目次
OETとは何か|看護師が知るべき試験の全体像
はじめに
海外で看護師として働く、あるいは国際的に通用するキャリアを築くうえで、英語力の証明は欠かせない要素です。
その中でも近年、多くの国や医療機関で採用されているのが OET(Occupational English Test) という試験です。
OETは、一般的な英語試験とは異なり、医療従事者の業務に特化して設計された英語試験です。
特に看護師向けOETでは、患者対応、医師とのコミュニケーション、看護記録や紹介状の作成など、実際の看護現場を想定した内容が評価対象となります。
「海外で働くにはIELTSが必要」と思われがちですが、現在では多くの国でOETが正式に認められており、
看護師にとっては、より実務に即した、現実的な選択肢となっています。
本ページでは、これからOET対策を始める看護師の方に向けて、
-
OETとはどのような試験なのか
-
なぜ看護師にOETが選ばれているのか
-
試験の全体構成と評価の考え方
といったポイントを、基礎から分かりやすく解説していきます。
「OETという名前は聞いたことがあるけれど、よく分からない」
「海外看護師を目指したいが、何から始めればいいか迷っている」
そんな方が、OET対策の全体像をつかむための入り口として、ぜひ参考にしてください。
OETとは何か
OET(Occupational English Test)は、医療・ヘルスケア従事者向けに開発された英語能力試験です。
医師、看護師、歯科医、薬剤師など、職種ごとに試験内容が分かれており、それぞれの専門業務に必要な英語力を測定することを目的としています。
OETはオーストラリアで開発され、現在では以下のような国・地域で、医療従事者の英語試験として正式に認められています。
-
オーストラリア
-
イギリス
-
ニュージーランド
-
アイルランド
-
シンガポール
-
UAE(ドバイなど)
特に看護師については、海外の看護師登録機関や雇用主がOETスコアを英語要件として採用するケースが年々増えています。
看護師向けOETの特徴
看護師向けOETの最大の特徴は、試験内容がすべて看護業務を前提としている点です。
例えば試験では、
-
患者の症状を聞き取る
-
治療や検査内容を分かりやすく説明する
-
医師や他職種に情報を正確に伝える
-
紹介状や退院サマリーを書く
といった、実際の看護現場で日常的に行うコミュニケーションがそのまま出題されます。
そのため、英語そのものが完璧でなくても、
「看護師としての経験」や「医療知識」が大きな強みになる試験と言えます。
一般的な英語試験との違い
OETは、IELTSやTOEFLといった一般英語試験とは、目的そのものが異なります。
一般英語試験が
「英語をどれだけ幅広く使えるか」
を評価するのに対し、
OETは
「英語で安全に医療行為・患者対応ができるか」
を評価します。
そのため、
-
アカデミックなエッセイ
-
医療と無関係な長文トピック
-
日常生活中心の英会話
といった内容は、OETではほとんど出題されません。
看護師にとって不要な英語を極力省き、
現場で本当に必要な英語力だけを測る試験
それがOETです。
OETの試験構成(看護師向け)
OETは、英語の4技能である Listening・Reading・Writing・Speaking の4つのパートで構成されています。
いずれも看護師としての業務を想定した内容になっており、単なる英語力ではなく、医療現場での実践的な英語運用能力が評価されます。
Listening(リスニング)
Listeningでは、医療現場で実際に起こり得る会話を聞き取り、必要な情報を正確に理解する力が求められます。
音声の例としては、
-
看護師と患者の会話
-
医師による説明
-
医療スタッフ同士のディスカッション
などがあり、病院やクリニックの現場をそのまま再現した内容になっています。
日常英会話よりも、症状・治療・検査・服薬といった医療関連の語彙理解が重要になります。
Reading(リーディング)
Readingでは、医療文書や資料を読み、必要な情報を素早く正確に把握する力が問われます。
出題される内容には、
-
医療ガイドライン
-
患者情報シート
-
看護・治療に関する説明文
などが含まれます。
