに1〜2分間スピーチを行います。即興で構成力や流暢さを発揮する必要があります。

  • Part 3(ディスカッション)
    約4〜5分。Part 2のテーマを発展させた抽象的・社会的なトピックについて、試験官と議論を行います。論理的な思考力や意見交換の力が試されます。

ポイント:自然な会話を続けること、意見を具体例と共に展開できることが重要。


TOEFL Speaking

TOEFLのスピーキングは、PCに向かってマイクに回答を録音する形式です。全4タスクで構成されています。

  • Task 1(独立型)
    日常的・身近なテーマについて、自分の意見を述べる。準備15秒、回答45秒。

  • Task 2(統合型:リスニング+リーディング+スピーキング)
    短い文章と会話を読み聞きし、その内容をまとめて回答。準備30秒、回答60秒。

  • Task 3(統合型:学術的リスニング+スピーキング)
    講義を聞き、要点を整理して説明。準備20秒、回答60秒。

  • Task 4(統合型:学術的リーディング+リスニング+スピーキング)
    学術的な文章を読み、関連する講義を聞き、統合して説明。準備30秒、回答60秒。

ポイント:限られた時間で情報を整理し、構造的に答えるスキルが求められる。


まとめ

  • IELTSは「人と会話する力」

  • TOEFLは「情報処理+論理的な説明力」


評価基準の違い

IELTS Speakingの評価基準

IELTS Speakingは、試験官が4つの観点で受験者を評価します。

  1. Fluency and Coherence(流暢さと一貫性)

    • 詰まらずに話せるか

    • 論理的にアイデアをつなげられるか

  2. Lexical Resource(語彙力)

    • 適切な語彙を幅広く使えるか

    • 言い換え表現(paraphrasing)ができるか

  3. Grammatical Range and Accuracy(文法の多様性と正確さ)

    • 時制や文構造を正しく使えるか

    • 複雑な文を組み立てられるか

  4. Pronunciation(発音)

    • 明瞭に聞き取れる発音か

    • アクセントやイントネーションが自然か

特徴:会話の自然さや「伝わりやすさ」を重視。


TOEFL Speakingの評価基準

TOEFL Speakingは、録音された回答を採点官とAIが評価します。基準は主に3つです。

  1. Delivery(伝達の明瞭さ)

    • 発音やイントネーションが聞きやすいか

    • スムーズで途切れのない話し方ができるか

  2. Language Use(言語の正確さと多様性)

    • 文法や語彙を正確に使えるか

    • 適切に表現を使い分けられるか

  3. Topic Development(内容の展開)

    • 論理的で一貫した回答か

    • 主張を理由や具体例で支えられているか

特徴:回答の構造性・内容の充実度を強く評価。


違いのポイント

  • IELTS:自然な会話力を総合的に評価

  • TOEFL:短時間で論理的にまとめる力を重視


対策法の違い

IELTS Speaking対策

  1. 模擬面接で練習
    実際の試験官との会話形式に慣れることが重要。友人や講師と模擬面接を行い、即興で答える練習を重ねましょう。

  2. スピーチ力を鍛える
    Part 2では1〜2分間のスピーチが必須。日常的に「トピックを決めて1分準備→2分話す」練習を繰り返すと効果的です。

  3. 自然なイントネーションを意識
    IELTSではアクセントよりも「聞き取りやすさ」が重視されるため、抑揚や区切り方を意識して練習。

  4. 多様なテーマで会話練習
    抽象的なトピック(教育、環境、テクノロジーなど)について自分の意見を述べる習慣をつける。


TOEFL Speaking対策

  1. 時間制限で録音練習
    TOEFLは準備15〜30秒、回答45〜60秒と厳しい制限あり。ストップウォッチで測りながら練習することが必須。

  2. ノートテイキング力を強化
    統合型タスクでは、リーディングやリスニングから要点をメモしてまとめる力が求められる。独自の省略記号やキーワード記録法を確立すると有利。

  3. 構造的に答える訓練
    「序論 → 理由1 → 理由2 → 結論」のフレームを常に意識し、短時間で整理して話せるようにする。

  4. 学術的なテーマに慣れる
    講義要約や専門用語を使った説明が求められるため、英語のアカデミック教材や大学講義動画を活用して練習。


対策の方向性まとめ

  • IELTS:対話力と自然さを磨く → 模擬面接・スピーチ練習中心

  • TOEFL:論理構成力と時間管理を鍛える → 録音練習・ノートテイキング中心


学習の優先ポイント

IELTSに向いている人

  • 人と会話するのが得意

  • 自然な会話や雑談を英語で楽しめる

  • 即興でアイデアを膨らませて話すことができる
    対話型でコミュニケーション力を評価するため、「会話感覚で英語を使える人」に有利。

TOEFLに向いている人

  • 論理的に話を整理するのが得意

  • 短時間で要点をまとめられる

  • アカデミックな内容に抵抗がない
    構造的な回答や情報処理力を重視するため、「論理的思考を英語で展開できる人」に有利。

試験選びのポイント

  • 留学先がイギリス・オーストラリア系 → IELTSが主流

  • アメリカ・カナダの大学進学 → TOEFLが主流

  • 自分の得意なスピーキングスタイルに合わせて選ぶのが最も効率的。


まとめ

IELTS SpeakingとTOEFL Speakingは、同じ「スピーキング力」を測る試験でありながら、試験形式・評価基準・必要なスキルが大きく異なります。

  • IELTS Speaking:試験官との対面式。自然な会話力・発音・流暢さを重視。

  • TOEFL Speaking:録音式。短時間での論理的な構成力・情報整理力を重視。

受験者に求められる力は以下のように整理できます。

  • IELTS → 会話力・即興力・自然さ

  • TOEFL → 論理力・要約力・時間管理

どちらを選ぶべきかは、進学・移住の目的地の要件自分の強みによって決まります。
試験の違いを理解し、自分に合った学習スタイルで準備を進めることが、目標スコア達成への近道です。


