IELTSリスニング対策: イギリス英語アクセント対策

はじめに

IELTSリスニングでは、アメリカ英語だけでなく、イギリス・オーストラリア・ニュージーランドなど、多様な英語アクセントが登場します。その中でも特に頻出するのが イギリス英語アクセント です。

普段アメリカ英語に慣れている受験者にとって、イギリス英語は母音の長さや発音の仕方、イントネーションの違いから「聞き慣れない」と感じることが多く、リスニングの得点を下げてしまう原因になりやすい部分でもあります。

しかし、イギリス英語には独自のリズムや発音ルールがあるため、特徴を知っておけば聞き取りやすくなり、試験本番でも余裕を持って対応できるようになります。本記事では、イギリス英語アクセントの基本的な特徴と、効率的に耳を慣らす練習法を解説します。


イギリス英語アクセントの特徴

IELTSリスニングでよく聞かれるイギリス英語には、アメリカ英語と比べていくつかの顕著な違いがあります。主なポイントを押さえておくと、聞き取りに戸惑うことが減ります。

1. 母音の違い

イギリス英語は、母音を長く伸ばして発音する傾向があります。

  • 例:「bath」「glass」 → /bɑːθ/, /ɡlɑːs/
    (アメリカ英語: /bæθ/, /ɡlæs/)

2. R音が弱い(non-rhotic)

語末や子音の前の「R」はほとんど発音されません。

  • 例:「car」 → /kɑː/
    (アメリカ英語: /kɑr/)

3. 単語ストレスやイントネーションの違い

イギリス英語は全体的にフラットで落ち着いたイントネーションに聞こえ、アメリカ英語のような大きな抑揚は少ない傾向があります。

4. 語彙・発音のバリエーション

同じ単語でも発音が異なる場合があります。

  • 「schedule」 → /ˈʃed.juːl/

  • 「advertisement」 → /ədˈvɜː.tɪs.mənt/

このような違いを理解しておくことで、リスニング中に「知らない単語だ」と思い込むリスクを減らせます。


リスニングに出やすいイギリス発音の例

IELTSリスニングでは、同じ単語でもアメリカ英語とイギリス英語で発音が大きく異なることがあります。ここでは特に試験に出やすい代表的な単語を紹介します。

単語ごとの違い

  • schedule
    イギリス英語: /ˈʃed.juːl/
    アメリカ英語: /ˈskedʒ.uːl/

  • advertisement
    イギリス英語: /ədˈvɜː.tɪs.mənt/
    アメリカ英語: /ˌæd.vərˈtaɪz.mənt/

  • tomato
    イギリス英語: /təˈmɑː.təʊ/
    アメリカ英語: /təˈmeɪ.toʊ/

  • garage
    イギリス英語: /ˈɡær.ɑːʒ/ または /ˈɡær.ɪdʒ/
    アメリカ英語: /ɡəˈrɑːʒ/

  • mobile(携帯電話)
    イギリス英語: /ˈməʊ.baɪl/
    アメリカ英語: /ˈmoʊ.bəl/

ポイント

  • 試験中に聞き慣れない発音が出ても、意味を推測できるように 「英米で発音が違う単語リスト」を事前に学習しておくと安心です。

  • 特に 日常生活に関わる単語(野菜・道具・日用品)学術的な単語 は差が出やすいため要チェックです。


効果的な練習方法

イギリス英語アクセントに慣れるには、日常的に耳を鍛えることが大切です。以下の方法を組み合わせることで、短期間でも効率よく理解力を高められます。

1. BBCニュースを活用する

BBCは標準的なイギリス英語を使用しており、リスニング教材として最適です。1日5〜10分でもニュースクリップを継続して聞くと、耳が自然に慣れてきます。

2. ポッドキャストやドラマで会話に触れる

試験では日常会話のパートも多いため、ドラマやポッドキャストでリアルな発音を学ぶのが効果的です。

  • おすすめ:BBC Learning English, “The Crown”, “Sherlock” など。

3. IELTS公式模試音源を繰り返し使う

本番と同じアクセントに事前に触れておくことが最も実践的です。同じ音源を何度も聞いて、「一度目は全体の意味」「二度目は細部」「三度目は書き取り」と段階的に練習しましょう。

4. シャドーイングで音をコピーする

聞こえた音をすぐ真似して発音することで、アクセントやリズムが自分の中に定着します。最初は短いフレーズから始め、徐々に長い文章に挑戦すると効果的です。

5. 単語リストを作り聞き分け練習

アメリカ英語とイギリス英語で発音が異なる単語を自分でリスト化し、聞き分けテストを行うと弱点が明確になります。


試験での注意点

イギリス英語アクセントに慣れていないと、本番で焦って聞き逃してしまうことがあります。以下の点を意識しておくと、安定して得点につなげやすくなります。

1. 発音の違いに惑わされない

知らない単語だと思っても、実は発音が異なるだけの場合があります。音に引っかからず、文脈から意味を推測することが大切です。

2. 文脈理解を優先する

細かい発音に集中しすぎると全体を聞き逃してしまいます。リスニングでは「話の流れ」を常に意識して聞くようにしましょう。

3. 英米の綴りの違いにも注意

答案ではスペルの正確さも採点対象です。イギリス式の綴りで出題されることが多いため、以下の違いに慣れておく必要があります。

  • colour(英) vs. color(米)

  • organise(英) vs. organize(米)

  • travelled(英) vs. traveled(米)