すべてを完璧に訳す力よりも、
「今必要な情報を見つけ出す力」 が重視されるのが特徴です。
Writing(ライティング)
Writingは、多くの看護師が最も難しいと感じるパートです。
同時に、対策次第で最もスコアを伸ばしやすいパートでもあります。
看護師向けOET Writingでは、
-
紹介状
-
退院サマリー
-
引き継ぎ文書
など、実際の業務で使われる文書を作成します。
重要なのは英語の難しさではなく、
-
情報の取捨選択
-
読み手(医師・他職種)を意識した構成
-
看護師として適切な表現
といった**「医療文書としての完成度」**です。
Speaking(スピーキング)
Speakingはロールプレイ形式で行われ、試験官が患者役を担当します。
受験者は看護師として、与えられたシナリオに沿って対応します。
評価されるポイントは、
-
患者に配慮した話し方
-
分かりやすい説明
-
適切な質問と確認
など、実際の患者対応そのものです。
流暢さだけでなく、
「安全で信頼できる看護師として話せているか」
が重視されます。
OETのスコア評価(A〜E)と看護師に求められる基準
OETでは、各パート(Listening / Reading / Writing / Speaking)ごとに、A〜Eの5段階評価が行われます。
合否は総合点ではなく、各技能ごとに基準を満たしているかで判断される点が特徴です。
OETスコアの評価基準
OETの評価は以下のように分かれています。
-
A:非常に高い英語運用能力
-
B:医療現場で安全かつ効果的に英語を使用できる
-
C+ / C:限定的な場面で英語使用が可能
-
D:英語運用に大きな制限がある
-
E:実務での英語使用が困難
多くの国・看護師登録機関では、
全パートで「B以上」
を英語要件として設定しています。
看護師にとっての「B評価」とは
OETのB評価は、
「英語で安全に看護業務を行えるレベル」
を意味します。
これは、
-
ネイティブレベルの完璧な英語
-
難解な単語や表現
を求められているわけではありません。
むしろ重要なのは、
-
患者に誤解を与えない説明ができる
-
必要な情報を正確に伝えられる
-
専門職として適切なコミュニケーションが取れる
といった、実務上の安全性と明確さです。
IELTSとのスコア比較(目安)
よく比較されるIELTSとの関係について、一般的な目安は以下の通りです。
-
OET B ≒ IELTS 7.0 前後
ただし、これはあくまで参考値です。
OETとIELTSは試験目的が異なるため、単純な換算はできません。
実際には、
-
IELTSでは苦戦していた看護師がOETではBを取得できた
-
一般英語より看護英語の方が理解しやすい
というケースも多く見られます。
全パートBが求められる理由
医療現場では、
-
小さな聞き間違い
-
曖昧な表現
-
不十分な説明
が、患者の安全に直接影響します。
そのためOETでは、
「どこか1つが得意」ではなく、
すべての技能で一定以上の英語力を備えていること
が重視されます。
看護師がOET対策でつまずきやすいポイント
OETは看護師に特化した英語試験とはいえ、何の対策もせずに合格できる試験ではありません。
特に初めてOETに挑戦する看護師の多くが、いくつか共通したポイントでつまずきます。
ここでは、看護師がOET対策で直面しやすい課題を整理します。
Writing(ライティング)で点が取れない
最も多い悩みが、WritingでBに届かないというケースです。
理由として多いのは、
-
情報を詰め込みすぎてしまう
-
必要な情報と不要な情報の区別ができない
-
英語表現以前に「文書構成」が分かっていない
OET Writingでは、英語の難しさよりも
「誰に・何を・どの順番で伝えるか」
が厳しく評価されます。
そのため、一般的な英作文の感覚のまま書くと、スコアが伸びにくくなります。
Speakingで「看護師らしさ」が出せない
Speakingでは、英語を話そうとするあまり、
-
説明が一方的になる
-
患者への配慮が不足する
-
確認や共感表現が抜ける
といった点で評価を落とすことがあります。
OET Speakingでは、
流暢さよりも、患者中心のコミュニケーション
が重要です。
実際の看護現場と同じように、
