英検2級リスニング対策:会話・説明文・短文の聞き取り方

はじめに

英検2級のリスニングテストは、リーディングやライティングよりも得点差がつきやすい重要パートです。会話、説明文、短文の3形式で構成され、すべて音声1回のみという厳しい条件の中で正確に理解する力が求められます。

このリスニングパートを攻略するには、単に「聞き取る」だけでなく、出題傾向を知り、パターンごとの対策を身につけることが欠かせません。特に英検2級では、ネイティブスピードに近い自然な英語が使われるため、語彙力・文法力・リスニング慣れが総合的に試されます。

この記事では、英検2級のリスニング問題を会話・説明文・短文の3パート別に分析し、効果的な練習法や本番での聞き取りポイントを詳しく解説します。これを読めば、「どこに集中して聞くべきか」「どんなトレーニングをすればいいか」が明確になります。

英検2級リスニングの全体構成

英検2級のリスニングテストは、全部で3つのパート・合計35問で構成されています。試験時間は約25分間で、音声はすべて1回のみ放送されます。そのため、構成と出題形式を事前に理解しておくことが合格への第一歩です。

パート 内容 問題数 特徴
第1部 会話問題 15問 男女の短い会話を聞き、最も適切な答えを選ぶ
第2部 説明文問題 15問 一人の話し手による説明やスピーチを聞き、内容理解を問う
第3部 短文問題 5問 ごく短い文を聞き、内容に合う選択肢を選ぶ

音声の特徴

  • スピード:自然なネイティブスピード(やや速い)

  • 発音:アメリカ英語・イギリス英語・オーストラリア英語など混在

  • トピック:学校生活、仕事、旅行、社会問題など幅広い

得点配分の目安

リスニングの満点は**29点(35問中)**で、**7割前後の正答率(約24点)**が合格ラインとされています。つまり、5〜6問ミスしても十分合格可能です。

学習ポイント

  1. 各パートの「音声パターン」を理解する。

  2. 先読み(選択肢確認)を習慣化する。

  3. 聞き逃したときに焦らず、次の設問に切り替える力を養う。

この全体構成を頭に入れておくことで、リスニング練習の効率が大幅に上がります。

第1部:会話問題の特徴と対策

出題の特徴

第1部では、男女の短い会話を聞いて質問に答えます。日常生活・学校・職場など身近な場面設定が多く、自然なスピードの英語でやり取りされます。各会話の後に1つの設問があり、選択肢を聞いて正しいものを選ぶ形式です。

例)

Woman: Are you going to the meeting this afternoon?
Man: I’d like to, but I have to finish my report first.
Question: What will the man probably do?

この場合、答えは「He will work on his report first.(先にレポートを仕上げる)」となります。


よく出る会話のテーマ

  • 予定変更(reschedule, cancel, delay)

  • 提案と同意(suggest, agree, recommend)

  • 依頼・申し出(Could you〜?, Would you mind〜?)

  • 問題解決(repair, fix, find another way)

  • 感情表現(surprised, disappointed, relieved)


攻略のコツ

  1. 最初の1文で状況をつかむ
     → “By the way,” “Did you hear…?” などの導入表現に注目。会話の目的が分かります。

  2. 否定表現と助動詞に注意
     → “He didn’t have to go.”(行く必要がなかった)など、聞き間違えると意味が逆になります。

  3. 選択肢を先読みする習慣をつける
     → 「何を問われるか」を事前に把握できると、聞くポイントが明確になります。

  4. 感情のトーンを聞き取る
     → “Oh really?” “That’s great!” “I see…” など、イントネーションから登場人物の気持ちを判断できます。


効果的な練習法

  • 英検公式過去問の音声を使って繰り返し練習
    聞き取れない部分をスクリプトで確認し、発音・語彙を整理。

  • シャドーイング練習(音声に重ねて発音)
    聞こえた音を即座に再現することで、リスニングスピードが大幅に上がります。

  • 英会話動画・ポッドキャストを活用
    “BBC Learning English”や“ESLPod”などで、実際の自然な会話スピードに慣れておきましょう。


第1部は比較的スコアを稼ぎやすいパートです。会話の流れを理解し、登場人物の意図をつかむことができれば、安定して高得点を取ることができます。

第2部:説明文問題の特徴と対策

出題の特徴

第2部は、一人の話し手(男性または女性)が行う短いスピーチや説明を聞き、その内容に関する質問に答える形式です。文章量が多く、メモを取らずに全体の流れを把握する力が求められます。内容はニュースや講義、プレゼンテーションのような口調が多く、英検2級の中でも最も難易度が高いパートです。


よく出るテーマ

  • 科学・テクノロジー(AI, recycling, space exploration)

  • 歴史・文化(inventions, traditions, famous figures)

  • 社会問題(environment, education, community service)

  • 経済・日常の仕組み(business trends, transportation, shopping)


攻略のコツ

  1. 冒頭の2文でテーマをつかむ
     → “Today, I’m going to talk about…” “This story is about…” の部分で話の方向性を把握します。