FAQ:IELTSスピーキング対策:IELTS SpeakingとTOEFL Speakingの違い比較と対策

IELTSとTOEFLのスピーキングはどちらが自分に向いている?

対面で自然に会話するのが得意ならIELTS、短時間で論理的に構成して話すのが得意ならTOEFLが向いています。進学先の要件(国・大学)も必ず確認しましょう。

スピーキング形式の最大の違いは?

IELTSは試験官と1対1の面接、TOEFLはPCに向かって回答を録音します。IELTSは対話のキャッチボール、TOEFLは時間管理と構造化が鍵です。

評価基準はどう違う?

  • IELTS:流暢さと一貫性/語彙/文法の多様性と正確さ/発音
  • TOEFL:Delivery(明瞭さ)/Language Use(語彙・文法)/Topic Development(論理展開)

準備期間はどのくらい必要?

目安として、現状から目標まで0.5〜1.0バンド(IELTS)または3〜5点(TOEFL Speaking)上げるには4〜8週間の集中練習が目安です(週5日・1日60〜90分)。

発音はどの程度重視される?アクセントは不利?

どちらの試験も「明瞭さ」が重視され、特定のアクセントは不利になりません。抑揚・区切り・強弱で伝わりやすさを上げましょう。

IELTSのPart 2(Cue Card)が苦手。どう練習する?

  • 1分準備で「導入→要点3つ→まとめ」の骨格をメモ
  • 時間配分は導入15秒・要点各25秒・まとめ15秒が目安
  • 日替わりトピックで「1分準備→2分スピーチ」を毎日3本

TOEFLの統合型が難しい。対策のコアは?

  • ノートテイキング:誰が何を主張/理由・例/対比を記号化
  • テンプレ:Claim → Reason 1 → Example → Reason 2 → Wrap を60秒に収める
  • 音源は1回しか聞けない前提で「要点キーワードのみ」記録

時間内に話し終えられない/余る問題の解決法は?

  • 45〜60秒回答は「文数で管理」(5〜7文を基準)
  • 各文の役割(主張/理由/例/締め)を固定化
  • 録音→スクリプト起こし→不要語の削減で尺を最適化

よくある減点パターンは?

  • IELTS:言い換え不足、単文の羅列、相手への応答が浅い
  • TOEFL:冒頭で主張が不明、例が長すぎる、読み上げ調のDelivery

自習だけで伸ばすコツは?

  • 毎日10分の「音読→シャドーイング→要約スピーク」の三段練
  • 週2回は「模擬本番(計測・録音・自己採点)」
  • 語彙は「抽象語+つなぎ表現」に集中投資(in terms of, as a result, moreover など)

バンド(IELTS)とTOEFL Speakingの目安換算は?

目安として、IELTS 6.0 ≈ TOEFL Speaking 22–24、IELTS 6.5 ≈ 25–27、IELTS 7.0 ≈ 27–29 程度。実出題や得意・苦手で上下します。

学習計画のモデル(週5日・4週間)は?

  1. 週1:形式理解+テンプレ作成/Part 2・Task1の型を固める
  2. 週2:録音→自己採点ループ/弱点別ドリル(言い換え・接続)
  3. 週3:模試2回+フィードバック反映/統合型・Part 3強化
  4. 週4:本番シミュレーション(3回)+休息と調整

本番で緊張する。直前のメンタル対策は?

  • 開始60分前に「型の再確認」だけ、暗記の詰め込みはしない
  • 初手フレーズを3種用意(例:To begin with, I’d say…
  • 姿勢・呼吸・笑顔で声の通りを安定化

オンライン英会話やAIはどう活用する?

IELTSは模擬面接(双方向性)中心、TOEFLは録音+自己採点中心。AIには「構成の欠落」「冗長表現」を指摘させ、最終は人フィードバックで自然さを微調整。

どちらも受ける予定。学習を共通化できる?

共通コアは「明瞭な発音・接続詞の運用・例示力」。分岐は、IELTSで対話の展開と追問対応、TOEFLで時間内の構造化とノートテイキングを個別強化します。

当日の持ち物・技術面で注意すべきことは?

  • IELTS:身分証の確認、入室までの待機時間に口慣らし
  • TOEFL:マイク位置・音量チェック、カウントダウン表示に慣れておく

スコアが伸び悩むときのチェックリストは?

  • 冒頭10秒で主張やテーマを明示できているか
  • 各回答に「理由+具体例」が最低1セット入っているか
  • 言い換え・接続のバリエーションが1回答で3つ以上あるか
  • 録音を週2回以上、客観評価(自己 or 第三者)しているか

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