4. アルファベット発音にも慣れる

電話番号や住所などでアルファベットを読み上げる問題があります。イギリス英語ではアルファベットの発音が異なることもあるため注意が必要です。

  • Z → イギリス: “zed” /zɛd/(アメリカ: “zee” /ziː/)

5. 焦らず聞き直す姿勢

聞き逃しても全問に影響するわけではありません。1つにこだわらず次の問題に切り替えることが得点を守るコツです。


まとめ

IELTSリスニングにおいてイギリス英語アクセントは避けて通れません。最初は母音の違いやRの発音の弱さなどに戸惑うかもしれませんが、特徴を知り、日常的に耳を慣らしていけば確実に聞き取りやすくなります。

特に、

  • BBCニュースやポッドキャストで日常的にイギリス英語を聞く

  • IELTS公式音源で実践的に練習する

  • シャドーイングで発音やリズムを体得する

といった学習法を組み合わせることで、試験本番でも冷静に対応できる力が身につきます。

イギリス英語を「聞きにくいアクセント」ではなく「慣れれば強みにできるアクセント」と捉え、計画的に練習していきましょう。


FAQ:イギリス英語アクセント対策

イギリス英語アクセントはIELTSでどのくらい出ますか?

公式に割合は固定されていませんが、英・豪・NZなど非米系アクセントが頻出します。特にイギリス英語はニュース、キャンパス会話、案内音声など幅広く登場します。

まず最初に慣れるべき発音の特徴は?

①長母音(bath /bɑːθ/)②語末Rの無音(car → /kɑː/)③イントネーションの平坦さ④語強勢の位置の違い(advertisement /ədˈvɜːtɪsmənt/)の4点です。

イギリス英語とアメリカ英語で混乱しやすい単語は?

schedule(/ˈʃed.juːl/ vs /ˈskedʒ.uːl/)、tomato(/təˈmɑːtəʊ/ vs /təˈmeɪtoʊ/)、mobile(/ˈməʊbaɪl/ vs /ˈmoʊbəl/)など。自分用リスト化が有効です。

綴り(スペル)は英式・米式どちらで書くべき?

設問・音声の表記に合わせて英式が無難です(colour, organise, travelled など)。一貫性を保てば減点リスクを下げられます。

アルファベット読みで注意する点は?

Zは「zed」、Hは「aitch」のように読みます。郵便番号・予約番号読み上げ問題の対策として、A–Zを英式で口唱練習しましょう。

効果的な毎日の練習ルーティンは?

①BBCの1~2分クリップを聞く→要旨メモ②同素材でシャドーイング③同日中にIELTS音源1セクションで精聴→ディクテーション→答え合わせ、の30~40分。

シャドーイングはどの素材から始める?

短いニュースの1段落や会話のやり取り(15~25秒)から。速度は原速、テキストあり→なしの順で。録音して母音の長さとRの処理を確認します。

聞き取れない時は何を優先すべき?

音より意味。固有名詞や数字を逃しても、話題・関係・因果の手掛かりを追い、次の設問に切り替える判断がスコアを守ります。

数字・日付の聞き取りでの英式クセは?

日付は「the fifteenth of June」の順序、時間は「half past six」=6:30、「nought/oh」のゼロ、電話番号は区切って読み上げる傾向があります。

同音異綴り(-our/-or 等)は採点で不利?

指示がなければ通常どちらも許容されますが、設問本文の表記に合わせるのが安全です。一貫性が欠けると減点対象になることがあります。

語彙差(英式固有語)で覚えるべき代表は?

flat(アパート), lift(エレベーター), queue(列), pavement(歩道), postcode(郵便番号), holiday(休暇)など。設問の言い換えに頻出です。

イントネーションが平坦で要点がつかみづらい時の対策は?

談話標識(however, whereas, in addition, as a result)を音の錨にして構造を把握。聞こえやすい機能語をマークする癖をつけましょう。

模試は同じ音源を何回使えば良い?

最低3周:①粗聞(要旨)②精聞(設問対応)③ディクテーション(空所中心)+発音模倣。各周で目的を変えると定着します。

ノン・ローティック(R非発音)への慣れ方は?

語末Rが消える→母音が伸びる、の感覚を自分でも発音して体に入れるのが近道。mirror, letter, far, work などミニマルセットで練習します。

試験直前にやってはいけないことは?

新素材の多聴だけに走ること。直前は既知素材で弱点パターン(数字・綴り・地名・同音異綴り)を総点検し、取りこぼしを減らします。

スコアが停滞した時の打開策は?

誤答をカテゴリ分け(音声知覚/語彙言い換え/設問分析/スペル)→最多カテゴリに集中特化。1~2週間は量より精度を優先します。

おすすめ無料リソースは?

BBC Learning Englishの短編、BBC Newsの1分動画、各大学の講演クリップ(英式講義アクセント)。字幕→なし→シャドーイングの順で活用。

ディクテーションはどの程度やる?

空所中心&機能語も含め10~30秒単位で。すべて書き起こす全ディクテーションは週1回までにし、日々は設問に直結する箇所に限定します。

自作単語リストはどう作る?

「英式と米式で音が変わる語」「綴り差」「数字・日付表現」に分け、音声付き辞書でIPAと音声サンプルを紐づけ。週次で10語→復習ループ。

本番での時間配分のコツは?

セクション開始前の設問先読みを徹底(名詞/形容詞/数字の手掛かり下線)。聴取中は1問に固執せず、空欄は仮埋め→後で整える運用にします。

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