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IELTS受験総合ガイド:AcademicとGeneralの違い
はじめに
IELTS(International English Language Testing System)は、英語力を測定する世界的に認知度の高い試験で、イギリス、オーストラリア、カナダをはじめとする多くの英語圏で採用されています。大学・大学院への進学、海外移住、就労ビザの取得など、幅広い目的でスコアが必要とされるのが特徴です。
このIELTSには大きく分けて Academic(アカデミック) と General Training(ジェネラル・トレーニング) の2種類があり、目的によって選択が異なります。たとえば、海外の大学で学ぶために受験する人はAcademicを、移住申請や職場での英語力証明を目的とする人はGeneral Trainingを選ぶのが一般的です。
しかし、両者の違いを正しく理解していないと、誤ったモジュールを受験してしまい、時間や費用を無駄にするリスクもあります。本記事では、AcademicとGeneral Trainingの特徴や違いをわかりやすく整理し、あなたの目的に合った選び方を解説していきます。
Academicモジュールの特徴
IELTS Academic(アカデミック) は、主に海外の大学や大学院に進学する人、または医師や看護師など専門資格を目指す人のために設計されています。試験内容は学術的なテーマやデータに基づいており、論理的に考える力や専門的な文章を読み解く力が求められます。
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Reading(リーディング)
AcademicのReadingでは、学術誌、研究論文、新聞の特集記事など、アカデミックな内容が出題されます。専門的な単語や複雑な構文が多く、文章量も多いため、速読力と正確な理解力が重要です。 -
Writing(ライティング)
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Task 1:グラフ・表・図などのデータを分析し、客観的に説明・要約する課題。
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Task 2:学術的なテーマに関するエッセイを執筆。自分の意見を明確にし、論理的に展開する力が試されます。
特にTask 1はGeneralには存在せず、Academic特有の課題です。
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Listening(リスニング)
AcademicとGeneralで形式は共通。大学の講義や日常会話などが含まれ、全体的に幅広い英語力が求められます。 -
Speaking(スピーキング)
AcademicとGeneral共通。日常会話から意見表明、抽象的な議論までが含まれ、即興で考えをまとめて話す力が必要です。
まとめると、Academicモジュールは学術的・専門的な場面で必要とされる英語力を証明する試験であり、進学や資格取得を目指す人に最適な選択肢です。
General Trainingモジュールの特徴
IELTS General Training(ジェネラル・トレーニング) は、海外移住や就労、または職場や日常生活で必要とされる英語力を測定するための試験です。学術的な内容ではなく、実用的・生活的な英語が中心となるのが特徴です。
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Reading(リーディング)
出題されるのは広告、案内文、新聞記事、職場のマニュアルなど、日常生活や職場環境で目にするような文章です。Academicよりも難易度は低めで、実用的な読解力を重視します。 -
Writing(ライティング)
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Task 1:手紙を書く課題。フォーマル(公式文書)、セミフォーマル(職場関係)、インフォーマル(日常的な手紙)の3タイプがあり、状況に応じた文体や表現力が求められます。
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Task 2:一般的な社会問題や日常的テーマに関するエッセイ執筆。Academicよりもテーマが身近で、より簡潔に意見を述べられる構成が求められます。
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Listening(リスニング)
Academicと同じ形式。日常会話や職場でのやり取り、講義風の内容などが含まれます。 -
Speaking(スピーキング)
Academicと共通で、日常会話から抽象的なトピックまで対応する必要があります。
まとめると、General Trainingは「日常生活」や「社会での実用性」を意識した試験であり、海外移住のビザ申請や現地での就労を考えている人に最適です。
AcademicとGeneralの違い(スキルごとの比較)
IELTSのAcademicとGeneral Trainingは、Listening と Speaking は同一形式ですが、Reading と Writing に明確な違いがあります。以下でスキルごとに整理します。
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Listening(リスニング)
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Academic・General共通。
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日常会話、職場での会話、講義やプレゼンなどが含まれる。
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問題数や形式も同じ。
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Speaking(スピーキング)
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Academic・General共通。
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面接官との1対1形式で実施され、自己紹介、トピックに基づくスピーチ、ディスカッションなどが課される。
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試験内容は生活的・学術的なテーマが混ざるが、モジュールによる違いはない。
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Reading(リーディング)
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Academic:学術論文、研究記事、大学教材など、専門的で難易度が高い文章が中心。
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General:広告、新聞記事、パンフレット、会社のマニュアルなど、日常生活に関連する文章が出題される。
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言い換えると、Academicは「学問寄り」、Generalは「実生活寄り」。