-
相手の不安に配慮する
-
分かりやすい言葉に言い換える
といった姿勢がそのままスコアに反映されます。
Listening / Readingの時間配分
ListeningやReadingでは、
「内容は分かるのに時間が足りない」
という悩みも多く聞かれます。
OETでは、
-
医療情報を素早く処理する力
-
必要な情報だけを拾う力
が求められるため、
すべてを理解しようとすると時間切れになりやすいのです。
英語力以前に「試験の型」を知らない
意外と多いのが、
OETという試験のルールや評価基準を知らないまま勉強してしまうケースです。
OETは、
-
書き方の型
-
話し方の流れ
-
採点者が見ているポイント
が比較的はっきりしています。
これを知らずに独学で進めると、
努力のわりに結果が出にくくなります。
OETは英語が苦手な看護師でも合格できるのか
結論から言うと、英語が得意でなくても、OETでB評価を取得することは十分に可能です。
実際に、一般的な英語試験では苦戦していた看護師が、OETでは基準をクリアしているケースは少なくありません。
その理由は、OETが「英語の試験」であると同時に、
**「看護師としての実務能力を英語で評価する試験」**だからです。
看護経験がそのまま強みになる
OETでは、
-
患者への説明の仕方
-
情報の整理力
-
安全を意識したコミュニケーション
といった、看護師として日々行っている行動が評価対象になります。
そのため、
-
医療現場の流れを理解している
-
患者対応の感覚が身についている
看護師ほど、OETの内容を「理解しやすい」と感じる傾向があります。
求められているのは「完璧な英語」ではない
OETで求められるのは、
-
難しい単語
-
ネイティブのような表現
ではありません。
むしろ重視されるのは、
-
誤解を生まない表現
-
分かりやすさ
-
医療従事者としての適切さ
です。
多少文法ミスがあっても、
意味が明確で、安全なコミュニケーションができていれば評価されるのがOETの特徴です。
正しい対策をすれば、遠回りしなくて済む
「英語が苦手だから、まずは基礎英語から…」と考える方も多いですが、
OET対策では必ずしもそれが最短ルートとは限りません。
OETには、
-
Writingの型
-
Speakingの流れ
-
Listening / Readingの解き方
といった明確な対策ポイントがあります。
これを理解した上で学習を進めることで、
必要以上に遠回りせず、効率的にスコアアップを目指すことが可能です。
不安があるのは当たり前
海外で働く、英語試験を受ける、というのは、
多くの看護師にとって大きな挑戦です。
「本当に自分にできるのか」と不安になるのは、決して特別なことではありません。
大切なのは、
OETの全体像を正しく理解し、自分に合った対策を選ぶことです。
まとめ|OETは看護師のために設計された英語試験
OET(Occupational English Test)は、単なる英語能力を測る試験ではなく、
「英語で安全に看護業務を行えるか」を評価する、看護師のための専門試験です。
試験内容はすべて医療現場を前提としており、
Listening・Reading・Writing・Speakingの4技能それぞれで、
実務に直結する英語力が問われます。
特に看護師にとっては、
-
実際の業務経験が強みになる
-
一般英語試験より内容が理解しやすい
-
正しい対策をすれば効率的にB評価を目指せる
という点で、非常に現実的な試験だと言えます。
一方で、OETには独自の評価基準や「型」があり、
それを知らずに学習を進めてしまうと、
努力のわりにスコアが伸びにくくなることも事実です。
だからこそ、
OETの全体像を正しく理解したうえで、看護師向けに最適化された対策を行うこと
が、合格への近道になります。
このピラーページでは、OETを初めて知った方が
「OETとは何か」「なぜ看護師に向いているのか」「どんな試験なのか」
を一通り把握できるよう、全体像を解説しました。
この先は、
-
各パート別の具体的な対策
-
Writing・SpeakingでBを取るための考え方
-
効率的な学習ロードマップ
を理解していくことで、OET合格がより現実的になっていきます。