  2. キーワードを意識して聞く
     → 名詞(people, company, project)や数字、地名などの具体的な情報に注目。

  3. 理由・結果を示す接続詞に注目
     → because, so, as a result, therefore などは問題のヒントになりやすいです。

  4. 最後のまとめ文に集中する
     → “In conclusion,” “That’s why…” の後に要点が再びまとめられることが多いです。

  5. 選択肢を先に読み、質問の焦点を把握
     → 「話の目的」か「詳細内容」かを判断して聞き方を変える。


効果的な練習法

  • 公式問題集・過去問の説明文を繰り返し聞く
    → 聞き取れなかった箇所をスクリプトで確認し、ディクテーションで補う。

  • 英語ニュースを毎日1本聞く習慣
    → “VOA Learning English” や “BBC Learning English” は英検2級レベルに最適。

  • 要約トレーニング
    → 聞いた内容を日本語で一文でまとめる練習をすると、理解の定着が早まります。


ワンポイントアドバイス

説明文問題は「完全に聞き取る」よりも、「大意を逃さず理解する」ことが重要です。細かい単語をすべて覚えるより、流れと主旨を追うことを意識しましょう。

第3部:短文問題の特徴と対策

出題の特徴

第3部では、1文または2文程度のごく短い英語が1回だけ流れ、その内容に最も合う選択肢を選びます。文が短い分スピードも速く、集中力と瞬時の理解力が試されます。文の中に含まれる助動詞・否定・条件表現などを正確に聞き取ることが得点のカギになります。


よく出る文パターン

  • 依頼・提案:Could you〜?, Why don’t we〜?

  • 条件表現:If it rains, we’ll stay home.

  • 意見・感想:I think it’s a great idea.

  • 指示・注意:Be careful not to touch it.

  • 時間表現:After she finishes her homework, she’ll call you.


攻略のコツ

  1. 主語と動詞を一瞬で把握する
     → 文章の核になる2語を聞き逃さないことで、全体の意味をつかみやすくなります。

  2. 接続詞や否定語に注意する
     → unless, although, not until など、意味が逆転する単語を正確に聞き分けましょう。

  3. 語調(イントネーション)で意図をつかむ
     → “That’s fine.” が肯定なのか、あきれたトーンなのかで意味が変わる場合もあります。

  4. 選択肢の意味を先に把握しておく
     → 文が短いため、聞く前に選択肢を理解しておくと瞬時に対応できます。


効果的な練習法

  • ディクテーション(書き取り)練習
    → 聞こえた文をそのまま書き取る。文構造と語彙が同時に強化されます。

  • 音読・リピーティング
    → 聞いた文をすぐに声に出して復唱。耳と口を同時に鍛えることで反応速度が向上。

  • 短文ポッドキャストを毎日聞く
    → “EnglishClass101”や“TED-Ed Shorts”などで、1分前後の音声に慣れる。


ワンポイントアドバイス

短文問題は「英語を日本語に訳す」余裕がありません。頭の中で英語のままイメージ化する練習を重ねましょう。慣れてくると、聞いた瞬間に意味が映像のように浮かぶようになります。

リスニング力を底上げする共通トレーニング法

英検2級のリスニング対策では、パート別の練習に加えて、英語耳を作る日常的なトレーニングが非常に重要です。ここでは、すべてのパートに共通して効果のある実践法を紹介します。


1. 毎日10分「英語を聞く時間」を習慣化

リスニング力は継続の積み重ねで伸びます。通学・通勤中や休憩時間に、短い英語ニュースやポッドキャストを聞く習慣をつけましょう。
おすすめ教材:

  • 英検公式アプリ「スタディギア for EIKEN」

  • BBC Learning English(中級レベル)

  • VOA Learning English(ややゆっくり)


2. シャドーイングで「聞く+話す」を同時強化

音声を聞きながら少し遅れて真似して発音する練習法です。

  • リズムや抑揚に慣れることで、自然なスピードにも対応可能。

  • 発音が改善されると、聞き取れる音も増えます。

おすすめ教材:
英検2級過去問CD、NHKラジオ「ラジオ英会話」など。


3. ディクテーションで細部を聞き取る力を育てる

短い音声を何度も聞き、1語ずつ書き取る練習です。

  • 聞き逃している音(冠詞・前置詞など)を発見できる。

  • 文構造や文法への理解も深まる。

英検2級のリスニング問題を素材に使うと、試験対策と基礎力アップを同時に行えます。


4. 聞き取れなかった箇所の原因分析

スクリプトを確認して「なぜ聞き取れなかったか」を分析しましょう。
原因は主に以下の3つです:

  • 語彙を知らなかった

  • 音が連結・省略されていた(ex: “gonna”, “wanna”)