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Writing(ライティング)
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Academic:
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Task 1:グラフや表、図表をもとにデータを要約・分析する。
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Task 2:学術的なテーマについて、論理的に意見を述べるエッセイ。
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General:
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Task 1:状況に応じた手紙(フォーマル/インフォーマル)を書く。
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Task 2:一般的な社会問題について、自分の意見を述べるエッセイ。Academicより身近なトピックが多い。
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まとめると、両者の最大の違いは ReadingとWritingの出題内容 にあり、Academicは「学術的な英語力」、Generalは「生活・実務的な英語力」を測る試験となっています。
どちらを選ぶべきか(留学・移住・就労目的別)
IELTS AcademicとGeneral Trainingは、それぞれ用途が明確に分かれています。受験する前に、自分の進学・キャリア・移住の目的に合ったモジュールを選ぶことが重要です。
1. 海外大学・大学院への進学
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選ぶべきは Academic
多くの英語圏の大学・大学院は入学要件としてIELTS Academicのスコアを指定しています。特に、イギリス・オーストラリア・カナダ・ニュージーランド・アイルランドなどでは一般的です。 -
医学、看護学、法律などの専門分野もAcademicが必須。
2. 専門資格や研修プログラム
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選ぶべきは Academic
海外での専門職ライセンス(医師・看護師・薬剤師など)や専門研修プログラムの参加にはAcademicが求められる場合が多いです。
3. 海外移住(ビザ申請)
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選ぶべきは General Training
カナダやオーストラリアなどへの永住権申請や移住ビザでは、General Trainingのスコアが求められるのが一般的です。移住局が指定している場合は必ずGeneralを受ける必要があります。
4. 就労や職場での英語証明
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選ぶべきは General Training
海外での就労や企業での英語力証明としては、General Trainingが推奨されます。実用的な英語力を証明できるため、採用や配属時に役立ちます。
判断のポイント
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学問的な環境で使う英語力が必要 → Academic
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日常生活・移住・職場で使う英語力が必要 → General Training
自分の目標が「学ぶこと」か「暮らす・働くこと」かによって選択を決めるのが最も分かりやすい基準です。
まとめ
IELTSには Academic と General Training の2種類があり、それぞれの目的に応じて求められる英語力が異なります。
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Academic は、大学・大学院への進学や専門資格取得を目指す人に必要。内容は学術的で、リーディングやライティングは高度な分析力や論理的思考力を問われます。
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General Training は、海外移住や就労、日常生活で必要な英語力を証明するための試験。出題は実用的で、生活に直結するシチュエーションが中心です。
両モジュールとも、ListeningとSpeakingは同じ形式ですが、ReadingとWritingに大きな違いがあります。受験する前に自分の目的を明確にし、適切なモジュールを選ぶことが最も大切です。
正しい選択をすれば、IELTSのスコアはあなたの留学、移住、キャリア形成の大きな武器になります。
FAQs
IELTSのAcademicとGeneral Trainingはどちらが難しい?
総合難易度は目的によって異なります。ReadingとWritingはAcademicの方が学術寄りで難易度が高く感じられる傾向があります。ListeningとSpeakingは両モジュール共通です。
進学希望だが、General Trainingで代用できる?
基本的に不可です。多くの大学・大学院は出願要件としてIELTS Academicを指定します。募集要項でモジュール指定を必ず確認しましょう。
移住申請にはAcademicでも良い?
多くの国の移民局ではGeneral Trainingを指定します。Academicスコアが受理されない場合があるため、申請先の最新要件を確認してください。
試験構成の主な違いは?
ListeningとSpeakingは共通。ReadingはAcademicが学術記事中心、Generalは日常・職場文書中心。WritingはAcademicがデータ要約(Task 1)+エッセイ、Generalが手紙(Task 1)+エッセイです。
スコアはどのように評価される?
各技能(Listening, Reading, Writing, Speaking)が0.0~9.0のバンドで採点され、平均を四捨五入してOverall Band Scoreが算出されます。
どちらを選ぶか迷ったら?
「学ぶ(大学・専門職)」ならAcademic、「暮らす・働く(移住・就労)」ならGeneralが原則です。提出先の要件が最優先です。
Writingの対策はモジュールごとに変えるべき?
はい。Academicはグラフや表の客観的記述(Task 1)と論理展開に重点。Generalは状況に合ったレジスター(フォーマル/インフォーマル)での手紙作成が鍵です。
Readingの時間配分は同じ?
試験時間は同じですが、Academicは文章の密度が高く専門語が多い傾向があるため、設問先読みや段落要旨の素早い把握がより重要です。
同じ日にモジュールを変更できる?
テストセンターや受験形式(紙/コンピューター)によって扱いが異なります。受験予約の規約を確認し、変更手数料や締切に注意してください。
自分に合った過去問や教材の選び方は?
Academic受験者はグラフ要約・学術読解の教材を、General受験者は手紙の書き分け・実用文読解の教材を優先。両者ともListeningとSpeakingは共通教材でOKです。