  • イントネーションが予想と違った

この分析を繰り返すことで、次第に「聞き取れない原因」が減っていきます。


5. 倍速再生で耳を慣らす

本番の音声はネイティブスピードで流れます。
普段から1.2倍〜1.5倍で音声を聞く練習をしておくと、試験当日に余裕を持って対応できます。


6. スマホを活用したトレーニング

  • 「YouGlish」で発音のバリエーションを確認。

  • 「BBC 6 Minute English」で1日6分学習。

  • 「TED-Ed」でテーマ別に語彙と発音を学ぶ。


リスニングは単なる耳のトレーニングではなく、発音・文法・語彙の総合力が土台です。毎日の積み重ねが、試験本番での集中力と理解力につながります。

まとめ

英検2級のリスニングは、「音を正確に聞き取る」だけでなく、状況・話の流れ・話者の意図を理解する総合力が求められるパートです。

各パートのポイントを整理すると次の通りです:

パート 内容 攻略のカギ
第1部:会話問題 男女の短い会話 冒頭の一言と感情のトーンに注目
第2部:説明文問題 一人によるスピーチや解説 テーマと理由・結果の流れを把握
第3部:短文問題 一文ずつの短い文 主語・動詞・否定語を正確に聞き取る

合格へのステップ

  1. 出題形式を理解する
     パートごとの特徴を知れば、聞き取るポイントが見えてきます。

  2. 音声教材を繰り返し聞く
     同じ音声を3〜5回聞くことで、英語の「音の型」が体に染み込みます。

  3. シャドーイングとディクテーションを併用
     耳・口・手を使うことで、リスニング力が飛躍的に向上します。

  4. 過去問で時間感覚を身につける
     本番同様の25分を意識して練習すれば、集中力もアップ。


英検2級のリスニングは、毎日の短い練習を継続することが最大の近道です。聞き取れる英語が増えると、英検だけでなく映画・ニュース・英会話などの理解力も格段に上がります。今日から少しずつ、英語を「音」で楽しむ習慣を始めましょう。

FAQ:英検2級リスニング対策

英検2級リスニングは何問・何分ですか?

全35問で約25分です。音声はすべて1回のみ再生されます。

配点と合格ラインの目安は?

満点は29点換算(CSEスコアに変換されます)。おおよそ7割前後の正答で合格圏に入る目安です。

第1部・第2部・第3部の違いは?

第1部は会話理解(15問)、第2部は説明文の内容理解(15問)、第3部は超短文の要点把握(5問)です。

先読みは何をどの順で確認すべき?

設問→選択肢のキーワード→聞かれそうな情報(人物・時刻・理由・結果)の順で確認します。

聞き逃したらどうする?

引きずらずに次の設問へ切り替えます。マークは必ず埋め、時間があれば見直しで整合性を確認します。

アクセントや発音の違いへの対策は?

アメリカ・イギリス・オーストラリアなど複数の英語に触れます。ニュース教材やYouGlishで発音例を横断的に確認しましょう。

効果的な毎日の練習メニューは?

  • 10分:ニュース音声を聞く(1.0→1.25倍)
  • 10分:シャドーイング
  • 10分:過去問1セットの要約(日本語1文)

シャドーイングとディクテーションはどちらを優先?

基礎固め期はディクテーションで弱点可視化、直前期はシャドーイングで処理速度を上げるのが効率的です。

説明文(第2部)でメモは必要?

メモ必須ではありません。冒頭のテーマ、数字・固有名詞、理由・結果の接続詞に集中すると再現率が上がります。

短文(第3部)でよく落とすポイントは?

主語・動詞の取り逃し、否定語や条件節(unless, although, not until)の誤解釈が典型です。

語彙はどれくらい必要?

2級相当の頻出語(学校・職場・環境・科学)が中心。未知語は文脈推測と同義語で補完する癖をつけましょう。

倍速学習は有効?

有効です。通常→1.25倍→通常に戻す「サンドイッチ法」で本番速度が遅く感じられます。

おすすめ無料教材は?

  • VOA Learning English(ややゆっくりのニュース)
  • BBC Learning English(中級会話・解説)
  • 英検公式過去問音声(形式慣れ)

試験当日の直前対策は?

  • 耳ならし:5〜10分の英語音声を1本
  • マーク位置の確認とペース配分の再確認
  • 「先読み→集中→切替」の手順を心で復唱

独学でも間に合いますか?

間に合います。過去問の反復(音声→解答→スクリプト→復唱)サイクルを週3〜5セット回せば、短期間でも伸びます。

模試や過去問はいつ・どれくらい?

学習序盤で形式確認として1回、直前2週間は2〜3日に1セットが目安です。復習に時間の7割を割きましょう。

リスニングで伸び悩む原因は?

  • 語彙不足(特に機能語・句動詞)
  • 音声変化(連結・弱形)への慣れ不足
  • 先読み不足で焦点がぼける

家庭学習でのNGは?

  • 聞き流しだけで満足する
  • 和訳に時間をかけすぎる
  • 復習を飛ばして新規音源だけ増やす

英検対策・受験ガイド:レベル別・年代別・目的別の完全ロードマップ【2025–2026年版】

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